『もし君に脳の電荷を神に手渡し、あなたはどう?』
腹を空かせた貪欲な大衆のもとにはけっしてたどりつかない文学が存在する。作家の真の欲求から作家自身のために出現した、創造者たちによる文学だ。
――トリスタン・ツァラ『ダダ宣言1918』
このページでは、僕の初出版作品『もし君に脳の電荷を神に手渡し、あなたはどう?』を販売します。
そのPDFファイルはページ最下部に置きます。そこまでに、作品の基本情報や内容・テーマや文学系譜等について書きますので、それらを元にご検討ください。
なお、初めにお伝えしますが、僕はこの作品は売れるとは思っていません。また、一般的になることも理解されることもないと思っています。しかし、「笑いの文学」としてはこれ以上にやることはほとんど残っておらず、今作によって『笑芸』は終焉した、と思っています。売れることもないでしょうし広まることもないでしょうが、「100年後に残っていたらいい」と思います。そのため、僕は販売を急いではいません。また、皆様もゆっくりご検討頂けたらと思います。これから note ではこの作品の紹介・解説・派生作品投稿をしていきますので、それらをお読みになり気になって頂けたら、ぜひご購入ください。
僕は絶対に「紙本」派
PDFファイルでの販売の前に言っておかねばならないのですが、僕は絶対に「紙本」派です。そして、今作はすべて紙本での出版を想定して書いています。文量や行数・文字サイズ・余白等は紙本用に決めており、PDFファイルは印刷所へ入稿したものです。なお、B5サイズなので、紙本(B6版)での見開きのようになります。
紙本は現在準備中なのですが、僕はPDFではなく、紙本で読んでもらいたいと思っています。装幀も豪華で、黒レザーに金箔押しです。(大学の学術論文で使われるような装幀です。) ただ、値段はかなり高くなるので、初版数は少なく、プレミア版(か実質的な非売品)になります。しかし、レザーではなくソフトカバーも用意する予定なので、実際的な販売はこちらになるかと思います。
紙本については、印刷所から完成品が届いたらご案内します。
基本情報
[価格について]
PDFファイルでの値段は「1200円」とします。(2025年4月21日時点。変更する可能性もあります。)
また、note には返金システムがあるので、「返金可能」とします。ご安心してご購入ください。ただ、返金にはルールがあるそうで、こちらからご確認頂けたらと思います。
[ページ数について]
PDFファイル(B5サイズ)でのページ数は「134」です。しかし、各篇のタイトルで1ページ使っています。今作は全34篇なので、タイトルページで34ページ使っています。他に、題辞や目次や引用文献もあるので、実際の作品ページはもっと少なくなります。
先述の通り、書式はすべて紙本用です。
[その他]
今作は非常に特殊な作品です。文体は異様ですし、難解漢字や外国語や特殊記号を多く使っています。そのため、誤字脱字や文字化け等の判断はほぼ不可能だと思います。また、印字ミスに見えるような表現もあります。そういった字面の問題については、あらかじめご了承ください。(注:ギャグ本です。)
また、個人出版であり初出版であるため、何かトラブルが起きるかもしれませんが、こちらもご了承頂けたら幸いです。なお、トラブルが起きた場合、note運営事務局へご連絡ください。僕と直接連絡を取りたい場合、「クリエイターへのお問い合わせ」ができます。方法はこちらのページに書いてありますので、ご覧ください。
「無料お試し版」と「未収録作品」
購入の前に、「無料お試し版」をご覧頂けます。
全34篇中の「No.0」「No.1」「No.13」「No.23」の4篇です。また、作品タイトルから題辞・テーマ・目次は販売ファイルと同じものなので、本作の雰囲気や概要を掴めるかと思います。
ただ、「No.13」は「No.9 ~或る国の言葉について~」を、「No.23」は「No.21 ~レトリスム・ソナタ~」を読んでからでないと理解できないかもしれませんが、作品全体の進行・発展・展開を見て頂きたいと思い、載せることにしました。この二作について、ここではかなり軽い言い方をしてみると、「新感覚」な言語使用、となります。
「無料お試し版」のPDFファイルを以下に添付しますので、どうぞご覧ください。(注:著作権は私・初代王天君にあり、著作権法に則った使用のみ可能です。)
本作の「未収録作品」もご覧頂けます。
これは諸事情により完成版には収録しなかった作品(6篇)です。どれも短いもので、すべて1ページです。(最も短いものは3行です。) また、全部で19ページです。
この「未収録作品」自体では作品として成立しないのですが、本作『もし君に脳の電荷を神に手渡し、あなたはどう?』の理解の補助になるだろうと思い、公開することにしました。(なお、この「未収録作品」にも収録されなかった「本当の未収録作品」は大量にあります。そして、公開することもないかもしれません。) 題辞も付いていますが、これは完成版に入れようか迷っていたものです。また、作品Noにはすべて「?」が付いていますが、これも完成版の中でどの位置に入れるか決めかねていたためです。
かなり小品的ですが、本作の理解の補助になればと思います。また、本作は当初は匿名で出版するつもりだったのですが、その理由も書いてあります。ご興味に合わせてご覧ください。(注:著作権は私・初代王天君にあり、著作権法に則った使用のみ可能です。)
内容・テーマについて ~DADAの続き~
本作『もし君に脳の電荷を神に手渡し、あなたはどう?』のテーマは――
『文法の解体』、或いは、‟新しい文法の創出”
です。『文法の解体』……、なぜそんなことをするのか? ‟ダダ″ の続き、です。僕の文章に何度か出てくるこの「ダダ」について、ここでは書ききれないのですが、簡単に触れておきます。
ダダとは、ヨーロッパで第一次世界大戦(1914年)をきっかけに発生した反理性・反言語・反芸術運動です。古代ギリシャ以来の西欧的理性を徹底的に破壊しようとしたのがこのダダで、それは主に言語活動に現れ、詩人トリスタン・ツァラを中心とした若者達がめちゃくちゃな言葉を作り叫んでいました。彼は新聞紙を切り刻んで帽子に混ぜ入れて、そこから取り出して出来た単語のアトランダムな羅列を「詩」と称していたりしました(通称「帽子の中の言葉」)。そして、もちろん、そこでは文法など破壊されてしまっています。
そんなふざけた連中ですが、それらはすべて「笑い」として見ることができます。笑いの場合も「おかしい」言葉を作るのが目標なので、‟ダダ″ は『笑芸』の先祖的存在です。ダダは1920年代に終わってしまったのですが、彼等のやり残していたことを、僕はやろうと思います。
なお、note 内でダダについて書かれた記事がありますので、いくつかリンクを貼ります――
三つ目のジュウ・ショさんの記事には、ウルトラマンの怪獣「ダダ」はこのダダイズムから来ている、と書いてあります。当時のウルトラマンのデザイナー・成田亨さんはダダ・シュルレアリスム研究家だったそうですが、ここで何か思い当たることはありませんでしょうか? そうです、僕の子供向け作品集《だだぁ・ぐぅす》も、このダダから来ています。「ダダ × マザー・グース」で《だだぁ・ぐぅす》です。そして、僕の子供向けの名前は〈らつぁん・たすりと〉ですが、これは〈トリスタン・ツァラ〉をひっくり返してひらがなにしたものです。僕の《だだぁ・ぐぅす》も、大先輩(!)の怪獣さんくらい愛されたいものですね。
さて、当のツァラ-ダダは(少なくとも表向きは)無意味・非意味に徹していました。こう叫んで――
☞DADAは何も意味しない
そして、否定・破壊運動をしていくのですが、それはネガティブにすぎ、その「無意味・非意味」をポジティブへ転回しようと思い僕が見つけたのが、ロシア未来派です。そして、その ‟超意味″ と呼ばれる概念です。これはかなり知名度の低いもので、今日(2025年4月22日)の時点で日本で知っている人はほとんどいないと思います。note 内にもほとんど記事が無く、なんとかあったもののリンクを貼ります――
このロシア未来派も『笑芸』の先祖であり、一つ目の記事の主人公ヴェリミール・フレーブニコフがいなかったら『笑芸』は成立していなかったかもしれません。しかし、ロシア未来派についてもここでは書ききれないので、主要参考文献だけ挙げます――
亀山郁夫『甦えるフレーブニコフ』晶文社、1989年
小澤裕之編訳『言語機械 ハルムス選集』未知谷、2019年
小澤裕之『理知のむこう ダニイル・ハルムスの手法と詩学』未知谷、2019年
『ユリイカ 特集*ロシア・アヴァンギャルド 二十世紀芸術の誕生』1983年1月、青土社
亀山郁夫・大石雅彦編『ロシア・アヴァンギャルド5 ポエジア――言葉の復活』国書刊行会、1995年
新谷敬三郎・磯谷孝編訳『ロシア・フォルマリズム論集――詩的言語の分析』現代思潮社、1971年
もちろん、僕の『もし君に脳の電荷を神に手渡し、あなたはどう?』にもロシア未来派とその ‟超意味″ について書いてあるので、ご安心ください。そして、本書は『文法の解体』から ‟新しい文法の創出” を目指していくことになります。
21世紀版『溶ける魚』!?
ここまでダダとロシア未来派について書いてきましたが、最後にもう一つ書かねばならない文学があります。それは「シュルレアリスム」です。
これは1924年のアンドレ・ブルトン『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』によって公式に開始された運動で、美術の方が有名かと思いますが、世界的に大きく広まり、20世紀最大の芸術運動となりました。しかし、その開始は詩人達による文学であり、まるで夢のような魅惑的な文章・イマージュ・綺想が多出します。
僕はこの『溶ける魚』にどうしようもなく惹かれていました。19世紀の指揮者H・ビューローによれば、音楽の旧約聖書はバッハの《平均律クラヴィーア曲集》であり、新約聖書はベートーヴェンの《ピアノ・ソナタ32曲》だそうですが、その言い方を借りるなら、『笑芸』の新約聖書はA・ブルトンの『溶ける魚』です。(『笑芸』の旧約聖書は、L・キャロルの『不思議の国のアリス』です。) そして、長い間ずっと、この『溶ける魚』のような作品を書きたいと思っており、今回、挑戦しました。
『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』中の「シュルレアリスム宣言」の方が理論編であり、「溶ける魚」の方が実践編・散文作品で、「溶ける魚」は全32篇です。それならば、この ‟新約聖書″ に僕も32篇で挑もうではないか、と思い、本作『もし君に脳の電荷を神に手渡し、あなたはどう?』は全34篇構成にしました。この数字には「2」多いですが、「No.0」と「No.33 ~四重奏曲、或いは、大カノン~」はそれぞれ「序」と「コーダ」なので、実質的な本編は32篇です。そうして、ブルトンと同時にベートーヴェンへも挑戦していくことになりました。本作『もし君に脳の電荷を神に手渡し、あなたはどう?』は、僕の「ピアノ・ソナタ32曲」であり、32楽章の「交響曲」です。
また、『溶ける魚』(岩波文庫、1992年、巖谷國士訳)は110ページほどで、一篇が平均2~4ページなので、そこにも合わせるべく、紙本での一篇の平均を2~4ページとしました。もちろん、内容・語の組み合わせ・展開的にもシュルレアリスティックになっているので(ある地点までは)、本作『もし君に脳の電荷を神に手渡し、あなたはどう?』は ‟21世紀版『溶ける魚』″ と言えるかもしれません。
ベートーヴェンはそのピアノ・ソナタを32番で完成させ、以降それを書かなかったそうですが、そのように、僕も今作を「No.32 ~Composition~」で完成させたいと思いました。この「Composition(構成)」というタイトルは画家W・カンディンスキーのもので、彼が最も重要にしていた概念・作品群です。音楽と同等に、彼の絵画理論も「笑いの文学」にとって相当に学ぶところが多く、『笑芸』もあのような構成を目指さねばならない、と思っていました。そして、それは『笑芸』にとっても最重要概念の一つになっています。「No.32 ~Composition~」を書いている間ずっと、僕の部屋にはブルトンの『溶ける魚』が置いてあり、ベートーヴェンの《ピアノ・ソナタ第32番》が流れ、カンディンスキー(とスーラ)の画集が開いてありました。そんな本作『もし君に脳の電荷を神に手渡し、あなたはどう?』です。
去年2024年は……
アンドレ・ブルトンによって『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』が書かれたのが1924年なので、去年2024年はちょうど「シュルレアリスム100周年」でした。では、なぜそんなアニバーサリー・イヤーに僕は本作を出さなかったのか?
それは、別のシュルレアリスムへのオマージュ作品を書いていたからです。タイトルは『る魚け溶』と『変奏集』です。詳細は別記事に書きますが、前者『る魚け溶』は『溶ける魚』の一篇ごと・一文単位でのアナグラムで、後者『変奏集』はクラシック音楽の《主題と変奏》を文学で行なったものです。『る魚け溶』では『溶ける魚』を全32篇アナグラムし、『変奏集』ではシュルレアリスムを中心とした20世紀文学の文章を変奏・発展させていました。そういった実験を重ね、今作に挑みました。(《だだぁ・ぐぅす》も本作の練習の一つでした。) ベートーヴェンにとってピアノ・ソナタや変奏曲は交響曲の実験台だった、という風にも言われていますが……。
しかし、その二作は大変残念ながら、著作権的に出版不可となってしまったので、去年2024年は何も発表することができず、シュルレアリスムへオマージュを捧げることができませんでした……。このアニバーサリー・イヤーを逃してしまうとは、僕は作家としてやっていけないのだと思います。
ですが、「101年目」の今年は……
以下に、シュルレアリスムについての記事のリンクを貼ります。ぜひ参考にされてください――
しかし、シュルレアリスムは100年前の文学です。100年が経った現代において、単なる模倣・追従に終わるわけにはいきません。21世紀の現代においてはそれらを乗り越えなければなりません。そうして、『笑芸』は、ダダもシュルレアリスムもロシア未来派もすべてを継承した ‟21世紀前衛文学″ です。
販売ページ
さて、長くなってしまいましたが、ここからPDFファイルの販売とします。
ご購入の前に、基本情報等をもう一度ご確認ください。(返金は大歓迎です。) また、「無料お試し版」や「未収録作品」もご覧頂けます。
返金して頂く場合でも、「No.9 ~或る国の言葉について~」はぜひお読み頂きたく思います。この篇には、笑芸的言語論や文法論が書かれています。また、新しい文法の世界が開闢されています。ロシア未来派の ‟超意味″ についても書かれています。他に、「No.27 ~ scherzo ~」もご覧ください。この ‟コンポジション″ は「笑いの文学」の古典になります。「No.25」も美芸です。
なお、これからいくつかの篇を「単品販売」しようとも思っています。一篇あたり100~300円ほどでのバラ売りです。そこには簡単な解説やコメントを付ける予定なので、こちらも参考にしてみてください。
それでは、僕の笑芸作品第四番『もし君に脳の電荷を神に手渡し、あなたはどう?』をお愉しみください――
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