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日本人の寿命は延びた、その先に何が待っているのか                           女性87.33歳、男性81.35歳から考える長寿社会

2025年の日本人の平均寿命は、女性が87.33歳、男性が81.35歳となり、2年ぶりに男女とも前年を上回りました。女性は41年連続で世界1位です。

日本が世界有数の長寿国であり続けていることは、素直に喜ぶべきニュースです。医療技術の進歩、健康診断の普及、衛生環境の改善、食生活への意識など、長い年月をかけて積み重ねてきた成果が数字に表れているからです。

しかし、女性87.33歳、男性81.35歳という数字を見たとき、私たちは単に「日本人は長生きになった」と喜ぶだけでよいのでしょうか。

寿命が延びた先に、どのような暮らしが待っているのか。今回のニュースをきっかけに、長寿社会の明るい面と、これから向き合わなければならない課題を考えてみたいと思います。

平均寿命が延びたことは、医療と社会の大きな成果です

厚生労働省は、2025年に平均寿命が延びた理由として、がん、心疾患、新型コロナウイルスによる死亡率が低下した影響が大きいと分析しています。

かつては命を落とす可能性が高かった病気でも、早期発見や治療技術の進歩によって、長く生きられる人が増えました。救急医療や手術、薬物療法も大きく進歩しています。

長寿という数字の裏側には、医療従事者や研究者、介護職、行政など、多くの人の積み重ねがあります。

平均寿命は、その国の保健、医療、福祉、生活環境などを総合的に映す指標でもあります。女性が41年連続で世界1位を維持していることは、日本の社会保障や医療水準が高いことを示す一つの証拠です。

一方、男性の平均寿命も前年より延びましたが、世界順位は6位から7位に下がりました。これは日本人男性の寿命が短くなったのではなく、他国でも健康対策や医療環境の改善が進んでいるためです。

長寿国であり続けるためには、過去の実績に安心しないで、引き続き予防医療や生活習慣病対策をさらに進める必要があります。

平均寿命と健康寿命は同じではない

平均寿命のニュースで、特に注意したいのが健康寿命との違いです。

健康寿命とは、健康上の問題によって日常生活を大きく制限されずに暮らせる期間を指します。現在公表されている2022年の健康寿命は、男性72.57歳、女性75.45歳です。

平均寿命との差は、男性で約9年、女性で約12年あります。

この差のすべてが寝たきりの期間という意味ではありません。しかし、通院や服薬が必要になったり、一人での外出や買い物が難しくなったり、家事や仕事に支障が出たりする可能性を含んでいます。

長く生きることと、健康で自立して生きることは同じではない

女性は男性より約6年長生きしますが、健康上の問題を抱える可能性のある期間も長くなる傾向があります。

女性の長寿世界一という数字は誇らしいものですが、その一方で、認知症、骨粗しょう症、転倒や骨折、独居、老老介護などの問題もあります。

目指すべきなのは、平均寿命をただ延ばすことではなく、健康寿命との差をできる限り縮めることです。

長くなった老後を誰が支えるのか

寿命が延びるほど、年金、医療、介護を必要とする期間も長くなります。

女性の半数近くが90歳前後まで生きる時代になれば、65歳で仕事を退いた後に、20年以上、場合によっては30年近い老後が続きます。

その長い期間を支えるためには、本人の貯蓄や年金だけでなく、家族、地域、医療機関、介護施設、行政の支援が必要です。

ところが現在、医療や介護の現場では深刻な人手不足が続いています。高齢者が増える一方で、支える側の現役世代は減少してきています。

寿命を延ばす医療が発達しても、その後の生活を支える仕組みが弱ければ、この先、本当の安心にはつながらない

家族の負担も大きな問題です。高齢の親を高齢の子どもが介護する老老介護や、仕事を辞めて介護に専念する介護離職も増える可能性があります。

長寿社会を維持するためには、病院や介護施設を増やすだけでは足りず、在宅医療、訪問看護、見守りサービス、移動支援など、地域で暮らし続けられる仕組みを整える必要があります。長生きすることが本人や家族の不安につながる社会ではなく、年齢を重ねても安心して暮らせる社会を作らなければならないのです。

これから問われるのは、何歳まで生きるかではない

健康寿命を延ばすためには、特別なことを高齢になってから始めるのではなく、若い頃からの積み重ねが重要です。

適度な運動、十分な睡眠、栄養バランスの取れた食事、禁煙、節度ある飲酒、定期的な健康診断など、基本的な生活習慣が将来の健康を左右します。そして、高齢になっても自分の口で食べ続けるためには、歯や口腔機能を守ることも欠かせないので、歯科検診を定期的に受けることが重要です。
歯の定期検診を怠り、歯を失うことや噛む力が低下することになれば、食事量や栄養状態だけでなく、全身の筋力の低下や人との交流にも影響してしまうからです。

自分の足で歩き、自分の口で食べ、自分の意思で生活できる期間を延ばすために、歯科検診を受けましょう

また、健康とは、病気がないことだけではなく、
人と話す機会があること、役割や楽しみを持つこと、社会とのつながりを失わないことも、心身の健康を保つうえで重要です。

平均寿命が延びたことは、日本社会が成し遂げた大きな成果です。しかし、その成果を本当の幸福につなげるためには、健康寿命、医療、介護、住まい、家族支援まで含めて考える必要があります。

日本人の寿命が延びた先に待っているものを、長い介護や不安だけにしないよう、これからの日本が目指すべきなのは、ただ長く生きられる国ではなく、最後まで自分らしく、安心して生きられる国を目指すことなのです。

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