[ Human ] 三つの魔術 (白・黒・灰)前編
はじめに
本稿は三つの魔術についてのお話。誰もが一度は聞いたことのある「白魔術」や「黒魔術」、そこに「灰魔術」を加えた三つの魔術が本件のテーマです。
きっと、聞いたことはあるけれど、その定義を述べよと言われたら曖昧なことと思います。ましてや「灰魔術」なんて初めて耳にしたのではないでしょうか。
今回はこの魔術についての起源から全てをDecodeしちゃいます!
「魔術」の「魔」は、我々にとって邪な影響をもたらす術だから「魔」とされているわけではなく、支配者にとって「邪魔」な術ゆえに「魔術」と定義されていることがお分かりになることでしょう。
では始めましょ〜!
魔術
まずは三つの魔術の定義の前に、魔術そのものの起源から始めましょう。
・魔術の起源

「ミトラ教の壁画」(中央)
「ブッダのようなミトラ」(右)
カルデア → バビロニア → ペルシア → イラン
秘教的伝統の源泉を辿ると、その多くは古代カルデアの「Chaldean Magi / カルデアン・マギ」へと行き着きます。「世界宗教の群像」に描かれているすべての宗教の雛形とされるミトラ教もペルシア、仏陀のようなミトラの像もイラン(ペルシア)で見つかり、現代の「Magic / 魔術」という言葉もまたカルデアン・マギの「Magi / マギ」を語源としています。

聖書においてカルデアン・マギは、イエスの誕生を祝うために訪れた「東方の三博士」として象徴的に描かれていることで知られます。イエスが誕生したベツレヘムから見て「東」とは、マギの居住地であったカルデアを指すからです。このエピソードは、聖書においてカルデアが智慧の源泉であったと示唆された有名な象徴的寓話です。
また、三蔵法師が天竺を目指し「西」へ旅した物語。一般的には中国から見て西のインドを目指したとされますが、前述した旧約聖書の象徴的寓話を鑑みると、インドを通り越したさらに西にあるカルデアを象徴していたのではとも考えられます。また、弥勒菩薩はサンスクリット語で「マイトレーヤ」と呼ばれ、この語源はミトラにあると言われております。
これらの理由から、秘教的伝統の源泉は西も東もカルデアにあると言われます。

古代のカルデアン・マギは、単なる神秘主義者ではありませんでした。彼らは天文学、占星術、数学において卓越した知識を積み上げ、現代社会の基盤にも通じる実用的かつ賢明な発見を数多く残しました。
それは、我々が日常的に使用する「Calendar / カレンダー」という言葉の語源が、彼らの居住地である「Chaldea / カルデア」に由来していることからも明白ですね。彼らが発展させた暦の概念は、時を計るという人類共通の概念を決定づけたと言われております。

コンパスは宇宙を図り尽くした創造主の象徴。換言すれば、図る(計る)という行為は神の御技の代行。理の中でも最上位に位置する「時間」を、人類で初めて計ったカルデアン・マギ。その功績ゆえに、時を計測する「暦」の呼び名が「Calendar / カレンダー」なのでしょう。
これらマギの智慧、つまり「Magic / 魔術」とは、古より連綿と受け継がれてきた真理の結晶であり、マギたちの智慧そのものです。それは現代のおかしなイメージとは異なり、単なる迷信や空想ではありません。古代のマギたちが体系化したこの智慧は、人類の文明を支え、宇宙の理を解き明かすための深遠なる学問であり、古代の智慧の塊なのです。
人類の文明を支え、宇宙の理を解明する学問 = 魔術
では次に、もっと時代を遡り、魔術と人間との関係について見てみましょう。

・人類の生存と魔術の発生
魔術という概念は歴史の初期段階から存在します。この背景には、人間の「心理的な脆弱性」が関係しております。カルデアン・マギの時代より遥かに古い古代において、人間が直面する自然環境は極めて危険であり、当時は頼るべき哲学的な背景も、論理的に整理された神学も存在しませんでした。
このような状況下で、平均的な人々は自らの身を守る手段も洞察力も持たず常に不安に怯えていなければなりませんでした(心理的脆弱性)。そこで現れたのが、北米先住民の伝統などに見られる「シャーマン」、つまり「呪医・司祭」と呼ばれる「聖なる人々」です。彼らは文明が発展したから現れたのか、彼らが現れたから文明が発展したのかは不明ですが、『象徴の威力:情動』で記したことを鑑みると後者であるとわたくしは考えます。

右上の角の生えた大きな人間がシャーマン
『象徴の威力:情動』より引用

彼らは生まれながらにして特別な資質を持ち、精霊と対話し、他者には見えないものを見る力があると信じられておりました。しかしながら、これらの司祭たちの実態は、単なる「拝み屋」ではなく、もっと現実的な群れのリーダーでした。彼らは食べられる獲物や植物の知識を有し、狩猟技術や獲物の居場所を教え、天災を予知し、病を癒やし、さらには死後の世界へ旅立つ魂のガイドを務めるなど、コミュニティの生存と心の平穏に不可欠な役割を果たしました。
シャーマンの智慧、つまり魔術があったからこそ、怯えていた人々は安心感を得ることができ、コミュニティを維持・成長させることができ、結果的に人類という種を現代に繋ぐまでに至るのです。
・魔術(智慧)を行使する者は人間の心理的脆弱性を埋め、生存に必要な智慧を与えた。
では次に、魔術というものはどういう働きをするものなのかについて見てみましょう。
・象徴と信念

魔術において重要なのは、物体そのものに力が宿っているのではなく、そこに「人間の意志」が加わることで初めて象徴としての価値が生まれるという点です。例えば、単なる綺麗な小石も、それを革紐でアクセサリーに加工し「お守り」として定義した瞬間、それは古い真理の力を宿した「象徴的なお守り」へと変容するということ。
マンリー先生によれば、お守りや護符、あるいは聖なる遺物が効果を発揮する最大の要因は、それを持つ人の「Belief / 信念」にあるといいます。要するに精神的な力であり、これすなわち「信じる力」です。人間の精神的脆弱性を補うことが本質ですから、精神的な力を用いるのが道理。
視覚化の力(物質化・顕現化)
未知のものに対して「魔法的な価値」を視覚化(ビジュアル化)することで効果を発揮させます。心理学で言うところの「プラセボ効果」と同じであり、時に驚くべき結果をもたらします。心理的補完(信じる力)
人間は自分の性質にある精神的脆弱性を支えるために、何らかの対象を信じることで、内面的な強さを引き出します。
このように、魔術は本来個人が持っていない「内面的な強さ」を手にし、過酷な現実に立ち向かうための「心理的な脆弱性を埋める触媒」として機能してきました。これが魔術の始まりです。
・魔術は人間の心理的脆弱性を埋める術
・その力は主に行使する者の「信念」に依存する

運動をして筋力を上げ肉体を強靭化するように、肉体の対である精神も魔術により強靭にし、初めて「人間」として均衡が取れるのです。
ではこの古代の魔術、現代ではどうなっているのでしょうか?
・現代に生き続ける魔術

魔術の必要性は科学が高度に発達した現代においても決して失われてはおりません。あなたもお守りを携えたり、ジンクスを信じたり、何らかの験担ぎをした経験がおありではないでしょうか。社会が不安定であればあるほどに、人々は「目に見えない力」による守護や救済を求めるもの。生まれた時から右へ左へと不安定な社会に生きる我々にとって、何らかの魔術的要素に頼ることは極めて自然な行為と言えます。それらは現代において「まじない」程度のものですが、人々の精神的な脆弱性を補うという、古代より変わらぬ重要な役割を今なお変わらず果たしているのです。
しかし、ここで一度立ち止まって考えてみてください。
数千年の歴史を持つ古代の魔術が、今我々の知る単なる「まじない」の域に留まったままなのでしょうか。立ち止まり考えれば、我々一般層が知る「まじない」だけが魔術のすべてであるはずがないと気づきますね。事実、まじない程度の一般的な魔術と、深淵なる智慧の魔術とは切り離されております。よく言いますでしょ?我々が使用する星占いと、支配層が使用する占星術とは違うと。いつの時代も、深遠なる智慧は支配者によって独占・秘匿されるのが常ですから。
そして、我々が求める魔術はもちろん後者の秘匿されているもの。
全ての高次な知識は元来聖職者階級の手に握られていた。聖職者たちはその神的な特権を用いて法律を作り実施し、支配者を指名し彼を支配し、人々に必要なものを供給し、死者の運命を支配した

そこで重要になってくるのは、現代における「智慧の隠し方」です。どのように隠されているのかを知らねば何が魔術なのか分かりません。ただ、現代の智慧の隠し方は実に巧妙です。古代のように一般的な人々から智慧を物理的に遠ざけるのではなく、あえて「衆目の真っ只中」に晒すことで隠蔽する手法。これがとても厄介なのです。

と言ったところで本稿は締めとさせて頂きます。あなた様の心にわたくしの魔術の心が届きましたなら引き続きお付き合いをお願いいたします。
続きはこちらから。
関連記事
『世界宗教の群像』
https://note.com/as_above_so_me/n/n5c6e562ebe90
『象徴の威力:情動』
https://note.com/as_above_so_me/n/nc3f9ccff5de3
作品紹介
新刊:Da Vinci Code Reloaded
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B0DJQFFZV8
デジタルBook:『現代の神話 911の解読』
https://note.com/as_above_so_me/m/m4ebc0a0d7072
デジタルBook:『デンバー国際空港の秘密』
https://note.com/as_above_so_me/m/mf46ab480b3ad
デジタルBook:『アマデウスの魔笛の秘密』
https://note.com/as_above_so_me/m/m33b88e014dd3
デジタルBook:『ヨハネ黙示録 完全解読』
https://note.com/as_above_so_me/m/m2621d1ca823c
デジタルBook:『Decode of the Matrix』
https://note.com/as_above_so_me/m/m73ac6525d7c3
デジタルBook:『ダヴィンチコードを乗り越えて』
https://note.com/as_above_so_me/m/m34f4cb75b450
本:『Divine Ratio Re:Decode』
https://www.amazon.co.jp/dp/B0BYRLXRJS?tag=note0e2a-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1
本:『As above So below』
https://www.amazon.co.jp/As-above-So-below-やよい/dp/B09TDT58PB
アパレル&小物:Cavalier Camp
https://suzuri.jp/Simotuki_Yayoi_113
いいなと思ったら応援しよう!
もしよかったらサポートをご検討してくださいまし。
わたくしのお伝えするお話は大衆娯楽誌のように広まるようなものではなく、ビジネスとしては成り立ちません。故にnoteを通してのサポートは大変助かります。
わたくしのお話があなた様の心の琴線に触れましたならサポートをお願い致します。