『新しい諺』(無料お試し版)
7. 真珠を一つ見つけた牡蠣のように。[…]
17. カニは他のどんな名であっても、海を忘れない。[…]
85. 君たちは全てを読んだが、何も飲んでいない。[…]
128. コップの中のトロンボーン。[…]
136. 祖先の骸骨をひっかくな。[…]
――P・エリュアール&B・ペレ『152の諺』
シュルレアリスティックな諺
『新しい諺』と題し、創作の諺集を作りました。
「新しい諺」の着想源は、題辞に挙げた通り、20世紀フランスのシュルレアリストのポール・エリュアールとバンジャマン・ペレの共作『152の諺』です。何年か前にこれを読み、いかにもシュルレアリスティックで面白かったので、僕も作ってみました。数は「153」を目標にし、一冊組みました。
本投稿はその試作ですが、完成版(販売作品)では「200」くらいになるかと思います(153と大量に作らねばならないため、様々な試みをしていくことになったので)。販売価格は300~400円くらいにしようと思っています。(だから、一諺2円です!) 今回はその無料お試し版として、そのうちの40ほどをお見せします。
『笑芸』のエスプリ
各作品は、『152の諺』を基にしているため、基本的に一行・一文です。文学には「一行詩」というものがありますが、今作は「笑芸的一行詩」と言えるかもしれません。
しかし、これは文学作品のほぼ最小単位でもあります。一文を積み重ねて一段落となり、段落を積み重ねて一章(一篇)となり、章(篇)を積み重ねて一冊となります。(一文より小さい単位は単語であり、単語より小さい単位は一文字です。そして、『笑芸』はその単位ごとの “大喜利” です。) その基本単位である一文を、僕の文学・言葉の「ファッションチェック」くらいの感覚でご覧ください。
なお、今作には『もし君に脳の電荷を神に手渡し、あなたはどう?』で使用したギャグも含まれています。この作品はかなり読み難いですし理解も困難ですが、大体のところ、このような言葉の使い方をしていると思ってください。先述の通り、これらが基礎単位であり、今作は笑芸家の「内職」のようなものです。
形式について
本作は、『152の諺』のように、一諺を挙げて次の諺へ移ります。この手のものは大体その意味や使用例を挙げるのが相場ですが、本作はそのような解説はほとんどしません。そのため、解釈等は皆さんにお任せします。或いは、それは読者の仕事です。(笑芸家の仕事は「作る」ことです。) 何か思い付いたこと等がありましたら、ぜひコメント欄やご自身の投稿ページにお書きください。(現代アートの多くが、その完成に鑑賞者の参加を必要としています。)
また、各作品には数字が振ってありますが、これは今回の無料お試し版用のもので、完成版では変わっていると思います。今回は便宜的なものです。
前置きが長くなってしまいましたが、それでは、『新しい諺』をどうぞ――
新しい諺
棚からグラディエーター
目からアリゲーター・ガー
海老も鯛を釣る
脳ある爪は鷹を隠す
棒を歩けば犬も当たる
当を犬けば歩も棒たる
鏡の中のミケランジェロ
深海魚は嘘をつかない
エイリアンは自然薯を恐れる
剥くまで分からない
耳より肘でしゃぶれ
小指よりも盾を
茹でられる前のタコのジャム笑い
チワワでチワワを斬る
もぐらで避雷針を作るな
間違いだらけの蛸を揉み正す
過呼吸な蛇口は海を這う
次元足らずのピーマン野郎
(恒星)ベガも野菜のうち
仮面を喰うゴリラは川を渡らない
潜り得るなら従え得る
メリーゴーランドと朱肉
香水を掻き消したオーブントースター
落鮎に割られたハンプティ・ダンプティ
穴を棒に挿れる
右に左折しろ
馬糞を洗え
うんこがおしっこする
葬式のように美しい
太陽の炎で作ったルビーのように美しい血尿
端の無い箸で岩の刺身を食べるドレス兵
池を拭く牢は大腸の空を舐め忘れる
いがいがした則天去私の無精卵に荒らされたイヌサフラン製の出刃包丁
自己批判的な自慰を繰り返すアポストロフィのように
老獪な猫を飲み干した老獪な猫は飲み干すな
うちぬゎけゑにょーびょ
釐龥鵓䙥鼬䨩てょゑちゅもゆぉーぽ
鯑㿜魎襢魍鬵鬩もちょらぉらがけょんけょん
赬赭赮郝じちんゃぎぷか蹏醡ずどぅびるりゅ碞虡誩誋豨ふぃぐちょ
ミムぅ魑ら欞 e っふゅ g ぐぉ⾾仫ユィぴィ
『新しい諺』(無料お試し版)は以上です。いかがだったでしょうか?
今回はどれも一行程度ですが、『笑芸』なる「笑いの文学」はこのようなことを書いています。基本的にはシュルレアリスム( ‐ デペイズマン)をベースにしているのですが、『もし君に~』ではシュルレアリスムの言語使用法を超えた領域へ突入して行きました(今作では36以降の諺)。なお、『新しい諺』の完成版では、以下のようなものも加える予定です――

とか、他にも――

といったものです。『もし君に~』ではこういったものをやっているのですが、これらもなかなかの笑芸的 “美文” です。で、諺です。『新しい諺』は、笑芸的一行詩の “古典” にしたいと思います。今のところ、このような作品は全体の数%程度入れる予定です。(何円分になるでしょうか?)
『新しい諺』については以上ですが、一つだけ書いておきます。
今作の24〈落鮎に割られたハンプティ・ダンプティ〉と29〈葬式のように美しい〉は、元は俳句です。これらは某俳句番組(?)を観ながら考えたもので、前者の季語は〈落鮎〉(秋)で、お題は[卵]です。後者の季節も秋で、お題は[月]です。これはシュルレアリスム達が標榜したロートレアモンの〈手術台の上でのミシンと雨傘の偶然の出会いのように美しい〉という句をパクったもので、シュルレアリスム俳句です。前者は、「ナンセンス俳句」です。このようなナンセンス俳句は現在50ほどあるのですが、『新しい諺』にもいくつか入れます。
※2025年10月4日 追記
この『新しい諺』のような “一行詩” を募集する企画を始めました! 題して――
一番 面白い一行詩
そのタイトルの通り、「一番 面白い一行詩」を書いてください、というものです。勇気のある方は ぜひ挑戦してみてください!
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