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久しぶりに最後まで読み切った小説の話【読書感想文】

このnoteはただの成人女性による読書感想文です。
久しぶりに読み切ったというタイトル通り、久しく本を読破していない人間がやっぱ読書っていいなと感じた話です。

「この解釈ではない」とか「ここは明らかに間違っている」とか、感受性と理解力と表現力と文章、すべてが乏しい箇所があると思ってます。
攻撃的にはならず、自分とは違う人間がいるんだな程度に思っていただけると嬉しいです。


今回読んだ本

「最後のトリック / 深水黎一郎」というミステリー小説です。

久しぶりに読書をするに至った経緯

「最近小説を読み切るということをしていないかったな」と思い立ったのがおそらく一年前くらい。
今回読み切った本は「読みたいなと思った小説はとりあえず買ってみる」をしていたときに買い溜めしていた中の一冊でした。
この本は、数年前に帯の「殺人犯の気分を味わってみませんか?」という文章に惹かれて衝動買いしたものです。
買い溜めしていた本は、途中まで読んでいつの間にか放置というなんとももったいないことをしていたので、その中からまずは一冊、半年くらいかけて少しずつ読み進めていきました。
読書が好きだけど、読書を習慣にできていない人間によるリハビリのようなものです。

そんな本を、ついに読み終わったので、感じたことを忘れないようにメモがてら記録します。

また、元々本屋さんの匂いが好きでよく行っていたのもあり、結構な量が家にあります。「それらを何年かかってもいいから読み切りたい」「それとまだまだ色々な本が読みたい」という意思だけはあると宣言させてください。
そのためのリハビリ開始だったりします。

この本のこと

ちょっと前置きが長すぎたかもしれないですが、ここまで辿り着いていただきありがとうございます。
ここからは、あらすじや感想などをだらだらと書いていきます。

はじめに

途中までは正直に言ってしまうと、しんどかった。
よく分からない超能力を研究している博士のお話が。
オタク特有の、自分にしか分からない質の話を、自分だけが理解できる速さで話すあの感じを感じてしまいました。作者の方が意図していたかわからないですが。もう一度言うけれど、それはよく分からないし傍から見ればオタクってこうなんだなと…。今までと今後の自分とその周りのことをちょっと色々と考えてしまいました。
あと、この博士の話が物語の本筋とずれているような気がずっとしていて、なんの関係があるのだろう?という疑問も持ちながら読んでいました。

よく分からないから目が滑るし、理解するのに何度も同じところを読まなければならないしで大変だったけれど、それでも博士の話の内容自体にはとっても私自身興味がそそられていました。
博士の話にもきちんと終着点があって、結果的には苦労してでも理解して読んでよかったと思ったし面白かった。
それとはまた別の理由で読破後に「ちゃんと読んでいてよかった」と思うことがあるのですが、それはまた後で。

この物語は、そんな博士のオタク語り(大変失礼な物言いすみません)が主役のお話ではもちろんなく。
物語の主軸になるのが、しがない作家である主人公のもとに、謎の男香坂と名乗る男から届く手紙だった。

物語のざっくりあらすじ

感想(主観)を交えながら、ざっくりあらすじを書いていきます。
記憶で書いているので違っていてもご愛嬌とさせてください。
あくまで「私視点の感想付きあらすじ」です(笑)

その香坂という男は、ミステリー界で誰もなし得なかったトリック、「読者が犯人」というトリックを思いついた、それを2億で買い取ってくれないか。と手紙越しで持ち掛けてきます。
作家である主人公はそれを、妻や信頼できる周りの人間に相談したり議論したりと、アクションを起こします。
ただ、実際に2億払ってこのアイデアを買い取るという描写はないです。
ちなみに、この作中の現在の描写では、香坂と主人公の接触の手段は文通のみです。

そんなこんなで物語の序盤から中盤にかけては、博士のオタク語りと、手紙の内容とそれを巡る主人公とその周りの様子が書かれているだけで、特段大きく物語が動く気配はありませんでした。

おそらく物語が大きく動き始めたのは、中盤を過ぎて、警察が主人公を尋ねてきたあたりだったと思います。
そこからの怒涛の展開にはワクワクが止まらなくて、そこからは本を読み進めるスピードが早まりました。

警察は、香坂に失踪届けが出ていると、この主人公のもとに押しかけてきます。
なにか繋がりがありますよね?と。
もちろん、この段階では主人公はなぜだかトリックを買えという手紙を受け取っているというだけでなんの接点もありません。

ですが、その辺くらいから主人公の描写が妙に含みを持たせるような雰囲気になっていっているように感じました。「なにかあるのだろうな」と読者側に考察させているかのような言い回しが増えていきます。

ただ、私はミステリー小説は推理などせず頭をからっぽにして読むの好きなので(断じて何か推察できるほどの脳がない訳ではないです)、「ほえー。なんかおもろくなってきたな」という感想しかなかったです。
ここからの怒涛の展開にはついていくのがやっとで、全部説明していたらキリがないのでぜひ読んでください。

読破後の感想

ここからはほんとうに感想タイムです。
読破後の、私の心のうちをずらーーーーっと並べただけのものです。
この本を読んでいないとなんのこっちゃ理解できないところがあるかもしれません。すみません…。

香坂からの手紙にある「貴殿」というのは、ずっと主人公に向けたものだと思っていたが、読み進めていくうちにここが「この小説の読者(つまり私たち)」だと知ったときは本当にびっくりした。
と同時に、なるほどとも思った。そうくるのか…と。問いかけて来る系ね、と。

  1. この小説のすべてが「新聞連載されている小説そのもの」という斬新な設定

  2. 自分の書いた文章が読まれていると思うと体調に異変を来す特異体質の香坂がその体質を利用して死ぬ

という上記のふたつの点が、私はとても心に残った。

まず香坂は、親友の連帯保証人となるが裏切られ、多額の借金を背負わされ、人生がおかしくなった人物だった。
また、幼少期のストレスから上述した特異体質が身についたとされている。

多額の借金を背負わされた香坂は、妻子に借金を残すまいと、自分に生命保険をかけ自然死を装った自殺を選んだ。
その方法は、自分の書いた手紙(文章)を、新聞連載として載せ続けることで特異体質が発動して死に至る、という算段。

「自然死を装った自殺」。
だが、香坂の言い分だとこれはどう考えても「他殺」だ。
なぜなら、自分が文章を書いただけでは何も起こらない。「自分が書いた文章を他人が見る」と発作を起こすという設定の体質だから。

他殺なのだとしたら犯人がいるはず。
当然このケースだと、犯人はこれを読む全ての人間。つまり私たち。
そして香坂が持ち掛けた「読者が犯人」というミステリー界において唯一だれもなし得なかったトリックを完成させ、死んだ。

という物語だった。
感動してしまった。本当に私が「殺人」の一端を担ったのではないかと錯覚してしまった。

そんな特異体質ある訳ない。と、このトリックだけ聞いたら、超がつくほどの現実主義者の私なら、思っていたかもしれない。
けれど、私がこれほどまでにのめり込ませたのは他でもなく、博士にオタク語りさせた超能力の話だと思う。ここで生きてくるのか~…!
決定的な描写はなかったと記憶しているが、香坂はきっと超能力者またはそれに近しいものを持っていた存在だったんだろう。
幼少期の頃のストレスで、とは書かれていた気がするので私はそう解釈していたけれど。
読み終わった今考えてみれば、その超能力という存在の説得力を増したのが博士のオタク語りだった。
あれがなければきっと、そんな特異体質あるわけないのに設定が強引すぎると、即中古屋行きだったかもしれない…。

また、先程以下の引用のように言っていた理由のもうひとつがこれでした。
あまり本筋と関係がなさそうだと思いながらも、興味本位とはいえきちんと理解して読んでいて良かったと心から思いました。

それとはまた別の理由で読破後に「ちゃんと読んでいてよかった」と思うことがあるのですが、それはまた後で。

はじめに

それに加え、最後に私が唸ったのが、この本の主人公は「深水黎一郎」だったということ。
いや、主人公の名前に関する描写があったのかもしれないが、私が忘れたまま読んでいたために、気がついたときの感情はなんて言い表していいものか…。
思い返してみれば、途中の描写に、主人公が発する自分の名前のセリフも、他者が主人公を名前で呼ぶ描写もなかった気がする…と感心した。
とてもリアリティが増す演出で、思わず香坂の冥福を祈ってしまった自分がいた。

まとめ

今回、私は作者の方と、「癖が合った」というよりも「極めて好みのシチュエーションがたまたま同じだった」という感じの手応えだったので、さらにここからこの方の他の作品をも読むかどうかは分からないです。
ですが、この作品に関しては間違いなくこれから人に勧めて回る作品になると思う。
この体験は是非皆にしてもらいたいので。

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