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「Watashiは変わりましたか」第8話

手作りの人形を抱きしめて夜泣きしている沙羅のシーンのロックが解除されたようだ。

鍵のあいたシーンを選択した。彼女は幼稚園に通い始めたばかりで、その小さな手に私が作った人形をぎゅっと握りしめていた。涙が頬を伝い、何かに怯えたように震えている。その人形は、入園のお祝いにと私が手作りしたもので、赤いリボンをつけた小さな女の子の形をしていた。沙羅はその人形を「ララちゃん」と名付け、毎日どこへ出かけるにも持ち歩き、夜寝る時も一緒にいた。

アプリを通して、このシーンに入り込むと、沙羅の泣き声が耳に響いた。彼女の涙を見ていると、私の胸は再び締め付けられるような気持ちでいっぱいになった。沙羅の小さな肩が震え、声を上げて泣いている姿は、あまりにも痛々しかった。

彼女の目には恐怖の色が浮かんでおり、何かから逃げるようにララちゃんをぎゅーっと抱きしめていた。夜泣きのきっかけは、息子が迷子になったあの日だった。

区役所から最寄駅に向かう途中、私は息子が迷子になったことに気づいた。沙羅と一緒に歩いていたが、突然弟が見当たらなくなった。私は焦り、沙羅に息子の泣き声を聞くように怒鳴り声を上げたが、彼女は泣き声を聞くことができなかった。私が聞こえないから見つからないことで焦り、沙羅も不安に駆られていた。

区役所から最寄駅まで、大人の足で歩いて10分ほど。初めて息子を迷子にさせてしまい、私はパニックに陥った。息子が泣きもせずに最寄駅の階段下で座っているのを見つけた時、私は一瞬誘拐の可能性も頭をよぎったが、安堵の気持ちが押し寄せた。泣かない息子の姿を見て、沙羅の耳にはその泣き声が届かなかったのだと気づいた。

その瞬間、私の口から出た言葉は「沙羅、あなたは私の耳の代わりなのよ」というものだった。その言葉が彼女にどれほどの重荷を背負わせてしまったのか、今になって深く後悔している。彼女が泣きながら、それでも必死に私の期待に応えようとしていたことが、今でも胸を締め付ける。

その日の出来事が沙羅の心に深い傷を残し、彼女は手作りのララちゃんを抱きしめて夜泣きするようになった。夜泣きに気がついたが、そのうちおさまるだろうと思っていた。しかし、夜泣きは毎晩のように続き、小学校に上がる前まで続いたことを、このシーンを見て初めて知った。沙羅が泣いている姿を見て、私は後悔と自己嫌悪に苛まれた。私の焦りと怒鳴り声が、彼女の心にどれほどの重荷を与えたのかを痛感した。

「ごめんね、沙羅」と心の中で繰り返しつぶやきながら、彼女の泣き声を聞き続けた。彼女が抱えていた恐怖や不安が、私には痛いほど伝わってきた。障害があるから、耳が聞こえないからしっかり育てなくてはと思って褒めることもしてこなかった。それは幼い頃からだったと振り返る。もっと褒めるべきだった、まだ幼いなのにそうさせてしまったという後悔が胸に込み上げてきた。

彼女が子供らしく声を上げながら泣いているが、「ごめんね」と謝ることしか言葉が出てこない。何度も繰り返しながら、沙羅の泣き声を聞き続けた。彼女が子供らしく声を上げながら泣いていたが、次第に泣き疲れて深い眠りにつく姿が痛々しかった。

「本当に、あの時はよく頑張ってくれたね。一緒に探してくれてありがとう。心強かったよ」と心の中で何度もつぶやいた。沙羅の小さな手がララちゃんを握りしめるたびに、その温かさが私にも伝わってくるような気がした。今なら、彼女の気持ちをもっと理解し、寄り添ってあげられるのに。

アプリを通して来た私の姿は、シーンに登場する誰にも見えず、触れてもすり抜けてしまう。ただその光景を見つめ、心の中で彼女に寄り添うしかなかった。

その瞬間、手作りのララちゃんが柔らかく光り始めた。ペンダントをかけたときと同じように、ララちゃんが優しく光を放ち、沙羅の心に届くように見えた。私はその光を見つめながら、彼女の心の中に少しでも安らぎを与えられることを願った。

「沙羅、本当にありがとう。ごめんね」と心の中でつぶやいた。沙羅の手がララちゃんを握りしめると、その表情が少しだけ和らいだように見えた。涙を流しながらも、その光に少しだけ安堵し眠りにつく様子だった。

寝顔の沙羅が穏やかに見え、同時にララちゃんの輝きが増していった。画面には再び「このシーンをクリアしロックが解除されました。次のシーンに進みますか?」というメッセージが表示された。心の中で沙羅の痛みに寄り添う決意を新たにし、次のシーンに進むことにした。

#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門



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