深夜0時のコケティッシュなJAZZの時間💞強がりは、ネクタイを緩めてから
強がりは、ネクタイを緩めてから

バーの照明は暗く、音楽だけが丁寧に時間を進めていた。
彼はいつも通り、背筋を伸ばしてカウンターに座っている。スーツの肩は崩れず、言葉は少ない。仕事の話はしないけれど、してきたことは分かる。グラスに触れる指先だけが、ほんの少し疲れていた。
私は隣に座り、同じように黙って氷の溶ける音を聞く。会話はなくても、不思議と落ち着く夜だった。彼は強い人だ。少なくとも、そうであろうとしている。弱さを見せないことが、彼の礼儀みたいなものだと知っている。
「今日は遅かったの?」
そう聞くと、彼は小さくうなずくだけだった。視線はグラスの中。答えを探しているというより、しまう場所を選んでいるように見えた。
少しして、彼はネクタイに指をかける。結び目をゆっくり緩める、その仕草が妙に幼くて、私は目を離せなかった。鎧を脱ぐというより、呼吸を取り戻すみたいな動き。たったそれだけで、空気が変わる。
「ここでは、無理しなくていいよ」
私の声は、音楽に溶けるくらい小さかった。彼は返事をしない。ただ、肩の力が少し抜ける。
沈黙の中で分かることがある。言葉よりも早く、感情が伝わる瞬間。強がりの奥にある可愛さは、決して自分から名乗らない。だからこそ、夜にだけ姿を見せる。
彼はもう一度、ネクタイを整えようとして、やめた。そのままにして、グラスを口に運ぶ。私は何も言わず、同じ夜を共有する。
触れなくてもいい。今はそれで十分だった。
強がりは、ネクタイを緩めてから。
彼がそう教えてくれた夜は、静かに更けていった。

強がりは、ネクタイを緩めてから
[Intro|Whisper]
ねえ
その顔、まだ強がってる
[Verse]
背筋を伸ばす 大人のふり
グラスの、ふち、で 嘘が溶ける
無口なプライド 抱えたまま
視線だけが 素直になる
[Pre-Chorus]
ここでは
強くなくていいの
[Chorus]
強がりは、ネクタイを緩めてから
その息遣い 可愛すぎる
触れない距離で 分かってしまう
今はただ 甘えたいだけ
[Bridge|Half Spoken]
ほら
夜は 味方よ
[Chorus|Soft]
強がりは、ネクタイを緩めてから
無口な心が ほどけてく
言わなくていい そのままで
今夜は それでいい
[Outro|Fade]
ねえ
そのままで
