【入居一時金1億円!?】現役相談員×ケアマネが超高級有料老人ホームについて調べてみた
本日はちょっといつもの記事とは趣向を変えて。前回の記事で有料老人ホームを調べていて「そういえば超高級有料老人ホームの本を少し読んだことがあるけど、どういう感じだったっけ」とふと思いました。介護の世界に19年いても、「超高級有料老人ホーム」の世界にかかわることはありませんでした。現場で関わる施設の多くは特養・老健・グループホームなどで、超高級施設は聞いたことはあるけど、別世界の話という感覚がありました。
今回、改めて調べてみると、想像をはるかに超える世界がありました。この記事では、その実態を現役相談員×ケアマネ目線でお伝えします。
超高級有料老人ホームとは
一般的に、入居一時金が1,000万円以上の有料老人ホームを「高級老人ホーム」と呼びます。その中でも入居一時金が1億円を超える施設は「超高級老人ホーム」と呼ばれることがあるそうです。
費用の目安を整理すると以下の通りです。
一般的な有料老人ホーム
入居一時金:0〜500万円程度 月額費用:14〜25万円程度
高級有料老人ホーム
入居一時金:1,000万円〜6,000万円程度 月額費用:20〜50万円程度
超高級有料老人ホーム
入居一時金:1億円〜数億円 月額費用:50万円〜200万円以上
東京都港区北青山にある施設では、入居一時金が166万円〜9,950万円、月額が32万円〜159万円というプランもあります。月額159万円というのは、年間で約1,900万円になる計算です。
一体何が違うのか「設備・サービスの実態」
費用がこれだけ違うなら、実態は何がそれだけ違うのかが気になります。調べてみると、確かに「別世界」でした。
① 設備がホテルどころかリゾートレベル
エントランスは大理石張り、共用スペースは高級ホテルのロビーのような空間。それだけでなく、施設によっては以下のような設備が整っています。
天然温泉(地下1,500mから汲み上げた温泉を備える施設も)
プール・フィットネスジム
シアタールーム
バー・ラウンジ(夜22時まで利用できる施設も)
カラオケルーム
茶室・ライブラリー
パークゴルフ場・家庭菜園
海や山を望む絶景テラス
居室も30〜60㎡以上の広さが確保されており、自宅から大型家具や家電を持ち込める施設も多いです。
② 食事が「レストラン」
一般的な施設の食事が1食500〜800円程度なのに対し、超高級施設では1食1,000〜3,000円程度の食事が提供されます。
料亭やホテルで腕を磨いたシェフが常駐し、旬の食材を使ったメニューを毎日提供します。大間のマグロ・松坂牛・産地直送のブランド野菜など、食材にもこだわる施設があります。毎朝シェフが市場に出向いて食材を仕入れる施設もあるそうです。
アラカルトでの注文が可能で、ご家族が面会に来た時も予約なしでレストランで食事を楽しめます。嚥下機能が低下した方にも見た目と味にこだわった食事を提供するなど、「食べる喜び」を最後まで大切にする取り組みも充実しています。
③ コンシェルジュが常駐
高級ホテルのようにコンシェルジュスタッフが常駐し、来客対応・タクシーの手配・宅配便の受け取り・旅行の手配など、日常のあらゆる困りごとに対応します。「介護や医療スタッフには言いにくい」ちょっとした相談も、コンシェルジュが受け付けてくれます。
④ アクティビティがプロ仕様
フィットネス・陶芸・英会話・書道・カメラ・ソシアルダンスなど、各分野の専門講師を招いた本格的なプログラムが用意されています。「入居してから新しい趣味を見つけた」という方も少なくないそうです。英国式本格ティーセレモニー、ライブキッチンでのバーベキューなど、日常に非日常が組み込まれています。
⑤ 医療・介護体制が手厚い
看護師が24時間常駐し、協力医療機関との連携も整備されています。介護スタッフの配置比率も高く、利用者1.5人に対してスタッフ1人という施設もあります。重度の介護が必要になっても、同じ施設で生活を続けられる体制が整っています。
どんな人が入るのか
富裕層の経営者・医師・弁護士・文化人など、現役時代から高い生活水準を送ってきた方が多いそうです。「老後も現役時代と同じ水準で生活したい」「プライバシーと品格を大切にしたい」という方に選ばれる傾向があります。
また、元気なうちから入居して「終の住処」として選ぶケースが多いのも特徴です。自立しているうちから入居し、介護が必要になっても同じ施設で最期まで過ごせる環境を整えておく、という考え方です。
メリットばかりではない「知っておきたいリスク」
正直ここまでは、私も「将来入ってみたい」と思ってしまうような、誰もがうらやむ豪華な設備とサービスが揃う超高級老人ホームですが、入居前に知っておきたいリスクもあります。
① 費用が続かなくなる可能性がある
入居時に十分な資産があっても、月額50〜200万円という費用が何年も続くと、想定より早く資産が底をつくことがあります。長生きするほど費用の総額が増えていくため、入居前に「何年分の資産があるか」を慎重に試算しておく必要があります。また資産が尽きた場合、ご家族が費用を補填しなければならない状況になることもあります。そうなるとご家族への経済的な負担が生まれ、関係性に支障をきたす可能性もあります。入居一時金については契約書の償却条件が複雑なケースが多く、短期間で退所することになった場合に返金額が想定より少なかったというトラブルも報告されています。契約前に返金ルールを必ず確認してください。
② 経営リスクがある
超高級施設は運営コストが高い分、経営が悪化した場合のリスクも大きいです。過去には高額な入居一時金を払ったにもかかわらず、施設が経営破綻して返金されなかったケースもあります。またM&Aにより運営会社が変わり、サービスの質が低下したり入居条件が変わったりするリスクもあります。入居前に運営会社の財務状況や経営の安定性を確認しておくことが大切です。
③ 豪華さと幸せは別物?
豪華な設備やサービスが充実していても、重度の介護や医療的ケアへの対応が十分でない施設もあります。「設備は超一流だが、介護で出来る事は一般的な施設と変わらない」というケースもあります。また、入居時は元気でリゾートレベルの設備や高級料理を楽しめていても、介護が必要になったり重度化してしまうと、アクティビティを活用できなかったり、せっかくの食事を刻んだりとろみをつけなければならなくなるかもしれません。
豪華な環境が必ずしもご本人に合うとは限りません。華やかな施設より、アットホームで小規模な施設の方が落ち着くという方もいます。費用をかけたからといって、必ずしもご本人が幸せとは限らないのが介護の難しいところです。
現役相談員×ケアマネとして、調べてみて思ったこと
正直、都市伝説レベルには聞いたことがありましたが、ここまでとは思いませんでした。長年福祉に携わり様々な施設を見てきた人間としては、ある意味で突き抜けていて夢のような場所だと感じました。究極の老人ホームの一つの形と言っても良いでしょう。素晴らしいと思います。
ただ、リスクのところにも書いたように、人間はいつどうなるか分かりません。認知症の進行や筋力の衰えにより豪華な設備を使えなくなると、他の元気な方が楽しんでいるのを見てつらい気持ちになるかもしれません。豪華な食事も嚥下能力の衰えでカットしたり、とろみをつけたりすることになるかもしれません。
それでも、そこが自分の最高の居場所だと感じればそれは素晴らしいことです。人の幸せは人それぞれです。以前も記事に書きましたが「個室よりも多床室の方が安心できて良い」「ユニットより従来型の雰囲気が良い」という方もたくさんいらっしゃいます。
今回調べてみて、夢の別世界のような施設がある事を知りました。しかし、それと同時に、改めてその方の望む環境で暮らせることが一番の幸せなのかなと考えさせられました。
最後に
有料老人ホームには、月額8万円台の施設から月額200万円超の施設まで、驚くほど幅広い選択肢があります。これは特養では実現できないところでしょう。ただ、単純に費用が高いから良い、安いから悪いということではありません。
施設を選ぶ時、つい設備やサービスの充実度、費用の比較に目が向きがちです。でも一番最初に考えてほしいのは、「ご本人にとって何が幸せで、どんな環境が過ごしたいか」ということです。そこが見えてくると、自然と選ぶべき施設の方向性が見えてきます。施設探しの際、まずはそこから始めてみてください。
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