『声かけ』は時に脅威になることがある
良かれと思って行ったことでも、
相手がその意図を理解できていなければ、
恐怖や脅威として受け取られてしまうことがあります。
認知症がある場合、
その傾向は、より強くなると感じます。
まだ私が夜勤をしていたときの出来事
夜勤中、
男性利用者が誤って女性利用者の居室に入ろうとする場面がありました。
それを止めようとした夜勤者の判断自体に、
異論を持つ人はいないと思います。
ただ、その際の声かけが、
利用者の背後からだったことが問題でした。
男性利用者は、
自分がどこにいるのか分からない状態。
そこへ、
後ろから突然、知らない声で否定する言葉をかけられた。
当然、混乱と恐怖が生じます。
男性利用者は興奮し、振り向いた際に、
夜勤者のネームプレートを握ってしまいました。
結果として、プレートの紐が首にかかり、
一時的に危険な状態になってしまいました。
しばらくして、
相手が職員であることが分かり、
男性利用者は涙ながらに、
「ごめんなさい。間違ったことをした」
と謝罪されたそうです。
行為だけを切り取ってはいけない
この出来事を、
行為だけで見れば
「徘徊」「暴力行為」と捉えられてしまうかもしれません。
でも、
迷っているとき、
恐怖を感じているときに、
後ろから突然声をかけられたら——
驚き、反射的に身を守ろうとするのは、
決して不自然なことではないと思います。
喧嘩両成敗、ではありませんが、
状況を丁寧に振り返り、
再発しないよう、申し送りを行いました。
「声をかける」だけでは足りない
介護の現場では、
よく「声かけをする」という言葉が使われます。
でも大切なのは、
いつ・どこから・どんな状況で声をかけるのか。
声だけでなく、
・相手の視界に入る位置
・安心できる距離
・分かりやすい環境づくり
そうした配慮も含めて、
本当の意味での「声かけ」なのだと、
改めて感じた出来事でした。
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