Google流採用の科学を読んでみて
人の採用ミスマッチは大きな痛手となります。
それは、もちろん採用された候補者側の人生においてもです。
ミスマッチを防ぐ採用方法を追求すれども、多くは面接官の目利き力や、候補者アンケート、採用広報で打ち出し方など、感覚的な改善にどこかやりきれなさを感じたことはないでしょうか?
この悩みを解消する一つの事例を詳しく解説している書籍が小川高子さんの『グーグルのすごい採用 科学的な最強人事戦略』です。
本書では、徹底的に採用を科学し、従来の正解パターンに慢心することなく市場の変化に合わせて改善をし続けるGoogleの採用手法が解説されています。
それも、「Googleだからできる」ではなく、普遍的なノウハウが掲載されています。
本稿では、そのお勧めポイントをまとめます。
POINT①:採用改善を構造化する4つのE
本書では、Google流採用を捉えるフレームワークとして4つのEが解説されています。
①Effectiveness(効果):
必要な人材を明確に定義し、バイアスを排除して見極める
②Efficiency(効率):
ムダなコストと時間をかけずに最適化する
③Experience(体験):
合否に関わらず、候補者に「受けてよかった」と思わせる体験を提供する
④Equity(公平性):
あらゆるバイアスを排除し、性別、学歴、人種に関わらず、公平な機会を提供する
特に印象的だったのは、効果と効率のトレードオフをどう乗り越えるかの見解です。
厳格に見極めようとすれば時間はかかり、効率を求めればミスマッチが起きる、
このジレンマに対し、データで解を出すGoogle流の努力が参考になります。
本書では、たとえば、面接は4回までという打ち手の至るまでの論拠も具体的に解説されており、採用の最適解を追求する上での検討プロセスを再考することができます。
POINT②:成功パターンに甘んじずに常に進化を追求する
本書を通じて、Googleの凄みの一つは、一度確立した成功パターンであっても、そこに甘んじずにデータが異なる可能性を示せば手段を変える変革力にあると気付くことができます。
たとえば、Googleの選考といえばと言われた難問奇問、いわゆるとんち問題や、出身大学のランク付けといった手段も、データ検証によって「入社後のパフォーマンスと相関がない」ことが判明すれば、廃止してきた変化の背景が解説されています。
採用活動をルーティンワークするか、仮説検証と変革の連続とするか、その差分がいかに大きいのかを再認識できる示唆に富んでいます。
POINT③:採用の最適化を図るための分業体制
人が人を評価する採用というプロセスでどうしても発生してしまうバイアス。
そのバイアスが入社後の期待値ミスマッチの大きな要因となりますが、本書では、Googleがいかにそのようなミスマッチを防ぐことに努めているのかを学ぶことができます。
たとえば、
面接官は合否を決めず、採用委員会という第三者機関を設置して、面接官から上がってきたレポートで合理的に判断する。
ピープル・アナリティクスのチームが採用の現状を明らかにする。
現場が求める人材像を採用チームが要件定義する。
などです。
第一印象で判断する機会損失や、欠員補充の焦りによる妥協といった多くの組織で発生しがちな変化に対する牽制となる組織機能の磨き方が参考になります。
以上、「Googleだからできる」ではなく、他社の具体的な企業努力の事例から実践的な採用改善の仕組みや運用を考えることができます。
労働人口が減少し、採用難易度が極まり続ける日本において、採用に携わる人にとって、お勧めの書籍の一冊です。
