渡島半島左側探訪① 〜函館の夜は暮れてゆく/ミドル夫婦の車中泊de道の駅めぐり
#1 函館までのハッピードライブ
2025年7月15日。
その日の北海道は、台風5号が今朝直撃というド級の悪天候に見舞われる予定であった。
しかし、シフト制勤務のわたしはこの三連休を逃すと次にいつ連休が取れるか判らない。いずれにしても、多少の雨ならば出発しようとは、夫と昨夜のうちに話し合っていたことだ。
かくして、目覚めは7時。
窓を開けると、雨は前夜に比べてかなり小雨になっており、どうやら台風はオホーツク海方面へ抜けた様子だ。
その場で道北と道南の天気予報を見比べた結果、まだマシに思えたのは道南。
こうして、今回の旅は道の駅のスタンプを取りこぼしている二か所のうちのひとつ、渡島半島の西側をめぐる旅になることが決定した。

午前8時、近所のセブンイレブンでお気に入りのコーヒーをゲットし、意気揚々と車をスタートさせる。
しかし、天気はやはりこのザマ↓

渡島半島の西側は、知人から絶景ポイントの多いドライブルートと聞いていたが、これではどこまで見渡せるか解ったものではない。
とは言え、ガチガチの直撃中でなかっただけでも良しとすべきか…などとぶつぶつ言いながら、車はトコトコと進んでいった。
実を言うと、ここ最近は前乗りが多かったせいで、朝の出発は久しぶりのことだ。
夜中に走って朝に知らない土地の空気を吸うのも非常に趣があるけれど、明るいうちにだんだんと見慣れない景色になってゆくドライブも、やはり捨てがたいものである。
一見味気ない高速道路も、室蘭方面へ折れると一気に旅行感も増し、悪天候でもそれなりに楽しくなってきた。

昼食は何にしようかと話し合いながら、とりあえず急ぐ旅でもないということで、豊浦ICで高速道路を降りる。
そういえば、この間『じゃらん』で【ハーベスター八雲】さんという、美味しそうなお店を見つけていたのだ。
できればそこへ行ってみたいねぇ…などと雑談に興じているうちに、車は長万部町へと差し掛かった。
この辺は、我が町のある日高方面から高速道路に乗って函館方面へ向かっていると、ただ通過してしまうことの方が多い街だ。
去年あたりは突然お寺の敷地にガスが噴き出したとかいうニュースで盛んに長万部町の名を耳にしたが、それ以外の話題はあまり記憶にない。
国道5号線は他の街の多分に漏れず幾分か…いや、かなり寂れて見え、せっかく高速道路を降りてみたのにあんまり面白そうなものも見当たらないね…とぼんやりしていると、ふと、昭和のドライブインのような大きな建物が目に飛び込んできた。
通りすがりに首を回して看板を見てみると、なんと!!【かなやかにめし本舗】とあるではないか!!
何ィー!!あの、駅弁で有名な『かなやのかにめし』の直売店か!!

いっそ予定を変更して、ここでランチもありか!?と思いながらUターンしてみたところ、
ハイ定休日!!
前回の知床めぐりからこちら、我々はどうも定休日に祟られているようである。
仕方なく本線復帰して再び函館を目指し始めて間もなく、今度は右手側に不思議な建物が見えてきた。
一見すると、函館にある某人気ファーストフード店を思わせる外観だが、奥の方には工場らしきものが見て取れる。
おなかも空いていたため、一瞬そのまま通り過ぎようかとも思ったが「お菓子」の文字が目に飛び込んできたため、わたしたちはそのままそこへ飛び込んでみることにした。

看板に大書された店名は【はっぴーディアーズ】さん。
平仮名と片仮名が混在する印象的な名前だ。
恐る恐る車を降りてみると、中からはガンガンとお店のイメージソングらしきものが聞こえてくる。

ごくりと息を呑んで振り返ってみてみれば、門の裏にはやべえ感じのスプレーアート(?)が散見され、いよいよ怪しい雰囲気に拍車がかかってきた

恐る恐る店内に足を踏み入れると、そこは「お菓子のヴィレッジ●ンガード」とも言うべきカオスの世界!!
怪しげなピンクのライトに照らされて、お菓子を中心とした食料品がぎっしりとひしめいており、見ているだけでもワクワクしてくる。
どうやらここは有名な北海道土産や漬物・缶詰などの食料品を手掛ける工場の直営店で、自社開発のオリジナル商品も豊富なことから、知る人ぞ知る穴場スポットとして名を馳せているらしい。
中にはソフトクリームの販売やコーヒーの無料提供(!!)コーナーなどもあり、ただ買い物するだけでなく、長旅の休憩スポットとしても親しまれているようだ。
とにかく食べ物を見ているだけで幸せな気持ちになってくるわたしは、あれやこれやと見回っているうちに北海道で最近売り出し中のブランド土産が何と80%OFF(!!)のアウトレット価格で販売されているのを発見し、大喜びで会社へのお土産を全てここで買い終える運びになってしまった。
いや~~~すげえお店もあったもんだ!!
高速道路を降りた直後は寂れ具合が切ないこともあり、失敗したかな?と思ったけれど、結果的に長万部町は大変興味深い街であることがわかったので、いつかまたゆっくり再訪しようと心に誓ったのでした。
#2 八雲町で絶品フライドチキンと出会う
長万部を過ぎて八雲町に入ると、また雨脚は強さを増してきた。
それでも、途中で立ち寄った噴火湾パノラマパークは相変わらずの絶景。
雨のために歩くことは叶わなかったが、ここもいつかゆっくり来たいねぇ、などと話しながら、キレイに整備された庭園のような道をひた走ってゆく。
やがて、お昼を少し回った13時3分、広大な敷地の中に建つヨーロピアン調のオシャレなレストラン【ハーベスター八雲】さんに到着した。


ちなみに、ハーベスターと言うと一般的には農業や林業用の機械を指すのだが、こちらの看板を見るとハーブ園だからハーベスターということらしい。
店内は広々として裏庭にはテラス席まであり、緑の中の眺望はなかなかのものだ。
ピザやパスタなどの作り置きできないメニュー以外は、ショーケースの中から選んで取ってもらうソフトバイキング形式で、美味しそうなものばかり。


結論から言うと、ピザはピザ好きの夫が過去ベスト3に入れるくらいの美味しさ!!そしてわたしも、某大手有名フライドチキンチェーンを余裕でぶち抜く美味しさのフライドチキンに出会ったのは初めてでした!!
グラタンもサラダも本当に美味しくて、素材から良さげなのが伝わってくるレストラン。
ぜひまた来ようね!と言いつつ、わたしたちは八雲を後にしたのだった。
#3 函館散歩ふたたび
八雲を過ぎて函館に差し掛かる頃になっても、天気は相変わらずの雨模様。
基本的に主目的は道の駅のスタンプラリーを少しでも進めることだったが、せっかく初めて行く場所なら晴れた日の姿が見てみたい。
そんなわけで、とりあえず今日よりは少し回復しそうな天気予報を信じ、道の駅巡りは明日に先送りすることにして、わたしたちは今日の雨天を函館観光に切り替えることに決めた。
とは言え、この車中泊を始めた去年の6月、初めて出かけて来たのが何を隠そうこの函館である。しかも、その時に行ってみたいところはあらかた廻り切ってしまっていた。
え~~~あと行ってみたいところなんてあるぅ?とGoogle検索とにらめっこしていると、【市立函館博物館郷土資料館】というところがヒットした。
不覚にもこんな歴史のある街で郷土館や資料館と名の付くところに行っていなかったことを大いに反省しつつ、そこを目指すことにする。
市内に入ると、まずは博物館近辺の駐車場を見つけて車を乗り入れた。
せっかくなので知らない街並みを楽しむため、ある程度歩くことは折り込み済み。さっそく散策を開始する。


それにしても、函館の街並みは何度見ても飽きが来ない。
新旧、レトロ&モダン、和洋、山と海、都会と田舎、様々な要素が混然一体となって函館という街の美しさを形成しており、個人的には北海道内好きな街ランキングでは絶対にベスト3に入る。
住むには些か坂がキツそうだが、その坂もまた函館の絶景を間違いなく担っているので、こうして観光で訪れるのが一番いいんだろうなあ…なんてことを思いつつ、夫と2人でてくてくと目的地を目指した。
まもなく辿り着いた【市立函館博物館郷土資料館(旧金森洋物店)】は、入場料たったの100円。
140年以上も前に建てられた商家の建物をそのまま利用した資料館で、入ったとたんに素敵な紳士・淑女スタッフの方がオートで函館の歴史や文化の説明をしてくださるという胸熱スポットだ。
これは、あまり興味のない方からすると些か長い説明に感じられるかも知れないが、拝聴していると函館に対する郷土愛と歴史に対する教養の深さが同時に感じられ、最終的には心からの感動を味わうに至った。
おそらく、この説明を聞くか聞かないかで展示物を見学する際の気持ちがかなり変わって来ると思われるので、お時間の許す方はぜひともこの説明タイムをしっかり味わって欲しいところだ。



資料館の至るところには、歴史を物語る貴重な資料がわんさと展示されており、それらをつぶさに見ているだけでも相当楽しめる。



















すべてを観終わる頃にはすっかり感動し切って大興奮のわたしたちに向かって、スタッフのお姉さんがぽつりと零されたお言葉が印象的だった。
「こんな小さな施設なので、通りかかってもスルーされてしまうことが多いんですよ…だから…寄ってくださって本当に嬉しいです。ありがとうございました」
いやー…本当にね。
今どき自分のお仕事にこんな愛を持って向き合われている方がどれくらいおられようか。
男性スタッフの方のお話にも同じような地元愛がひしひしと込められており、思わずホロリと来てしまう中年夫婦我々。
売店では、少しでも足しになればと館長さんのお手製栞を購入した。
最後に「ブログにアップしてもいいですか?」とお尋ねすると、ふたつ返事で「もちろんです!どんどん撮ってってください!」とのことだったので、本当に函館観光で迷っておられる方にはぜひお立ち寄り頂きたい。
歴史が好きな人なら絶対に入場料の何倍も価値のある施設でしたぞー!!
知的探求心を満たしたあとは、空腹と物欲を満たすべく、ぶらぶらと金森倉庫まで歩いていった。
空はまだ曇天だったが、雨は止んでいて、海風は心地よい。

金森倉庫に着いてすぐ、最初に目に入ったのは【おかき処 寺子屋本舗】さん。
ここには食べ歩きできる焼きたての煎餅やぬれおかきの串が売っている。
あとで調べてみたところ、おおもとは全国展開のチェーンのようだが、北海道には函館の一店舗のみらしく、函館店限定の煎餅なども販売されていた。

ハーベスター八雲でランチを食べてからそう時間は経っていなかったが、あまりに美味しそうな並びに負けて、わたしはいかせんべいを、夫はぬれおかき串の唐辛子を購入する。


そのあとは、前回立ち寄って購入した『ココナッツパインチーズケーキ』がべらぼうに美味しかったスナッフルズの金森倉庫店に行ってみた。
ココナッツパインは当時期間限定フレーバーと書かれていたように記憶しているのだけれども、まだ販売されていたところを見ると、人気のために定番化されたのかも知れない。
前は確かイートインスペースがしっかりあったような気がしたが、今回訪れた時は、スイーツショップにしては変わった作りになっていた。
何と購入したケーキをその場で食せる立ち食い式!


スナッフルズさんのチーズオムレットは昔と違って総じてひと口サイズなので、椅子やテーブルがある席とは違って食べ終わったらすぐ立ち去らなければならない立ち食い制は、かなり適したシステムではないかと思われた。小さいコーヒーがついてくるのもポイント高かったなあ。
そのあとは、主に海産物を扱っているエリアで友人に送るものを購入し、発送した。
珍しい海鮮加工品などがそこそこリーズナブルに手に入り、大満足!
そこから晩御飯までの時間は、周囲をブラブラして過ごすことにする。



途中のドラッグストアで車中泊に必要なものを買い足し、車に戻ったのは18時過ぎ。
そろそろおなかもすいてきたね…と顔を見合わせたわたしたち夫婦は、同時に夕飯に食べたいものを叫んでみた。
「前に行った【笑てん】の塩ラーメン!」と夫。
「【函太郎】のお寿司!!」とわたし。
こういう時、以前ならどちらかが食べたいものを我慢してどちらかに合わせるのが常だったが、2月に行った名古屋旅行で、どうしても『ひつまぶし』が食べたい夫と鰻が食べられないわたしが別々のお店でランチをしてみたところ、案外と楽しかったね…という結論に至った。
以来、互いにどうしても食べたいものがある場合は別行動も厭わないという明確な旅のルールを設けたので、今回も自然とその流れになる。
とりあえず夫を【笑てん】さん付近で放流し、わたしは車で海沿いにある【函太郎 本店】へ向かった。
チェーンの飲食店で発祥の地に行ったら、絶対に本店で食べるべき!というのがわたしの自分ルールなのである。
だって、本店は絶対に威信をかけて運営しているはずだからね!

【函太郎】は、義姉から「函館に行ったら絶対行った方がいいよ」とオススメされていたローカル回転寿司だ。
東北や関東にも手広く出店し、近頃は海外進出も果たしたという大手チェーン。そういえば空港でも看板を見かけたような気もするが、今まで一度も入ったことがなかった。
わくわくしながら暖簾をくぐり「一名です」と告げると、しっかりパーティションで区切られたお一人様席に案内される。

ここからタッチ式のメニューを見て、真っ先に感じたことは「高いな!!」であった。
しかしまぁ…天下の函太郎本店…べらぼうに美味いに違いない…と信じ、好きなネタをひとつひとつ注文してゆく。





結果、6皿で2500円弱のお会計となった。
本当はサイドとかも食べてみたくて楽しみにしていたのだが、これは完全なる観光地ムーブと言わざるを得ませんでしたね!!
正直言って海鮮王国北海道、同レベルの回転寿司をもっとリーズナブルに楽しめるお店は山ほどあるな…という感想にしかならなかった。
同じローカルなら根室花まるや釧路なごやか亭に軍配を上げてしまいますね…。悲しみ。
若干の物足りなさを抱えながら車に戻る頃、ちょうど夫からも電話がかかってきた。
さぞや美味しい函館塩ラーメンを楽しんだのだろうと思いきや、何と【笑てん】さんは定休日だったらしい。
仕方なくマップで近隣の塩ラーメン屋さんを探してもう一軒行ってみたが、そこも定休日だったらしく、合流した夫は半泣きの勢いでしょぼくれていた。
とりあえずその場で、とにかく函館塩ラーメンが食べられるお店を…!と検索しまくり、片っ端から突撃してみることにする。
ところが本当の地獄はここからであった。
何と3軒目、4軒目、5軒目までもが定休日だったのである…!
今回はどうも函館塩ラーメンを食べられない運命にあるようだと悟った夫は、口から魂が抜けだしたような虚無顔で「とりあえず、先に風呂に行こう」と静かに言った。
元々、前回の函館旅行の時にお世話になった家族風呂【花家族】さんに行く予定だったので、その周辺でお店を探すことにする。
結局「もう何でもいいや」と飛び込んだのは町中華のお店【チャイナダイニング鳳凰】さん。
すっかり心が折れてしまった夫は冷やし中華を注文し、わたしはシークワーサーサワーとおつまみでお付き合いすることにした。

しかし5軒も続けて函館塩ラーメンを阻まれた夫を神様が憐れんでくださったのか、結果的にこの選択は大当たりであった。
何というか、めちゃくちゃ「ちゃんとした」中華だったのだ。


若干の割高感はあるものの、美味しいご飯に夫もすっかり機嫌を持ち直し、わたしたちは意気揚々と家族風呂へと足を向けた。
ウマイ飯っていうのは本当に偉大だね!!
もう一度言います。函館・チャイナダイニング鳳凰さんはウマイよ!!
さて、先述した【花家族】さんは地元でも人気の個室温泉だ。
これまで北海道じゅうを旅してきたけれど、ここまでリーズナブルでここまで充実した家族風呂・個室温泉にはなかなかお目にかかることができない。
花家族さんは基本的に天然温泉で、客室によってはサウナや露天風呂まで楽しむことができる。
わたしたちは基本的に風呂さえ入れればよいというスタンスなので、一番リーズナブルなお部屋をお願いするのだが、これがたったの2000円。
普通の温泉で家族風呂や個室を頼もうとすると、安くても3500円はくだらないことを思うと、かなりお得感がある。

ただ、アメニティの類は一切置いていないので、持ち込みあるいはフロント横に設置してある自販機で買わなければいけないのと、ドライヤーがヤバいくらいに弱いので、それだけは注意が必要だ。
ともあれ、22時過ぎに風呂を終えたわたしたちは、とりあえず次の道の駅で朝を迎えようと【道の駅・みそぎの里きこない】へと車を向けたのだった。

函館から木古内町へ続く夜の国道228号線は、街灯りが海の向こうに霞む絶景だった。
初めて通るルートに、これは昼間もキレイだろうねえ…などとありきたりな感想を漏らしつつ、対向車も少ない夜道をひた走る。
【道の駅・みそぎの里きこない】に到着したのは、すっかり真夜中になってしまった23時3分のことだった。
【みそぎの里きこない】はJRの駅と隣接しており、深夜から早朝まで電車の音がひっきりなしであることを思うと、決して車中泊向きではない施設なのだが、水仕事や洗顔などができるシンクが外に設置されていたり、キレイな24時間トイレが完備されていたりと、マインドはどことなく車中泊ウェルカム的な造りになっている。
今夜はここで仮眠をとって、明日からはいよいよ渡島半島西側の道の駅を潰して行くぞー!と意気込みながらこの記事を書き始めたら、いつの間にか爆睡してしまっていた。
そんなわけで、初日の函館はかなりのボリュームになってしまったので、性懲りもなくまた何部かに記事を分けることにしようと思います!
次回は、松前城下町をめぐる編でお会いしましょう。
それでは、このたびはこの辺で!
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