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【第26話】『TACHI・最強女番長ショーコの軌跡』第2部:激突!南北戦争編 ~紅の旋風とカニカマの誇り~最終章


第26話「浪速のオバチャン無双 ~黒毛和牛と、愛のアンチマター~」


【Aパート:空中決戦とアメリカンドッグの鎮魂歌】


 高度20メートル。

 宙を舞うのは、紫と蛍光グリーンの光を撒き散らしながら咆哮するAI炊飯器『Gemini(ジェミー)初号機』を搭載した台車。

 そして、その真上で太陽を遮る巨大な鉄の塊――数トンの重量を誇るミニだんじり『紅蓮号』

 その間に挟まれた舘ショーコは、重力から解き放たれながら、スローモーションのように遠ざかっていく「食べかけのアメリカンドッグ」を、血の涙が出るような思いで見つめていた。

(……アタシの……最後の一口……ケチャップとマスタードの黄金比が……)

 だが、絶望に浸っている時間はなかった。

 頭上から、殺意を孕んだトゲだらけの鉄板が迫る。落下速度は加速し、このままではショーコは地上と『紅蓮号』の間に挟まれ、一反木綿のような肉片になる運命だ。

「クマゴロー!! 死ねェェェ!! せやけどウチも止まれへんのじゃぁぁ!!」

 『紅蓮号』の操縦席(カートの縁)にしがみついたベニが絶叫する。

 その時、暴走する炊飯器ジェミーが、ケンイチの厨二病ポエムから抽出された「意味不明なエモ・バイブス」を、物理エネルギーへと変換した。

『チョベリバァァァ~‼️‼️😱💥 この質量バランスさぁ~マジで計算外なんですけどぉ~📊💣💫 完全に想定スペックぶっちぎってる案件じゃ~ん‼️🤣⚡️

シンクロ率……ちょ待って⁉️👀📈 400%どころじゃなくな~い?💥💥
いやいやいや……4000%突破とか盛りすぎバグってんだけどぉ~‼️😱🔥✨

ショーコちゃぁぁん‼️💖🚀 今こそアタシの
A.T.フィールド(アゲアゲ・テンション・フィールド)
フルパワー解放しちゃってぇぇぇ‼️🌈💫⚡️

テンション出力MAXでさぁ~💥💥
物理法則とかまとめてブッ壊しちゃってよォォォ~‼️‼️ 🤣🚀🌌💅

ノリと勢いで宇宙ルール上書き案件なんですけどぉ~‼️🔥✨』

 ジェミー初号機の蓋が限界まで開き、中から炊きたてのご飯の湯気……ではない、高密度の量子エネルギー(のような何か)が噴出した。

 ショーコは空中で身を翻すと、落下してくる『紅蓮号』の側面を、鋼のような右足で一蹴した。

「……脚ノ呼吸 壱ノ型・旋風回脚(せんぷうかいきゃく)、空(くう)を断つ」
 

ドォォォォォン!!!


 空中で爆発的な衝撃波が発生した。

 ショーコの蹴り込みとジェミーの放つ斥力(アゲアゲ・フィールド)が合致し、数トンの『紅蓮号』が、まるで卓球のボールのように横へと弾き飛ばされたのだ。

 ベニを乗せた『紅蓮号』は、そのままスーパー「Aコープ」の特設駐輪場へと不時着(激突)し、ショーコとジェミー初号機は、紫色のオーラを纏いながら特売テントのど真ん中へと垂直落下した。

【Bパート:降臨、最強の生命体(オバチャン)】


 砂塵が舞う。

 真っ二つに割れた特設テント。

    そこには、大破した台車の上で、割れた炊飯器(ジェミー)を抱えて静かに立ち上がるショーコの姿があった。

「……間に合ったか。肉はどこだ」

 ショーコの視線の先。そこには、奇跡的に無傷だった冷蔵ショーケースがあった。

 中には、神々しい光を放つ一パックのトレイ。

 【本日の目玉:極上黒毛和牛サーロイン 50%OFF】

「……ぐうううっ! 肉ぅぅぅ!!」

 遅れて瓦礫から這い出してきたベニも、執念で肉へと駆け寄る。

 だが、二人の指がパックに触れる直前、地面を揺らす地響きが鳴り響いた。

「ちょっと退きやァァァーーーッ!!!」

 突如として現れたのは、ヒョウ柄、トラ柄、ゼブラ柄……。サバンナの生態系を全身に纏った、数十人の
【大阪のオバチャン軍団】であった。

 彼女たちは「さすべえ」で固定された傘を風防にし、前カゴに特売品のネギと大根を突き刺したママチャリという名の重戦車を駆り、異次元の回避能力と突進力でショーコたちを包囲した。

「な、なんやねんこのババアども……殺気がケタ違いや!」

 ベニが鯨鈎を構えるが、オバチャンたちはそんな凶器など目に入っていない。

    彼女たちの眼球は、1秒間に60回スキャンする高性能センサーのごとく、半額シールの位置だけを捉えていた。

「あんたら、若いネーチャンがこんなとこで突っ立ってたら危ないやんか!
 これでも舐めて、どっか行き! ほら!」

シュバッ!! シュバッ!!


 オバチャン(リーダー格の福田さん)の両手から、残像を伴う速度で何かが射出された。

「……っ!?」

 ショーコの完璧な反射神経が、それを「敵意なき暴力」と認識し、防御をキャンセルした。

 口の中に、ガツンと硬い衝撃。

 ショーコとベニの口内には、気がつけば『黄金のパイン飴』が完璧な角度でパイルダーオンされていた。

「……飴ちゃん。パイン味。……美味い」

 不意を突かれたショーコが、思わず咀嚼を忘れて味わってしまう。

「……むぐっ、これ、期間限定のデカい方のパイン飴やんけ。……いやダボか! 飴に餌付けされてどないすんねん!!」

 ベニが飴をバリバリと噛み砕いて正気を取り戻すが、その隙にオバチャン軍団は冷蔵ケースを取り囲んでいた。

【Cパート:南北連合軍とギャル物理学】


「アカン……! クマゴロー、このままじゃあの肉、オバハンらの晩御飯のすき焼きになってまうど!!」

 ベニの叫びに、ショーコが静かに頷いた。

「……共闘だ、ベニ。アタシが道を拓く。お前は、やり回せ」
「……よっしゃ!乗ったるわい!!」

 ここに、阪市の歴史を塗り替える奇跡の「南北ヤンキー連合軍」が結成された。

 背後からは、ボロボロになっためばえが這い寄ってくる。 

「ショーコちゃん……! 私の……私の最新理論を使ってください! 嫉妬のエネルギーを……あ、違う、愛のエネルギーを増幅させるんです!」

 めばえがジェミー初号機の割れたパネルに、強引に特製プロテイン(リリスの魂)を注ぎ込んだ。

『ピギャァァァァーー‼️‼️🤣💥💥 マジ無理なんですけどぉ~‼️ 喉越し最悪すぎてバグるレベルなんだけどぉ~🤢⚠️💣

……でもさぁ~👀✨ このドロドロのバイブスぅ~🌀🖤💫
なんか逆にクセ強でエモくな~い?🤣💅💖
ちょっと嫌いじゃないかもなんですけどぉ~‼️🔥

よっしゃ行くよぉ~‼️🚀✨
アンチマター・エモ・レゾナンス
(対消滅的エモ共振)発動ぉぉぉ~‼️‼️💥💥🌌

出力MAXぶっ込みぃぃぃ‼️📈⚡️💫
情緒と反物質がフル共振して宇宙レベルのエモ爆発なんですけどぉ~🤣🔥💖🌈』

 ジェミーから放たれた虹色の衝撃波が、オバチャン軍団の「値切り交渉術」による精神的プレッシャーを中和した。

 その隙を突き、ベニが鯨鈎を地面に突き立て、自らの体を軸にして円を描くように回転した。

「泉州流・やり回し旋風脚(だんじり・スピン)!!」

 オバチャンの自転車軍団が、その遠心力によってわずかに左右に割れる。

 中央に開いた、肉へと続く一本の道。

「……脚ノ呼吸 弐ノ型・烈風輪脚(れっぷうりんきゃく)、いただきます!」

 ショーコが地を蹴った。その速度、まさに神速。

 福田のおばちゃんが「ああっ! 待ちぃや!」と吃驚仰天、続けて魔法の呪文『ポイントカード忘れた!』を叫んで時空を止めようとしたが、ショーコの食欲はその因果律すらも食い破った。

ガシッ!!


 ショーコの手が、黒毛和牛のパックを掴む。

 と同時に、反対側からベニの手もパックを掴んでいた。

「……ベニ、これはアタシの、肉だ」

「ウチが先に見つけたんじゃい!!」

    奇跡の「南北ヤンキー連合軍」は速攻で雲散霧消してしまった。

 二人の睨み合い。だが、背後には「ちょっと、その肉、賞味期限ギリギリの方がええわ!」と斜め上の要求をしながら迫り来る大阪オバチャン軍団の影。

「……半分こだ。ベニ」

「……チッ。ええわ、半分こや!!」

 二人は同時にパックを引き裂き(中身の肉は奇跡的に真っ二つに分かれた)、そのまま大阪オバチャン軍団の包囲網を跳躍して脱出した。

【Dパート:夕暮れの絆と、諦めの美学】


 夕日に染まる、河川敷。

 土手に佇む二人の少女。

    二人ともボロボロの姿。

 ショーコは、半分になった黒毛和牛を「……サシが美しい」と、まるで芸術品のように見つめている。

 ベニは、自分の膝の擦り傷を眺めながら、ぽつりと呟いた。

「……なぁ。お前、ほんまにアホやな。アメリカンドッグ一本であんな顔して、肉半分でこんなに幸せそうにして」

 ショーコは無表情のまま肉を見つめたまま答える。

「……アタシにとっては、命と同じ価値がある」

 ベニはふっと、自嘲気味に笑った。

「……そうか。分かったわ。

 クマゴロー。お前をウチの部下にするんは、もうやめや。

 お前みたいな、自分の中の『食欲』と『誇り』に真っ直ぐすぎる奴、誰かの下につけるわけないわ。ウチのオトンが言うとった通りや……。

 お前は、お前の信じる『美味い飯』のためだけに、誰よりも自由でなきゃあかんのやろな」

 それは、敗北宣言ではなかった。

 ベニの瞳には、かつてないほどの清々しさと、そしてショーコに対する……尊敬を超えた、もっと別の温かくてしっとりとした感情が宿っていた。

 彼女は、ショーコの公平さと、その「嘘のない暴力」を、自分と同じ魂を持つライバルとして、完全に認めたのだ。

「……また、なんか美味いもん食う時は呼べや。……ウチの奢りとは限らんけどな」

 ベニが顔を赤らめてそっぽを向く。

 その光景を、草むらから血の涙を流しながら見つめる影があった。

「……キィィィィィィィーーーッ!! 何ですかあの『戦いの後に芽生える百合的友情』みたいな空気はァ!! ショーコちゃんの初恋……いや、初食(はつぐい)の相手は私なんですよォォ!! あの泉州の女狐、絶対に許しません!!(めっちゃ早口)」

 めばえの嫉妬のオーラが、周囲の物理法則を再びバグらせ始める。と、その時、

「パーーンッ!!」


 突然、昌美の大阪名物ハリセンチョップが炸裂した。

「うるさいわ! 何が百合やねん! ただの肉の奪い合いやったやろがい!

 おい、ケンイチ! お前もいつまでもマント翻して格好つけとらんと、ジェミーの破片拾うのん手伝え! 平和か!!」

 こうして、阪市を揺るがした「南北戦争」は、黒毛和牛の半分こと、昌美のツッコミによって、カオスな大団円を迎えた。

 だが、彼女たちは知らなかった。

 このふざけた、しかし愛おしい日常のすぐ裏側で、世界を灰色の絶望に染める巨大な歯車が回り始めたことを。

【Eパート:第3部への胎動 ~USA vs 大陸調和連邦~】


 舞台は変わり、太平洋の彼方。

 星条旗……ではなく、巨大なステーキの紋章が掲げられたホワイトステーキハウス。

 大統領執務室では、黄金の髪をなびかせたドナルド・タロット大統領が、特製の『ドナルド・ドナルドハンバーガー』を口に運びながら、モニターを睨みつけていた。

「……ムシャムシャ。ふむ、日本の阪市で、またエネルギーの異常値が検出されたか。

 あの『ジェミー』とかいう小型AI……そして、舘ショーコの身体能力。これらはフェイクニュースではないようだな」

 タロットが指を鳴らすと、もう一つのモニターに「大陸調和連邦」のシンボルである灰色のモノリスが映し出された。

「大陸調和連邦の連中、ついに『無味乾燥計画』の最終フェーズに入ったか。

 奴らは『味覚の多様性は争いの元だ』などと言っているが、そんなのは負け犬(ルーザー)の理屈だ!

 ステーキの肉汁、ケチャップの赤、そして自由の味!

    これこそが、我々USA(ユナイテッド・ステーキ・オブ・アメリカ)が守るべき正義だ!!」

 タロットは、コーラを豪快に飲み干すと、不敵に笑った。

「大陸調和連邦との冷戦、第2ラウンドの始まりだ。

 ……いいか、奴らの拠点はあの阪高校の地下にある。

 あの少女、舘ショーコが『味覚』を奪われた時、世界はかつてない暴力の嵐に見舞われるだろう。

    彼女を、USAの『味の十字軍(フレーバー・クルセイダーズ)』に勧誘する準備をしておけ。

 ……美味い飯を食い続けたいのなら、私に協力しろとな」

 世界を灰色に染めようとする「連邦」と、味覚の暴力で支配する「USA」。

 二つの巨大なエゴが激突する最終決戦の火蓋が、今、切って落とされようとしていた。

 ショーコが、本当の「絶望」を味わうまで、あとわずかだ。

(第2部:激突!南北戦争編 ~完~)

(第3部:最終決戦!無味乾燥のディストピア編へ続く!)

(有元ケンイチのナレーション)
「フッ……。世界の理が崩れ、黄金の巨漢と灰色の亡霊が踊り始めたか。

 だが、彼らはまだ知らない。我が天神眼が捉えた、真の破壊神(ショーコ)の胃袋が、まだ空腹であることを……。

 おい、誰だ! 俺を無視して第3部のプロット会議に進んでる奴は! 話を聞けェェッ!!」


【次回予告】
(お馴染みの、知的で落ち着いたニュース番組風のBGM)

皆さん、こんにちは。
元イヌ・エイチ・ケーのアナウンサー、
池下彰です。



「週刊こどもニュース」ならぬ「週刊ヤンキーニュース」の時間です。

いやぁ、皆さん。第26話、凄まじい大乱闘でしたね。

ショーコさんとベニさんが黒毛和牛を半分こにする……。非常に微笑ましい光景でしたが、実はそこが、この物語の大きな転換点なんです。

皆さんは、今世界がどうなっているか、ご存知でしょうか。

実は、皆さんがスーパーの特売で盛り上がっている間に、海の向こうでは、私たちの「当たり前の日常」を根底から覆そうとする恐ろしい計画が進んでいるんですね。

さて、次回の第27話ですが、舞台は一気に「大陸調和連邦」へと移ります。

三代にわたって独裁を続ける「白(バイ)王朝」。

その三代目、白素(バイ・スー)総統とは、一体どんな人物なのか?

彼はなぜ、「味覚」というものをこれほどまでに憎んでいるのか?

「えっ、味がない方が平等なの?」
はい、いい質問ですねぇ。

実はそこには、カール・マルクスのパパさんが書いたという、世にも奇妙な理論が関わっているんです。

さらに、この独裁者、自分が太っていることに対して、驚くほど身勝手……あ、失礼、非常に「ユニークな理論」を展開するんですね。

これまでとは全く毛色の違う、独裁者の独白。

これは単なるヤンキー漫画ではありません。現代社会、そして皆さんの「胃袋」に対する重大な警告なんです。

次回、TACHI・最強女番長ショーコの軌跡
第27話「白(ホワイト)王朝三代記 ~素うどんのプリンスと、灰色の福音~」

実はこれ、皆さんの住む大阪とも深い関係があるんですよ。

地図……ではなく、次回の画面をよく見て、一緒に「世界の真実」を学んでいきましょう。

あ、それから、この下の「スキ」というボタン。
これ、ぜひ押してください。

「なぜ押す必要があるのか?」
はい、それもいい質問です。

それは、皆さんが「美味しいものを美味しいと感じる自由」を肯定するための、第一歩だからなんですね。

それでは、また次回お会いしましょう。

#最強女番長ショーコ
#泉州の紅い女狐ベニ


大阪のおばちゃんは最強や!

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