#112 包括の事例31 独特な女性
今回は、理解力が元々高くなく、独特な女性の方の事例をまとめました。独特な方でしたが人懐っこい性格とコミュニケーション好きとの利点があり、色々な方を受け入れることに長けていたことで、協力者が増えていったケースでした。なお、事例は個人が特定されないよう、少なくとも3名以上の事例を混ぜています。ご了承ください。
【基本情報・性格】
70歳代 女性 独居。元々理解力が高くなかったようです。過去に同居していた長女から身体的虐待を受け、障害福祉担当が介入して分離。その影響で当自治体に転入してきた方でした。
人との距離感が近く、コミュニケーションが好き。衛生的観念に欠けていて、ゴミの処分などをきちんとできず、室内は物が多い状態でした。薬の管理なども難しかったですが、特にサービスなどは利用していませんでした。
【初回相談】
元々関わりがあった障害福祉課担当からの情報提供。少し心配な方の情報提供でした。
障害者手帳を持っていませんでしたが、長女が精神障害者保健福祉手帳を持っており、身体的虐待を受けていた経緯もあり、前の自治体から情報提供があり介入していたケースでした。
私が相談を受けた時点で10数年地域にて生活していました。本人が行政の障害福祉課を度々訪問しているので、庁内に顔見知りが多かったようです。
相談内容は認知機能低下が心配との情報提供でした。
【初回訪問】
障害福祉課担当と一緒に自宅訪問。本人は受け入れ良好で室内で話をしました。ゴミの処分がきちんとできておらず、物の整理も苦手な様子は見られましたが、本人は困っている様子がありません。外出して色々な活動をしているとのことで、サービスの利用希望などはとくにありませんでした。
地域包括支援センターについて説明。定期的に訪問したいと伝え了解いただいたため、3か月に1回ほど自宅訪問することとなりました。
【相続問題】
しばらく定期訪問が続き、2年ほど経過。本人から親族が他界し相続が発生したものの、何をしてよいかわからないとの相談がありました。行政担当と自宅訪問。説明の理解が難しいため、司法書士を紹介。
行政担当も関与し何とか手続きを進めるも、請求した戸籍謄本を紛失して自宅を探す手伝いをしたり、打ち合わせ当日に書類を持参しなかったりしたため、その都度フォロー。無事に相続手続きが終了しました。
その結果、何かわからないことがあると本人が電話するようになりました。
【様々な相談】
定期訪問とは別に本人から色々と電話。水道を出しっぱなしにして階下の住民から苦情が不動産会社に入り、不動産会社から私に電話。
本人と一緒に謝罪に行き、今後の対応を相談。畳が腐りかけてきたため交換の相談があり会社の紹介などをしていたところ、たまたまスーパーの入口付近で畳の展示販売があり、業者と話をしたとの報告を受け、スーパーを訪問し、経過説明。金銭のやりとりの確認。
などなどと生活上の細やかな相談に、できる範囲での対応をしました。
【妄想?】
それからしばらくして、本人から知らない男性が自宅に入り、色々な物を置いていくとの相談がありました。
男性一人だと被害妄想の対象になる可能性があったため、行政職員と自宅訪問し状況を確認。室内に置いてある物は書類などが中心でしたが、本人としては記憶がないとのこと。事実はわかりませんでしたが、その流れで経済面を書類で確認したところ、滞納の書類を発見しました。
確認すると虐待養護者であった長女が多額の借金をしていました。もちろん本人は保証人になっているわけではありませんが、こちらに請求の書類が来ている様子。対応する必要が無いと行政職員と確認しました。
ただ、男性に対する妄想はどんどん膨らんでいき、色々な物を盗られる・置いて行かれるという訴えが多くなりました。
【脳出血】
それから半年ほどして、かかりつけのクリニックから電話。本人の話しが支離滅裂との内容。いつも話の内容があちらこちらに飛ぶタイプでしたが、明らかにいつもと違うとのことでした。
行政に報告し様々な関係機関に確認していただくと、1日前・当日と2回、警察に保護されているとわかりました。早急に脳の検査が必要と思われましたが、電話を受けた時間が遅かったため、緊急でショートステイ(緊急一時保護)を調整しました。
翌日、関係機関一同で受診同行し脳を検査。脳出血とわかりそのまま入院となりました。
【その後】
出血は少量だったため回復は早かったのですが、認知機能低下が顕著。エレベーターが無い2階に住んでいたため、自宅に戻るのは困難となりました。介護保険を申請。要介護の認定が出て、老人保健施設に入所となりました。
老人保健施設入所中に首長による成年後見制度の申し立てをしていただきました。後見人候補者から経過を知りたいとの依頼があり、老人保健施設にて関係機関一同にて打ち合わせ。今後は特別養護老人ホーム入所を目指すこととなりました。
後見人が正式に選任。自宅の状況を知りたいとのことで、行政担当も一緒に同行訪問。物が多く、貴重品などを確認したいとの意向を受けて室内を確認すると、至るところから現金が入った封筒が出てきました。ある程度確認した後は業者を手配して家財処分するとのことで、後のことは後見人におまかせすることとなりました。
それから数か月ほどして後見人から電話があり、特別養護老人ホームに入所したことを確認しました。
次回は認知症夫婦の事例をまとめます。
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