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「Watashiは変われましたか」第7話

目の前には、電話の通訳をしながら泣いている幼い沙羅がいた。彼女はまだ3歳で、言葉が拙い。それでも私のために一生懸命に通訳をしてくれていた。彼女の小さな肩が震え、声が詰まる様子を見ると、胸が痛んだ。

画面の中で、沙羅の前には黒電話が置かれていた。受話器を握りしめる彼女の手は小さく、それでもしっかりと通訳の役割を果たそうとしている。その姿はあまりにも痛々しかった。彼女が私のためにどれだけ努力してくれていたかを思うと、涙がこみ上げてきた。

電話の相手は、私の母だった。母は厳しい人で、沙羅に対しても容赦なく言葉を発していた。「はっきり言いなさい、沙羅。電話は顔が見えないから、きちんと言葉を使いなさい」と、母の声が受話器越しに響いてくる。沙羅はその指示に従おうと必死だったが、その負担が大きすぎて涙が溢れていた。

「沙羅、何を言っているのか伝えなさい」と、私も沙羅に求めていた。彼女は母と私の間で挟まれ、言葉がうまく出ないことに苦しみながらも、一生懸命に発語しようとしていた。涙を堪えながら、母の言葉を正確に伝えようとする彼女の姿はあまりにも健気だった。

「ちゃんと発音して、沙羅」と、母がさらに厳しく言い放つ。沙羅は小さな手で受話器をしっかりと握り、涙を流しながらも頑張ろうとしていた。彼女の肩が震え、声が詰まるたびに、私は胸が締め付けられるような思いがした。

最初は子供らしく声を上げながら泣いていた沙羅だが、次第にその声を押し殺し、泣いているのを我慢しようとする姿が見て取れた。彼女の小さな体は、まるで大きな重荷を背負っているかのようだった。それでも、彼女はできないことをできるようにしなくてはと、3歳ながらに頑張っていた。母の厳しい言葉と私の期待の間で、沙羅は泣きながらも一生懸命に努力していた。

私はそっと彼女の肩に手を置き、その温もりを伝えようとした。しかし、アプリを通して見ているこの世界の中では、沙羅も母も私の姿を見ることはできない。私の声や音も彼女たちには届かず、ただそのシーンを見守ることしかできなかった。

ふと目に留まったのは、幼い沙羅が握りしめていたおもちゃのハートのペンダントだった。これは彼女が小さい頃、お菓子についていたおまけで、沙羅がどうしても欲しがっていたものだ。お菓子よりもこのペンダントを欲しがっていた沙羅の姿を思い出し、その愛らしい光景が蘇ってきた。

「ありがとう、沙羅。この時は頑張ったねと言えなくてごめんね。本当によく頑張ってくれた。無理しなくてもいいよ。今ならそう言えるのに」と、私は心の中でつぶやいた。その言葉を伝えるように、私は優しくペンダントを手に取り、沙羅にそっと握らせた。不思議とペンダントは握ることができたのだ。

その瞬間、気持ちを込めたペンダントが光り、点滅し始めた。ペンダントの輝きが沙羅の涙を照らし、その光が彼女の心に届くように見えた。私はそっとそのペンダントを沙羅の首に優しくかけた。

「ごめんね、ありがとう」と、私は心の中で繰り返し、彼女に寄り添った。沙羅の手がペンダントを握りしめると、その表情が少しだけ和らいだように見えた。涙を流しながらも、その温かさに少しだけ安堵した様子だった。

そのシーンを見ている私の胸は、締め付けられるような痛みでいっぱいだった。障害があるから、耳が聞こえないからしっかり育てなくてはと思って褒めることもしてこなかった。それは幼い頃からだったと振り返る。子供なのにそうさせてしまったという後悔が胸に込み上げてきた。今なら気持ちを伝えられるのに、当時の私はそれができなかった。

一瞬、沙羅がニコッと笑顔を見せた気がした。

同時にペンダントの輝きが増し画面には再び「このシーンをクリアしました。次のシーンに進みますか?」というメッセージが表示された。心の中で沙羅の痛みに寄り添う決意を新たにし、次のシーンに進むことにした。

#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門


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