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だれが「ふつう」をきめるんだろう?

だれが「ふつう」をきめるんだろう?

 学校で、自分と意見がちがう友だちに「あいつは変だ」「心が病気なんだ」と言って、仲間はずれにしたらどうなるでしょうか。きっと、先生や親に「それは卑怯(ひきょう)だよ」としかられるはずです。でも今、世界でいちばん「頭が良い」と言われている大人たちの間で、そんなことが起きています。
 アメリカのトランプ元大統領について、ニュースでは「自分勝手な性格の病気だ」とか「頭がうまく働いていない」という厳しい意見がよく流れます。でも、じつは専門の医者たちが「会って診察もしていない人のことを、病気だと言うのはルール違反だ」と決めていることは、あまり教えてくれません。
 なぜ、新聞やテレビの人たちはルールを破ってまで、トランプさんのことを「おかしい」と言い続けるのでしょうか。
 それは、トランプさんが「大人たちの決めた物語」を壊そうとしているからかもしれません。たとえば、「石油はあと少しでなくなるから、みんなで我慢(がまん)しよう」という決まりがあります。でもトランプさんは「本当に石油はなくなるの? じつは地球が勝手に作っているんじゃないの?」と、みんなが信じていることに疑問を投げかけます。もしトランプさんの言うことが正しかったら、今まで「我慢しなさい」と言ってきた偉い人たちの面目は丸つぶれです。
 「トランプさんは自分たちのルールを壊す悪い魔法使いだ。だから追い出してもいいんだ」——そう信じ込んでいる大人たちは、相手を「病気」というレッテルを貼って、話し合いを拒絶しています。でも、相手を「おかしい人」と決めつけて無視するやり方は、じつは民主主義(みんなで話し合って決めること)をいちばん壊してしまう、こわい行動なのです。
 これから何十年かたって、トランプさんがした仕事が「じつは世界を平和にしていた」とわかる日が来るかもしれません。その時、歴史の教科書には「あの時代のニュースや偉い人たちは、自分のプライドを守るためにウソをついていた」と書かれるかもしれません。
 だれかが「あいつは変だ」と一斉(いっせい)に叩いている時こそ、私たちは一度立ち止まって、「そう言っている人たちは、ルールを守っているかな?」「自分たちの都合で、だれかを悪者に決めていないかな?」と考えることが大切です。
 本当の「正気」とは、自分とちがう意見の人も一人の人間として認め、ルールを守って正々堂々と話し合える心の強さのことなのです。

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