荷物より先に、運ぶ人間が消えていく。42年ぶり1億2千万人割れが運送業に突きつける現実
「熊本地震で亡くなられた方々に、心よりお悔やみ申し上げます。」
行政書士の横山輝明です。
今日、総務省が人口推計を公表しました。
日本人の人口が1億1,973万人。42年ぶりに1億2,000万人を割り込みました。
この数字を見た瞬間、私の頭に浮かんだのは、
「荷物より先に、運ぶ人間が消えていく。」という言葉でした。
※数字の出典:総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(2026年1月1日時点)
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/daityo/jinkou_jinkoudoutai-setaisuu.html
人口が減れば荷物も減る。そう単純ではない。
「人口減少イコール物流縮小」という見方があります。
長い目で見れば国内消費は縮んでいく。それは否定しません。
ただ、配送の現場では逆の動きが起きています。ネット通販が定着してから、荷物一つひとつは小さくなった代わりに、届ける件数は増え続けています。まとめ買いから、何度も届ける時代へ。
荷物の量はそう簡単には減らない。それでも、運ぶ人は確実に減っていく。
このアンバランスが、今の物流の核心です。
本当に怖い数字は、出生数のほうだ。
今回の発表で前年比91万人減という数字が目立ちましたが、私が気になったのは別の数字です。
出生者数、約67万人。死亡者数、約159万人。毎年90万人以上の差が積み上がっています。
15歳から64歳の生産年齢人口はすでに約7,342万人まで縮んでいます。ドライバーはこの世代から生まれます。景気が良くなっても、賃金が上がっても、そもそもいない人間を採用することはできません。これは構造の話です。
外国人が増えても、現場はすぐに変わらない。
外国人住民は403万人と過去最多になりました。全都道府県で増加しています。
ただ、運送業の現場に外国人が増えることと、人手不足が解消されることは別の話です。運転免許の切り替え、日本語での点呼、デジタコの操作、荷主とのやり取り。一つひとつ乗り越えなければならない壁があります。
制度が整うことと、現場で定着することの間には、時間がかかります。
地方の運送会社が直面していること。
今回、東京を除く46道府県で日本人人口が減少しました。
影響を受けるのは荷物だけではありません。会社を引き継ぐ人、管理者になる人、ドライバーになる人——そのすべてが減っていく。地方の運送会社ほど、人材確保と事業承継は難しくなります。廃業かM&Aか。以前より現実味を帯びた選択肢になっています。
現場では、もうずっと前から始まっていた。
28年間、水道工事・古紙回収・危険物輸送の現場を渡り歩いてきました。
どこへ行っても、顔ぶれは変わらず、年齢だけが上がっていきました。「若い人が入ってこない」という話を、何度も聞きました。
当時は景気や給料の問題だと思っていました。
でも今日の数字を見て、少し違う気がしています。あれは人口減少が、音もなく始まっていたサインだったのかもしれません。
まとめ
「最近、若い人が来ない」は、どの現場でも聞いた言葉でした。人手不足だと片付けていたけれど、数字で見ると人口動態そのものの話でした。統計は過去の記録ですが、経営者にとっては次の一手を考える地図になります。
統計は未来を教えてくれるものではありません。ただ、地図にはなります。
荷物の流れだけでなく、人の流れを見る。それが、これからの運送業経営に必要な視点だと、今日の数字を前に改めて思いました。
【出典】
総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(2026年1月1日時点)
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/daityo/jinkou_jinkoudoutai-setaisuu.html
総務省統計局「人口推計」(2026年7月1日現在概算値)
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水道工事13年・古紙回収8年・危険物輸送7年、現場28年の経験をもとに運送業・物流の話を書いています。「面白かった」「参考になった」と思っていただけたら、次の記事を書く励みになります。