後輩たちの未来のためにアカデミーOBが集結。第3回アカデミー共育ラボを振り返る
アビスパDAOラジオ(note版)
アビスパ福岡の新しい共創コミュニティ「アビスパDAO」の活動を通じて、Web3をプロサッカークラブの事業の一つに育てていくチャレンジの様子をお届けしていきます。
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みんなで支えて、成功したら還元がある。「アカデミー共育プログラム」が目指す新しい支援の形
神野:
今回はぜひご紹介したい取り組みがありまして。SMBC(三井住友銀行)さんとのプロジェクトの一つとして今「アカデミー共育プログラム」を進めています。
山本:
はい、昨年から準備を進めていたプロジェクトですね。
神野:
このプログラムは、中学1年生の非常に若い世代の選手たちを対象にしていて、彼らとDAOメンバーとの関わり方、つまり新しい「支援と還元」のモデルを作ろうというテーマで動いています。
山本:
未来のアビスパを背負う子供たちを、コミュニティ全体で支える仕組みですね。
神野:
ただ、やっぱり子供たち、いわゆるアマチュアリズムが求められる領域に対して、外部から支援を入れるというのは非常にセンシティブな部分もあります。「子供をビジネスの材料にするな」といったご意見を持つ方々もいらっしゃいますし、そういった懸念は当然のことだと思います。
山本:
ネガティブに捉えようと思えば、そう言えなくもない側面はありますからね。最初の発表時は緊張感もありましたか?
神野:
そうですね。「こういう取り組みをやりますよ」と先行して出した時には、やはり懸念の声もありました。
そこで去年の後半は、「なぜこれをやるのか」「どういう狙いを持って、何を子供たちのために実現しようとしているのか」という部分を、SMBCさんと一緒に丁寧に発信することに注力してきました。
山本:
リアルイベントはもちろん、noteや動画コンテンツなどで、かなり詳しく背景を説明されていましたね。
神野:
はい。年末までその「想いを伝えるフェーズ」を一通り頑張ってやったので、年明けからは次のステップ、実際に支援する側に回ってくれる人、いわゆる「支援候補者」をどう開拓するかというフェーズにシフトしています。
山本:
具体的には、どのような方々にアプローチしているのでしょうか?DAOメンバー以外にも広げているのですか?
神野:
「誰がアカデミーの選手たちを一番親身になって支援してくれるか?」と考えた時に、真っ先に浮かんだのが、もともと自分がアカデミーに所属していた「アカデミーOB」の方々なんです。
山本:
ああ、なるほど! 確かにOBの方々なら、自分たちが育った場所への想いは人一倍強いはずですね。
神野:
アビスパ福岡は30年を超える歴史を重ねていて、アカデミー出身のOBの方々は20世代ぐらいいるようなんです。そのOBの方々にこの新しい取り組みを知っていただくことによって、「自分たちのかわいい後輩のために支援しよう」となってくれるんじゃないかなと思いまして。
山本:
歴史の積み重ねが、ここに来て大きな資産になるわけですね。
神野:
そこで、OBの方々に集まっていただくイベントを企画しました。現在アビスパDAO OBアンバサダーとして活動いただいている鈴木惇さんはアビスパ福岡アカデミー出身のレジェンドOBなので、彼にも「参加してください」とお願いして、「作戦会議」みたいなイベントを実施したんです。
山本:
先日開催された「アカデミー教育ラボ 第3回」ですね。アビスパDAOの公式noteでも告知記事が出ていましたが、かなり熱量の高いイベントになったようですね。
OB集結! 天神のイノベーション拠点で語り合った「世界基準のアカデミー」
神野:
はい、イベントの内容をご紹介すると、ホスト側としてアカデミーと関わりが深い3名のキーマンに参加してもらいました。一人は先ほど名前が出たOBの鈴木惇さん。そして、クラブのトップチーム強化担当兼アカデミーテクニカルアドバイザーの藤崎さん。藤崎さんは元選手でアカデミーがなかった時代からクラブを知る方ですし、アカデミーの元監督でもあります。
始まりました!満席です✨#アビスパ福岡 https://t.co/xRqsBR1363 pic.twitter.com/td6MwqCulv
— アビスパDAO(Avispa Fukuoka Sports Innovation DAO) (@Avispa_DAO) January 26, 2026
神野:
そして3人目が井上さん。アカデミー共育プログラムのプロジェクトメンバーでSMBCさんとの定例会に入ってくださっている、アカデミーダイレクターです。(注:現在は体制変更に伴いアビスパ福岡アカデミー グローバルマネージャー)アカデミーの方針を決める方ですね。
山本:
そういえば、ちょっと前から気になっていたんですけど、「ダイレクター」というのは「ディレクター」とは違うんですか? サッカー界特有の呼び方なのでしょうか。
神野:
確かにサッカーでは「ダイレクター」って言いますよね(笑)。英語のスペルは一緒だと思うので、発音や慣習の違いだと思いますが、「担当事業のトップ」というニュアンスです。
この3名は全員、トップチームでのプレー経験がありアカデミーとの関わりも深く、クラブ運営の経験も豊富です。このお三方からアカデミーOBの方々に「こういうことやるから来てよ」と声をかけてもらいました。
山本:
直接の先輩後輩からの声がけなら、集まりやすそうですね。目標は何名くらいだったんですか?
神野:
目標は20名でした。ただ人数を集めるだけでなく、「できるだけ世代をばらけさせる」という裏テーマもありました。アカデミーを卒業したばかりの若い方もいれば、僕と同世代ぐらいのアカデミーが出来たばかりの時代に所属していた方もいるような状態を目指して声がけいただきました。
山本:
20世代にもなると、年代によってアカデミーの雰囲気も全然違ったでしょうしね。
神野:
そうなんです。だから鈴木惇さんには若い世代への声がけを頑張ってもらったりしながら調整して、狙い通りいろんな世代のOBの方が20名ほど集まってくださいました。さらにアビスパDAOメンバーも6名ほど参加し、30名強での開催となりました。
山本:
開催場所は天神のCIC Fukuokaでしたよね。写真を見ましたが、すごく雰囲気の良い場所です。
神野:
そうなんです。アビスパDAOのコミュニティパートナー契約を結んでいるCIC Fukuokaの会場を使わせてもらいました。7階にあるイベントスペースなんですが、モニターを中心に座席がぐるっと囲むような、ちょっとスタジアムっぽい配置になっているんです。
山本:
参加者同士の顔が見えやすくて、一体感が生まれそうなレイアウトですね。
神野:
まさにそうで、登壇者と参加者の間で非常に掛け合いがしやすいんです。めちゃくちゃいいスペースでした。そこで、藤崎さん、井上さん、鈴木惇さんの3人と、OB、DAOメンバーが膝を突き合わせて、「これからのアカデミーをどうするか」を本気で語り合いました。

山本:
当日はどのような流れで進行したのでしょうか?
神野:
まずインプットの時間として、井上ダイレクターから最近のアカデミーの成果について話してもらいました。
井上孝浩ディレクターのインプット✨
— アビスパDAO(Avispa Fukuoka Sports Innovation DAO) (@Avispa_DAO) January 26, 2026
アカデミーの状況や今後のビジョンをわかりやすく説明してくださっています!#アビスパ福岡 https://t.co/xRqsBR1363 pic.twitter.com/a0Kwq5jxZ6
実は今、アビスパ福岡のアカデミーはすごい成果が出ているんです。「プレミアリーグ」という高校年代最高峰のリーグで2期連続戦っていたり、トップチームに昇格する選手も増えています。

山本:
それはすごい。確実に強化が進んでいるんですね。
神野:
さらにアビスパDAOでのクラウドファンディングを活用して、イングランド・プレミアリーグのアーセナルに招待されて大会に出たり、Jリーグから依頼されて指導者研修の講師役をアビスパが3年連続で担当していたりと、リーグ内でも「育成のモデルケース」になりつつあります。


山本:
なるほど。実績は十分に出てきていると。
神野:
一方で、目指すところはもっと高い。「世界基準のアカデミー」になるためには、施設面などまだまだ足りない部分があります。

ワークショップで見えた「OB会」というミッシングピース
山本:
続いて神野さんからSMBC様と実行中のアカデミー共育プログラムについて説明されたんですね。OBの方々は、このアカデミー共育プログラムのことをご存じだったんですか?
神野:
おそらく、この場で初めて詳細を知った方がほとんどだったと思います。でも、自分たちが育った場所がより良くなるための話ですから、皆さんすごく熱心に、うなずきながら聞いてくれていましたね。





神野:
そして井上さんと私からのインプットが終わった後はいよいよ今回のメインイベントです。「現状」と「目指す姿」のギャップを埋めるために、何が必要か、OBとして何ができるのか? これをワークショップ形式で話し合いました。

ワークショップスタート🌈
— アビスパDAO(Avispa Fukuoka Sports Innovation DAO) (@Avispa_DAO) January 26, 2026
それぞれの「アビスパ愛💖」が深くて、時間が全然足りません☺#アビスパ福岡 https://t.co/xRqsBR1363 pic.twitter.com/MQ3EHLORSS
山本:
ワークショップではどんな意見が出てきましたか?
神野:
5チームに分かれて議論し、最後に模造紙に書いて発表してもらったんですが、面白かったのが、多くのグループが「OBのつながりをもっと生かすべきじゃないか」という結論を出したことなんです。
山本:
OBのつながり、ですか。
神野:
はい。実はアビスパ福岡アカデミーには、公式の「OB会」組織が存在していないらしいんです。
高校サッカーの強豪校なら、OB会組織がしっかりあって、例えば後輩が全国大会に行くとなればすぐに寄付が集まったり、OBの方々に進路相談できたりと、バックアップ体制として機能してますよね。
山本:
確かに。僕も以前、私立の強豪校の部活OB会から仕事をいただいたことがありますが、組織として予算もしっかり管理されていて驚いたことがあります。
神野:
そうなんですよ。親御さんが「子供をどこのチームに行かせるか」を選ぶとき、もちろんプロになれるかどうかも重要ですが、プロになれるのは一握りです。そうなると、「サッカーを辞めた後もOBネットワークとつながっていて、社会で活躍している先輩たちとつながれるか」というのは、大きな安心材料になるんです。
山本:
なるほど……! セカンドキャリアや就職活動を考えても、OBネットワークの有無は親御さんにとって死活問題ですね。
神野:
その「武器」が今のアビスパにはない。だからこそ、今回のイベントのようにOBが集まる場を定期的に作り、「OB会」のような機能を、例えばDAOの本プログラムを通じて作っていけば、結果的に優秀な選手が九州中から集まるようになるんじゃないか、という話が出てきたんです。
アカデミーの子たちを考えると、自然とプレゼンにも力が入ります☺ブレストが形になる工程をみんなで体感✨#アビスパ福岡 https://t.co/xRqsBR1363 pic.twitter.com/nvxieOQdgU
— アビスパDAO(Avispa Fukuoka Sports Innovation DAO) (@Avispa_DAO) January 26, 2026
山本:
これは面白いですね。クラブ側やスポンサー側からではなく、当事者であるOBからその意見が出てきたことが重要です。
神野:
本当にそうです。DAOという新しい枠組みだからこそ、世代を超えてフラットにつながれたのかもしれません。「毎年こういう集まりをやろう」という話にもなりましたし、これが実現すれば、アカデミー共育プログラムへの参加もOB会を通じて組織的に募れます。
山本:
ビジネスで成功しているOBの方もいるでしょうから、そこから企業のパートナーシップにつながる可能性もありますね。
神野:
その通りです。OB会の設立により、OBネットワークが可視化・整備されることは、クラブにとっても、これから入ってくる子供たちにとっても、計り知れないメリットがあると感じました。


600人の“ボランティア・スカウト”が世界を席巻? アヤックスに学ぶDAOの可能性
山本:
今回のイベントで、他に印象に残ったトピックはありますか?
神野:
僕からのインプットパートで少しお話しした、「アヤックス(AFC Ajax)」というオランダのクラブの事例ですね。アヤックスといえば、世界的に見ても育成が最も優れていると言われるクラブの一つです。
山本:
数々のスター選手を輩出し続けている名門ですね。
神野:
なぜ彼らが継続的に優秀な選手を発掘・育成できるのか。その理由の一つとして、テレビ番組で紹介されていたのが、「600人ものスカウトが動いている」という話なんです。
山本:
600人!? それは全員クラブのスタッフなんですか?
神野:
いや、違うみたいなんです。ここがポイントで、全員がクラブに雇われているわけではなく、「クラブが好きだから」「育成に貢献したいから」という動機で動いている協力者たちで、そこにOBの方も多く含まれているそうです。
山本:
なるほど、報酬ベースではなく、情熱ベースで動いているコミュニティなんですね。
神野:
その600人が、オランダ中の若い世代の試合をくまなくチェックしている。だから「あそこの町のクラブにいい子がいるぞ」という情報が漏れなく吸い上げられるんです。
「この選手はいい」というレポートが複数人のスカウトメンバーから上がってきたら、クラブスタッフのスカウト担当が見に行く。そういう選別システムが出来上がっているそうです。
山本:
一次情報の収集をコミュニティが担っているわけですね。それだけの人数がいれば、確かに網羅できます。
神野:
これを聞いた時に、「これこそDAOの仕組みで作れるんじゃないか?」と思ったんです。
山本:
確かに! アビスパDAOには熱量の高いサポーターがたくさんいますし、今回のようにOBも巻き込めれば……。
神野:
コミュニティのメンバーが、それぞれの地域で「この子面白いよ」という情報を上げてくれて、それがクラブの強化につながる。その貢献に対して、トークンや特別な体験で還元する仕組みを作れば、モチベーションも維持できます。

山本:
まさに「全DAOメンバースカウト化計画」ですね。福岡だけでなく、九州全域にその目があれば、才能の取りこぼしがなくなりそうです。
神野:
DAOを持つスポーツクラブだからこそできる、新しい強化のアプローチですよね。地域とのつながりも深まりますし、他の競技でも応用可能なモデルだと思います。
山本:
今回のイベントは、クラブの構造改革につながるヒントがたくさん詰まっていたんですね。
神野:
そうですね。非常に意義深いイベントでした。
そして何より、会場は同窓会のような雰囲気に包まれていて、皆さん純粋に楽しんでいる様子でした。「あの頃の監督は怖かったな」とか(笑)。
元監督の藤崎さんと記念写真を撮る方も多く居たり。
主催側も参加する方も楽しくて、未来につながる話ができる。いいイベントだったと思います。
アビスパの30年を支えてくださったみなさんで記念撮影✨ご参加いただき、どうもありがとうございました🙇♀末永くアビスパとともに!#アビスパ福岡 pic.twitter.com/3N7exDlhoF
— アビスパDAO(Avispa Fukuoka Sports Innovation DAO) (@Avispa_DAO) January 26, 2026
山本:
楽しみながらクラブが強くなるなら、最高ですね。
神野:
はい。今回は日程の都合でSMBCさんは来られなかったんですが、この熱量はしっかりお伝えして、次につなげていきたいです。アカデミー共育プログラム、そしてSMBCさんとの取り組みに興味を持ってくださる方がいたら、ぜひアビスパDAOに参加してほしいですね。
山本:
地道ですが、着実に活動が広がっていることを実感しました。今日はありがとうございました。
神野:
ありがとうございました。
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神野 嘉一 / Yoshikazu KONO X
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