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運送業許可の承継・譲渡とは。後継者問題を行政書士が解説

行政書士として運送業の許認可を専門にしていると、この業界を取り巻く空気が変わってきたのを感じる。

全日本トラック協会が発表した2025年度版の実態調査によれば、男性運転者の平均年齢は50.0歳。賃金は前年比4.1%増と改善しているようだが、この数字を見て「賃上げだけで解決する話ではない」と思った。

(元記事:トラックニュース

許可の要件そのものが、高齢化に追いつかれていく

一般貨物自動車運送事業の許可には、運行管理者・整備管理者といった資格保有者を確保することが前提条件として定められている。この人的要件が、これからますます重くのしかかってくるはずだ。

運行管理者は、原則として運行管理者試験に合格して資格者証の交付を受ける必要がある。一方、整備管理者は2年以上の実務経験と研修修了などの要件が求められる。いずれも短期間で確保できる人材ではない。

平均年齢50歳の現場で、これらの資格保有者が定年を迎えたり、健康上の理由で現場を離れたりするケースが今後増えていくのは、想像しにくいことではない。後継者候補がいたとしても、必要な人材を育成・確保するには一定の期間を要する。その間に前任者が引退してしまえば、許可の継続そのものが難しくなる。制度が求める時間軸と、現場の高齢化のスピードが、噛み合っていないように見える。

事業承継の現場で、壁になりやすいもの

「事業承継やM&Aの話を聞くと、壁は一つではないと感じることが多い。」

人材の壁。資格を持つ人材を育成・確保するには時間がかかるという、先に書いた問題。
財務の壁。燃料費や車両更新費用が重くなる中で利益率が下がり、承継時の企業評価額が伸びにくくなる。
そして許認可の壁。事業譲渡や合併の際には運輸局への認可申請が必要で、譲受側が許可要件を満たさなければ、認可や許可の承継が認められず、予定どおり事業を引き継げない場合がある。

書類を整えれば済む話ではなく、この3つが絡み合って初めて「承継できるかどうか」が決まってくる。

新しく始めたい人にとっても、ハードルは上がっている

運送業に新規参入したいという30代・40代の存在は、業界にとって希望のはずだ。ただ、実際にはいくつかの理由で断念に至りやすい。

運行管理者・整備管理者の確保が難しいこと。車両5台以上、営業所・車庫の確保、社会保険加入といった要件が年々厳格になっていること。そして、「きつい・危険・汚い」という業界イメージが、若い世代を遠ざけていること。

地域によっては、廃業や休業が目立つという声も聞かれる。こうした声も、こうした構造の延長線上にあるのだろう。

廃業の手続きも、実際は重い作業になる

運送業の廃業は、法人を解散すれば終わり、というわけにはいかない。

運輸局への事業廃止届、従業員への対応、車両・営業所資産の処分、荷主への契約解除の連絡。やるべきことが多く、心理的にも事務的にも負担が大きい。だからこそ後回しにされやすく、経営者の体調が急に悪化したタイミングで、事業が一気に立ち行かなくなるということも起こり得る。

現場を28年やってきた者として思うこと

自分自身、水道工事やタンクローリーの運転で28年、現場に身を置いてきた。だからこそ思うのは、賃上げの数字だけでは、若い世代が「この業界で働き続けたい」と思う理由にはならないということだ。

50歳が平均という職場で、30代がどうキャリアを描けばいいのか。そこが見えなければ、賃金が上がっても人は残らない。

物流は社会の血液だと、いつも思っている。その血液が滞らないようにするには、賃上げだけでなく、人材育成や事業承継を支える制度そのものを、業界・行政・専門家が一緒に作り直していく必要があるのではないかと感じている。

運送事業の許認可・事業承継・廃業手続きでお悩みの方、新規参入をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。今すぐ廃業を考えていなくても、早めの準備が事業を守ることにつながります。現場を知る専門家として、実情に合わせたご提案をいたします。

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横山輝明 水道工事13年・古紙回収8年・危険物輸送7年、現場28年の経験をもとに運送業・物流の話を書いています。「面白かった」「参考になった」と思っていただけたら、次の記事を書く励みになります。

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