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「6割ルーティン」で回す|病気と生きるための省エネ戦略

病気になる前は、仕事で無理をしても、一晩眠れば普通に回復できていました。

しかし、今は同じようにはいきません。仕事を終えた時点で一日のエネルギーを使い切り、家に帰ってから何もできない日もよくあります。

はじめは、病気前の体力を取り戻せば、以前のように動けるようになるのではないかと考えていました。そのため、運動にも取り組みましたし、睡眠や食事も見直してきました。

もちろん、使えるエネルギーを少しずつ増やしていくことは大切です。僕自身、今も続けています。

ただ、それだけを待っていては、今の生活が回りません。

そこで僕は、使えるエネルギーを増やす努力と同時に、今あるエネルギーで生活が回る仕組みを作ることを意識するようになりました。

その一つが、生活の6割をルーティンで回すという考え方です。

この記事では、病気後の限られたエネルギーでも、自分がやりたいことをあきらめずに生きるための「6割ルーティン」という生活設計について書きます。

病気前と同じ生活では、エネルギーの収支が合わない

病気になる前の僕は、多少疲れていても、そのまま予定をこなせていました。

仕事で忙しい日が続いても、休日にまとまった睡眠を取れば回復できる。少しくらい無理をしても、次の日にはまた動ける。そんな感じだったと思います。

しかし、うつ病になり、その前提が通用しなくなりました。

以前と同じ量の仕事をしても、疲れ方が違う。平日を何とか乗り切っても、休日は何もできない。少し予定が重なると、数日間疲れが抜けない。寝ても、翌朝に元の状態まで戻らない。

もちろん、病気後の状態には個人差があります。以前と同じように活動できるまで回復する人もいます。

ただ、少なくとも僕は、病気前とまったく同じ状態には戻っていません。使える体力や気力だけでなく、疲れた後に回復する速さも遅くなったように感じています。

これをイメージしやすいように、自分の状態を、エネルギーの数字で考えてみます。

病気前に一日で使えるエネルギーが100あったとします。そのうち80を使っても、20は残ります。夜に眠れば、翌朝にはまた100に近いところまで戻れていました。

一方で、病気後に使えるエネルギーがMAX60しかない状態です。以前と同じように80を使えば、収支はマイナス20です。

しかも、眠れば必ずMAX60まで戻るわけではありません。回復しきれないまま次の日が始まり、またエネルギーを使う。すると、少しずつ疲労が積み重なっていきます。

これはあくまでイメージです。ただ、Xなどでこういった発信をしていると多くの当事者の方から「わかる」とコメントをいただけるので、おそらく、皆さん、似たような感覚をお持ちなのだと思います。


そこで、大切なのは、病気前の100に生活を合わせ続けるのではなく、今の自分に合わせて生活の方を変えていくことだと思っています。

平常時にギリギリで回る生活は、少し体調が悪くなった日や、予定外の出来事が一つ入っただけで崩れます。

だから僕は、生活を軽くしながら、毎日を安定して回すための仕組みを作ろうとしています。

6割はルーティン、3割は自由、1割は余白

僕は今、生活全体を「6割・3割・1割」で回すことを考えています。

6割は、ルーティンで安定して回す時間。
3割は、自由や変化、挑戦に使う時間。
そして最後の1割は、最初から使い道を決めない余白です。

この数字は、厳密に守るルールではないです。

体調が不安定な時期なら、7割を安定して回す時間にして、自由枠を2割にする時もあります。生活が安定して余力が増えてきたら、5割・4割・1割でもよいと思います。

大切なのは、一日のすべてを予定や変化で埋めないことです。

6割は、生活の土台

起床後の身支度、出社までの流れ、仕事を始める手順、休憩の取り方、退勤前の整理、帰宅後の過ごし方、就寝前の準備。

生活には、毎日ある程度同じように繰り返す場面があります。

そうした部分は、できるだけ慣れた流れで回します。「基本はこうする」という流れがあるだけで、次に何をするかを毎回考え直さずに済みます。

この6割は、人生を固定するためのものではありません。自由や変化を受け止めるための、生活の土台です。

3割は、自由や変化、挑戦に使う

残りの3割は、ルーティン以外のことに使います。

新しく学びたいこと。趣味。家族や友人との予定。日によって内容が変わる仕事。初めて行く場所。自分が意図的に選ぶ活動です。

僕は病気になった後も、新しいことを学びたい。家族との時間も大切にしたい。趣味にも取り組みたい。仕事で役に立ちたいと思っています。病気になったからといって、挑戦や楽しみをすべてあきらめたいわけではありません。

ただ、生活のすべてを変化や挑戦にすると、僕のエネルギーでは続きません。だから、変えなくてよい部分を安定させ、そのうえで自由に使える力を残します。

1割は、使い切らずに残す

最後の1割は、可能な限り毎日使い切らずに残します。

体調の変化、突然の仕事、家族の用事、電車の遅延、予想外のトラブル。生活には、予定表に入れられない出来事が必ず起きます。

一日を100%使う前提で予定を組んでいると、小さな予定外が一つ入っただけで、自分の限界を超えてしまいます。

以前の僕は、計画を立てる時に余白がありませんでした。1日が予定でぎっしり埋まっていました。

時間があるなら仕事を進める。勉強する。家事をする。趣味でやりたいことをする。せっかくの休日なら出かける。

でも、予定が入っていない時間は、決して無意味な時間ではありません。何かが起きたときに対応するための余力であり、何も起きなかったときに回復するための時間です。

何も起きなければ、その1割は使わずに1日を終えます。むしろ、使わずに残せる日が多い方がよいと思っています。

ルーティンには、二つの役割がある

「ルーティン」というと、毎日同じことを繰り返すためのものだと思われるかもしれません。もちろん、それも間違いではありません。

生活には何度も繰り返す行動がたくさんあります。その一つひとつを、その日の体調や気分に合わせて毎回考え直していたら、それだけでエネルギーを使います。

今日は何時に家を出よう。
何から仕事を始めよう。
休憩はいつ取ろう。
帰ったら何から片づけよう。
寝る前に何をしておこう。

一つひとつは小さな判断です。しかし、一日の中で何度も積み重なると、大きな負担になります。そのため、変えなくてよい部分は、あらかじめ流れを決めておく。考えなくても始められ、慣れた順番で進められる状態を作る。

これが、ルーティンの一つ目の役割です。

スティーブ・ジョブスが毎日同じ服を着ていたというのは有名な話ですよね。

すでにある生活を、少ない負担で回すこと。

ただ、僕が病気後にルーティンを大切にする理由は、それだけではありません。

二つ目の役割は、大切なのに、忙しさやその日の気分や体調で抜けやすい行動を、生活の流れに組み込み固定することです。

体調を確認する。休憩する。睡眠の準備をする。仕事の優先順位を考える。翌日の自分が困らないように仕事を終える。

こうしたことは、必要だと分かっていても、忙しい日や調子が悪い日には後回しになりがちです。だからこそ、「できたらやる」ではなく、ある行動をきっかけに自然に続く流れへ入れておく。

僕にとってルーティンとは、毎日同じことを義務としてこなすことではありません。

変えなくてよいことは慣れた流れにして負担を減らし、自分を整えるために必要なことは、気分や体調に任せず生活の流れに組み込むこと。

それが、ルーティンを取り入れる意味だと思っています。

僕が仕事を始めるまでのルーティン

僕の生活の中で、特にルーティンが多いのは仕事です。

平日は一日の大半を仕事に使います。だからこそ、仕事の始まり方や休み方を毎日ゼロから考えないようにしています。

僕の会社はフレックスタイム制度のため、日によって出社時間を変えることができます。それでも僕は、基本的に同じ時間に家を出て、同じ時間帯の電車に乗り、ほぼ同じ時間に会社へ着くようにしています。

毎朝、「今日は何時に出ようか」と考えなくて済むからです。会社に着いてからの流れも、ほぼ決めています。

  1. PCを起動する

  2. 勤怠を打刻する

  3. 業務の進捗を管理している表を開く

  4. 昨日行ったことを記録する

  5. 自分が抱えている業務全体を見渡す

  6. 今日行うことを決める

  7. 自分のノートやワークスペースへ落とし込む

  8. 必要に応じて、重要だけれど急ぎではない仕事や勉強の時間を取る

  9. メールやチャットを確認する

  10. 本日の業務へ入る

病気になる前の僕は、会社に着いたら、まずメールやチャットを開いていました。

新しい連絡が来ていればすぐに返信する。問題が起きていれば、その対応に入る。目の前に飛び込んできた情報に反応しながら、一日の仕事を始めていました。

今は、それをやめています。外から入ってくる情報を見る前に、まず自分の業務全体を見渡します。

昨日どこまで進んだのか。今抱えている仕事は何か。今日、どこまで進めるのか。自分の体調や予定を踏まえたとき、何を優先するのか。

それを考え、今日のタスクへ落とし込んでから、メールやチャットを確認します。

もちろん、連絡を見れば予定が変わることはあります。それでも、自分の仕事の全体像を一度確認しているため、入ってきた依頼にそのまま一日を持っていかれるということはなくなりました。

このルーティンは、単に仕事を早く始めるためのものではありません。その日の作戦を立ててから動き出すためのルーティンです。

病気後の僕は、限られたエネルギーの中で働かなければなりません。だから、目の前の仕事にただ反応して一日を終えるのではなく、最小の労力で、今の自分が出せる成果をどれだけ大きくできるかを考える必要があると思っています。

僕にとって、朝のこの時間は、自分との作戦会議です。

打刻をすると進捗表を開く。進捗表を開くと、昨日の実績を書く。そのまま一覧を見渡し、今日の仕事を決める。

一つの行動が、次の行動のきっかけになっています。

気分や体調に左右されず、大切なことへ自然に進める。この状態を作れることが、ルーティンのよさだと思います。

休むこと、終わらせることもルーティンにする

ルーティンというと、「頑張るための習慣」を思い浮かべる人も多いかもしれません。

早起き。運動。勉強。読書。日記。朝活。

もちろん、どれも大事です。ただ、病気後の生活でルーティンを増やすとき、頑張るための行動だけを増やすと、かえって苦しくなります。

僕が意識しているのは、休むこと、切り替えること、終わらせることも流れに入れることです。

一時間ほど仕事をしたら席を立つ。飲み物を取りに行く。昼休みには少し外へ出る。仕事の区切りで深呼吸する。午後に一度、疲労度を確認する。

退勤前には、今日行ったことを記録する。明日へ持ち越す作業に印を入れる。作業中の資料を、翌日に再開しやすい状態にしておく。

こうしておくと、翌日の自分がスムーズに仕事に入りやすくなります。また、頭の中が仕事でいっぱいという状態で家に帰ることを予防できます。

朝、自宅でも簡単な作戦会議をしています。

起きてシャワーを浴びた後、その日の体調や疲労度を確認し、昨日を振り返り、今日の過ごし方を考えます。最近は音声入力やAIも使っていますが、朝になったら自分の状態を確認して一日を考える、という流れ自体は毎日同じです。

体調を確認すること。休憩すること。眠る準備をすること。

どれも、時間や手間がかかります。

それでも、疲れをため込みすぎない。仕事の優先順位を見失わない。翌日の負担を減らす。生活全体を安定させる。

そんな働きをしてくれるなら、それは十分に価値のあるルーティンだと考えています。

よいルーティンを選ぶための4つの条件

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