キャラ名ゆかりの古典和歌 3:Fantôme Iris編
『from ARGONAVIS』のキャラクター名から古典和歌を探してみるシリーズ、第3回「Fantôme Iris」編です。
1. フェリクス・ルイ=クロード・モンドール
※1/16 修正
春されば まづ三枝の 幸(さき)くあらば 後にも逢はむ な恋ひそ吾妹
—— 詠み人:柿本人麻呂
【現代語訳】 春になればまず咲く「三枝(さきくさ)」の名のように、あなたが「幸(さき)く」あるならば、のちのちまた逢えるはずです。だからそんなに恋い焦がれないでおくれ、愛しい人よ。
【解説】 「フェリクス(FELIX)」という名がラテン語で「幸運」を意味することから、「幸くあらば」と相手の幸福を願う歌を選びました。 縁起の良い「三枝(さきくさ)」という言葉で「幸(さき)」を導き、再会の日を静かに待つ。ファンの幸福を優雅に願う「王」としての彼の、包容力と深い慈愛が込められた一首です。
2. 黒川 燈
さ夜ふくる 窓の燈(ともしび) つくづくと かげもしづけし 我もしづけし
—— 詠み人:光厳院
【現代語訳】 夜がしんしんと更けていく中の、窓に灯る火。その光も静かであれば、それを見つめている私の心もまた、静かである。
【解説】 名前に含まれる「燈」をテーマに、夜の静寂を描いた一首です。 昼間は会社員として働き、夜は闇に灯を掲げるダンピールとして生きる燈。彼の穏やかな性格と、暗闇の中で自分自身を見つめ直すような、内省的な精神性が凝縮されています。
3. 洲崎 遵
折り掛くる 波の立つかと 見ゆるかな 洲崎(すさき)に来居る ささの群鳥
—— 詠み人:西行
【現代語訳】 繰り返し打ち寄せる白波が立っているように見えることだなあ。洲崎(海岸の突き出た場所)にやってきて集まっている、あの白い小鳥の群れは。
【解説】 名字である「洲崎」の情景を鮮やかに詠んだ歌です。「折り掛くる」は波がしきりに打ち寄せる様子。 遠くの鳥の群れを白波に例えるというダイナミックな見立ては、普段は控えめながらもステージでは猛々しく変貌を遂げる遵のギャップを象徴しているようです。
4. 御劔 虎春
剣太刀(つるぎたち) 諸刃のときに 足踏みて 死にに死ななむ 君によりては
—— よみ人しらず
【現代語訳】 剣の刃の上で足を踏み鳴らすような、そんな危険な状況で、いっそ死んでしまおう。あなたのためであれば。
【解説】 名字の「御劔」にちなみ、剣を詠んだ歌ですが、これは一説には女性が詠んだ「苛烈な恋の歌」とされています。 この時代、剣や刀は身分の高い男性を想起させるモチーフとして使われました。「あなたのためなら死も厭わない」という烈しい情念は、心の内側に隠された熱い情熱そのもの。HARUの「刃」のような激しさが、この一首に重なります。
5. 楠 大門
和泉なる しのだの森の 楠(くすのき)の 千枝に分かれて ものをこそ思へ
—— よみ人しらず
【現代語訳】 信太の森にある楠が、たくさんの枝に分かれているように、私の思いもさまざまに分かれて、深く物思いに耽っている。
【解説】 大きな楠が多くの枝を広げる様子を、複雑に絡み合う「物思い」に重ねた歌です。 バンドを支える大黒柱のような大門の心の奥底には、仲間を想い、過去を想う、繊細で複雑な思考の枝が広がっています。彼の持つ思慮深さと、静かな強さを象徴するような一首です。
【まとめ】闇に咲く情念
Fantôme Irisの5首を並べてみると、拡張高く耽美な言葉の中に、ときには苛烈なまでの情が込められています。ファントムの世界観は、雅やかな風景に人の心を重ねる和歌と相性が良いのかもしれません。彼らの持つ大きな二面性や、歳を重ねたぶんの深みを感じられる歌たちです。
次回は「風神RIZING!」がテーマです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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