SNS規制が映し出す「インフラの危機」
行政書士の横山輝明です。
韓国の決断から、運送業界が学ぶこと
韓国政府が動いた。
2026年7月、大統領直属機関「放送メディア通信委員会」の金鍾鉄委員長が、14歳未満のSNSアカウント作成を原則禁止する法整備を李在明大統領に提案した。14歳から19歳についても、YouTubeショートなどの無限スクロールや自動再生機能を制限する案が検討されているという。
背景にあるのは、「中毒性の高い設計そのものが、若者の依存を生み出している」という認識だ。オーストラリアはすでに2025年12月から16歳未満のSNS利用を法律で制限しており、欧州でも同様の動きが広がっている。
▶ 参照:読売新聞オンライン(2026年7月19日)
https://www.yomiuri.co.jp/world/20260719-GYT1T00043/
最初は、運送業とはずいぶん遠いニュースだと思った。
SNS規制と物流。
率直に言って、結び付かなかった。
でも読み返しているうちに、頭の中に2024年問題が浮かんできた。
「あれ?これ同じ構造じゃないか。」
そう思った瞬間、このニュースの見え方が変わった。
問題は「利用者」ではなく「設計」にある
SNS規制の本質は、子どもを責めることではない。
無限スクロール、自動再生、おすすめ表示——これらはすべて、利用者が気づかないうちに時間を使い続けるよう設計された仕組みだ。企業側にとっては合理的な選択なのだが、その積み重ねが若者の依存や精神的な負担という社会的コストになっていった。
問題は人ではなく、設計にある。
この構造を見たとき、運送業界のことを考えずにはいられなかった。
運送業界にも、同じことが起きていた
荷主からの無理な納期。長年にわたって下がり続けた運賃。形だけになっていた労務管理。
それぞれは、「その場をなんとか回すための判断」だったと思う。誰かが意図的に業界を壊そうとしたわけじゃない。でもそういう合理的な判断が積み重なった結果として、ドライバー不足が深刻になり、2024年問題として物流全体が揺らぐことになった。
インフラは、突然壊れない。
「効率」を積み重ねた先で、静かに壊れていく。
SNS問題と物流問題は、構造としてはまったく同じだと思っている。
規制は、自由を奪うためじゃない
SNS規制に対して「やり過ぎだ」という声があることはわかる。
ただ韓国政府は「国民の理解と共感を得ながら制度を整える」と説明している。目的は自由を制限することではなく、社会インフラを守ることだ。
運送業界のコンプライアンスも、同じように見てほしいと思っている。標準的運賃、改善基準告示、適正な契約——これらは経営者を縛るためのルールじゃない。物流を将来に残すための、最低限の設計基準だ。
その設計が崩れたとき、困るのは運送会社だけじゃない。荷主も、消費者も、日本経済全体が影響を受ける。
現場は、突然壊れない
水道工事を13年、古紙回収を8年、危険物輸送を7年やってきた。合計28年、現場にいた。
現場で働いていると、
「今日は大丈夫だった。」
そんな日が何百日も続く。
でも、あとから振り返ると、その何百日の中に壊れる原因は全部あった。
「まだ大丈夫」と思っているうちに手を打てるかどうかが、分かれ目になる。
「設計」を見直す時期
韓国がSNS規制に踏み切った背景には、企業の自主的な改善だけでは限界があるという判断があったのだと思う。社会を支えるインフラは、市場原理だけでは守れないことがある。
韓国が規制しようとしているのは、SNSではない。
社会を支える「設計」だ。
物流も同じだと思う。
ドライバーを守ることは、日本の物流を守ることになる。
物流を守ることは、日本の暮らしを守ることにつながる。
壊れてから直すのでは遅い。
だから今、「設計」を見直す時期なのだと思う。
士業・運送会社経営者の皆さま、ぜひお気軽につながってください。
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水道工事13年・古紙回収8年・危険物輸送7年、現場28年の経験をもとに運送業・物流の話を書いています。「面白かった」「参考になった」と思っていただけたら、次の記事を書く励みになります。