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日本のワクチン後死亡389万人推計の衝撃と射程──市民の情報公開請求が覆す「安全で効果的」の虚構

大きな嘘が効果的であり続ける理由のひとつは、人々がそのような規模の欺瞞を信じることを拒否するからである

— ハンナ・アーレント(Hannah Arendt)、政治哲学者

2020年、日本の超過死亡はゼロだった。パンデミックの渦中にあってさえ、この国では例年を下回る人数しか死ななかった。ところが2021年──COVID-19ワクチン接種が始まった年から、死亡数は急激な上昇曲線を描き始める。誰が、いつ、何回目の接種の後に死んだのか。

政府はそのデータを持っていた。しかし一度も分析を公表しなかった。「やらなかった」のか、「やれなかった」のか、「やりたくなかった」のか。

その答えを待つ代わりに、数百名の市民ボランティアが自ら動いた。全国191自治体への情報公開請求、57自治体からの開示、約400万人・1,754万回分の接種記録と死亡データ。行政が放置した分析を、市民が実行したのである。本稿は、その成果を読み解く試みだ。

論文と著者について

本稿が分析する論文は、荒川(Hiroshi Arakawa)と村上(Yasufumi Murakami)を筆頭・責任著者とするプレプリントである。正式タイトルは『Citizen volunteers' disclosure request and web database for post-vaccination deaths among 4 million mRNA COVID-19 vaccine recipients in Japan』(日本におけるmRNAワクチン接種者400万人の接種後死亡に関する市民ボランティアによる情報公開請求とウェブデータベース)。Zenodoに掲載されており、現時点で査読済みジャーナルへの掲載は確認されていない。

荒川博士はイタリアのIFOM ETS(AIRC分子腫瘍学研究所)所属の分子生物学者であり、村上教授は東京理科大学生物工学科教授でmRNAワクチンの安全性問題について日本国内で早期から発信してきた研究者である。データ収集を担ったのは「mRNAワクチン中止を求める国民連合」と「ゆうこく連合」に所属する市民ボランティア数百名だ。

プレプリントであること──つまり査読を経ていないこと──は、この論文を読む上で前提として共有しておくべき事実である。だが、それは「だからこそ読者自身が批判的に検証すべきだ」という意味であって、「だから無視してよい」という意味ではない。

行政がデータを保有しながら分析を怠り、主流の学術機関がこの問いに取り組まない状況下では、プレプリントという形式そのものが、制度的知識の独占に対する異議申し立てとなっている。公開データベース(https://stop-mrna.sakura.ne.jp/db/home_en.php)が誰にでもアクセス可能な形で公開されている点も、検証可能性の担保として重要だ。

なお、本稿は荒川・村上論文の内容を筆者が独自に読み解き、解釈・考察を加えたものである。以下に記述される分析や見解は、論文著者の主張をそのまま反映したものであるとは限らない。原文は上記データベースおよびZenodoから直接参照されたい。

1. 191自治体への請求、57自治体の開示──市民科学の前線

専門家がやらないなら、素人がやるしかない。問題は「やらない」理由の方にある。

数百名の市民ボランティアが、全国191自治体に対して情報公開請求を提出した。請求内容は、接種者の生年月日または年齢、接種日・ロット番号・接種回数、死亡日、転出入日、性別──そして接種記録のない個人についても同様の項目である。結果として情報を開示したのは57自治体、約30%にすぎなかった。

この数字が意味するものを考えてみる必要がある。日本の情報公開制度は、建前上は市民の「知る権利」を保障する仕組みだ。だが現実には、約7割の自治体がデータ不十分や手続き上の理由で開示を拒んだ。行政が「やらない分析」を市民が代行しようとしたとき、行政はその代行すら妨げうる構造になっている。

開示された57自治体のデータから、4,100,806人の接種者(17,647,512回分の投与)がデータベースに登録された。転入・転出者を除いた4,025,948人(17,545,662回分)が統計分析の対象となった。データのクリーニングには標準化処理、日付形式の統一、時系列的整合性の検証が行われ、内部矛盾のあるレコードは除外されている。

「素人の分析は信頼できない」という反論は当然予想される。だが正確に言えば、データの収集は市民が担い、統計的分析は分子生物学と生物工学の専門研究者が実施している。方法論は論文中に明示されており、データベースは公開されている。むしろ問い返すべきは、なぜ「専門家」──政府機関や大学の疫学研究者──がこの分析を行わなかったのか、という点だろう。

ここに市民科学、そして並行社会の具体的実践がある。既存システムとの正面衝突ではなく、その横に独立した知識インフラを構築するという手法だ。市民が行政データを情報公開請求で取得し、専門研究者と協働して分析し、結果を公開データベースとして社会に還元する。「専門家に任せるべき」という制度的知識の独占への、実践的な反証である。

2. 接種後3〜7ヶ月の死亡集中──時間差が因果関係を隠す構造

茹でガエルは、自分が茹でられていることに気づかない。だが気づかない理由は、愚かさではなく、変化の速度にある。

論文が提示するヒートマップ(Fig. 4)は、4年以上にわたる接種後死亡の全体像を一枚の図に凝縮している。横軸に最終接種日、縦軸に最終接種から死亡までの日数をとり、色の濃淡で死亡者数を表す。赤やオレンジの集中領域が7回にわたって出現する。

2021年6月の1・2回目接種後、2022年3月の3回目後、2022年8〜9月の4回目後、2022年12月の5回目後、2023年6月の6回目後、2023年12月の7回目後──いずれも接種直後ではなく、数ヶ月遅れて死亡のピークが現れている。

注目すべきは、このパターンが地域にも季節にも依存しない点だ。相模原、鹿児島、豊橋、明石、伊丹、豊川──人口密度も気候も異なる都市で、同じ波形が繰り返し観察されている。冬の死亡増加という季節要因では説明がつかない。

具体的な数字を見よう。2回目接種後の死亡ピークは約7ヶ月後、3回目は約3〜4ヶ月後、4〜7回目は約3ヶ月後に現れる。接種直後の急性反応ではなく、数ヶ月にわたる遅延性の死亡増加である。

著者自身がこの現象を「茹でガエル効果」と呼んでいる。接種の波が重なるたびに高い死亡率が定常化し、変化が緩やかであるがゆえに、全体の異常さが認識されにくくなるというメカニズムだ。

「高齢者は時間が経てば自然に死ぬ」という反論は予想される。しかし問題は、地域も季節も異なる複数の都市で、接種時期と同期した同一の波形パターンが再現されることだ。

自然死であれば、なぜ接種タイミングに同期した波形が地域横断的に現れるのか。2020年──パンデミックは始まっていたが接種はまだ行われていなかった年──の週間死亡率0.021%を基準にすると、接種開始後の死亡率は概ねこれを上回っている。

時間差という要素が因果推論を構造的に困難にし、「自然死」への帰属を促進する。

これは偶然ではなく、遅延性の害が持つ本質的な不可視性である。

3. 波は高く、早く、長くなる──累積的害の証拠

一滴の毒は致命的でなくとも、杯を重ねれば器は必ず壊れる。

接種回数ごとの1年以内死亡率は、明確な上昇勾配を描く。1回目:0.088%、2回目:0.88%、3回目:0.80%、4回目:0.98%、5回目:1.4%、6回目:1.5%、7回目:2.5%(Fig. 6A)。1回目から7回目で約28倍の差である。

死亡の波形そのものも変質する。接種回数が増えるほど、波は高くなり(死亡率のピークが上昇)、早くなり(ピークまでの時間が短縮)、長くなる(高い死亡率が持続する期間が延長)

とりわけ7回目接種後のデータは衝撃的だ。週間死亡率が0.05%を超える水準が1年以上にわたって持続している。2回目接種後の波が約7ヶ月で減衰したのに対し、7回目接種後の波は観察期間内で収束の兆候を見せていない。

この用量反応関係因果推論において重要な意味を持つ。被曝量が増えるほど影響が増大するという関係は、毒性学の基本原理と整合する。偶然の相関であれば、接種回数と死亡率の間にこれほど一貫した勾配が現れる理由がない。

年齢層別分析では、死亡の大多数は70歳以上の高齢者だった(推計約351万人)。だが労働年齢層(20〜69歳)でも推計約36万8千人が接種後1年以内に死亡しており、波形パターンは高齢者と類似している(Fig. 5C)。

「高齢者の接種回数が多いだけ」という反論は、労働年齢層でも同じ波形が確認されている事実によって弱められる。

日本が世界で唯一、8回接種まで推進したという事実は、意図せずして累積的害の「自然実験」を生み出した。健康を守るための医療介入がその投与回数に比例して健康を損なうという構図は、イリイチが制度的逆生産性(institutional counterproductivity)──制度が一定の閾値を超えると本来の目的と逆の効果を生む現象──と呼んだものの、おそらく歴史上最大規模の事例かもしれない。

4. 死亡率71%のロットから0.5%未満のロットまで──品質のばらつきが意味するもの

同じ薬が人を救いもし殺しもするなら、問題は薬ではなく、何がその差を生んでいるかだ。

論文が明らかにした最も不穏な知見の一つは、ワクチンロット間の死亡率の著しいばらつきである。

少数接種のロットHG5938の死亡率は71.429%に達した。統計的に不安定な少数ロットを除いても、死亡率上位10ロットは12%を超えている。一方、特定の4ロットでは死亡者数が3,000人を超えた(Fig. 2D)。10以上のロットで接種当日または翌日の死亡者が3人以上記録されている。

ロットFP9647の事例は、遅延性の害を具体的に示す。このロットは2022年6〜8月に集中投与されたが、死亡のピークは接種後約4ヶ月で、死亡の分布は2024年6月まで2年近くにわたって継続した(Fig. 3A)。

一方、ロットGJ2675では接種後2〜5ヶ月で死亡が集中した後に減少し、ロットHG2273では接種後約2ヶ月から高い死亡率が1年以上持続した(Fig. 3C)。同じ「ワクチン」でありながら、ロットによって死亡パターンが根本的に異なるのだ。

全接種のうち、最終接種後1年以内に2,000人超が死亡するロットを受ける確率は16.4%、200人以上が死亡するロットを受ける確率は85.4%に達する(Fig. 3D)。死亡率0.5%以上のロットを受ける確率は75.8%だった。

このばらつきはデンマークの研究(参考文献10)と整合する。同研究では、ロット間で有害事象の頻度に有意な差異があり、ハイリスクロットでは重篤な有害事象が多発することが報告されていた。

荒川・村上論文はこれに加えて、短期死亡率の高いロットと長期死亡率の高いロットが一般に異なることを示した。

原因として考えうるのは、ワクチン成分の量や質のばらつきだ。RNA転写鋳型由来のDNA混入がロット間で異なること(参考文献11)、RNA品質がバイアル間(小型ガラス製容器)で変動すること(参考文献13)、メチルシュードウリジン修飾mRNAがリボソームのスリッページ(読み枠のずれ)を起こしやすいこと(参考文献12)──これらが複合的にロット間差異を生み出していると考えられる。均質な工業製品という前提そのものが、疑わしい。

5. 接種後1年以内に389万人──この数字をどう読むべきか

統計は、それを読まない者には何も語らない。だがそれを作らせない者は、さらに多くを隠す。

論文は、57自治体のデータを全国に外挿するための正規化係数を25.8と算出した。1回目接種者数の自治体データ(4,025,948人)と厚労省発表の全国データ(104,761,469人)の比率26.0、2回目の25.8、3回目の25.5から、平均25.8±0.29を導いている(Table 1)。

この係数を適用した全国推計は、接種後1年以内の死亡者数として以下の数字を示す。若年層(20歳未満):2,967人、労働年齢層(20〜69歳):368,476人、高齢者層(70歳以上):3,518,888人、合計約3,890,330人(Fig. 6B)。

まず正確に言い直す必要がある。389万人は「ワクチンで死んだ人数」ではない。「最後にワクチンを打ってから1年以内に死亡した人の推計総数」である。つまり、ワクチンとは無関係に老衰で亡くなった人も、交通事故で亡くなった人も、この中に含まれうる。

では、この数字には意味がないのか。そうではない。

日本の総人口約1億2,300万人のうち、約1億500万人(約85%)がワクチンを接種した。だから「死亡した人の多くが接種者だった」こと自体は、数学的に当然だ。人口の85%が接種者であれば、亡くなる人の多くも接種者になる。ここまでは反論の余地がない。

なぜ「自然死」では片づけられないのか

問題は、前章までに見てきた「死亡の波」の存在だ。もし接種者の死亡がすべて自然死──つまり接種とは無関係に寿命や持病で亡くなったもの──であれば、死亡のタイミングは接種日とは無関係に、季節変動や加齢に沿って緩やかに分布するはずである。

ところが実際には、接種後3〜7ヶ月に集中する明確な「波」が観察され、その波は地域にも季節にも依存せず、接種回数が増えるほど高く・早く・長くなる。この規則的なパターンは、「たまたま接種後に死んだ人を数えただけ」では説明がつかない。

389万人のうち、どこまでが「接種がなくても同じ時期に亡くなっていた人」で、どこまでが「接種によって死期が早まった人」なのか──それを正確に切り分けるには未接種群との比較が不可欠だが、6章で論じる予定の未接種者データの不在──厚労省が接種歴不明者を「未接種」と分類した問題によってそれは現時点で不可能だ。

だからこそ、この389万人という数字は「ワクチン死者数」としてではなく、「影響を受けた可能性のある人口規模の上限値」として読むべきである。

超過死亡45万人と389万人の乖離が意味するもの

ここでもう一つの数字が重要になる。2021〜2024年の超過死亡は約45.2万人と推計されている(Fig. S2B)。超過死亡とは、「例年の傾向から予測される死亡数を実際の死亡数がどれだけ上回ったか」を示す指標だ。いわば「本来まだ死ぬはずではなかった時期に死んだ人の数」の近似値である。

389万人と45万人。この約8.6倍の乖離をどう理解すればよいか。

具体的に考えてみる。80歳の高齢者が本来なら83歳(2025年)まで生きるはずだったが、81歳(2023年)で亡くなった場合。この人の死亡は2023年の超過死亡に+1として計上される。一方、2025年の死亡予測には含まれたままだが実際には死なないので、2025年の超過死亡は-1される。2021〜2024年の累積で見れば、+1だけが計上され、-1は観察期間外に出る。

だが、もし82歳(2024年)に死ぬはずだった人が81歳(2023年)に前倒しされた場合は、+1(2023年)と-1(2024年)が同じ観察期間内で相殺され、累積超過死亡への寄与はほぼゼロになる。

高齢者の場合、「前倒し」の幅が数ヶ月〜数年程度であれば、同一の観察期間内で相殺が起きやすい。寿命の前倒しが大きい人(たとえば本来2028年に死ぬはずだった人が2022年に死んだ場合)は超過死亡にはっきり現れるが、前倒しの幅が小さい人は統計の中に埋もれてしまう。

つまり超過死亡という指標は、寿命の前倒し幅が大きい場合にのみ被害を可視化し、緩やかな死期の早まりは原理的に検出できない構造を持つ。

だからこそ45万人という数字は「被害の全容」ではなく「氷山の水面上」にすぎない可能性があり、著者はこの構造を「加速老化」仮説として提示する。

ワクチンが老化プロセスそのものを促進し、心筋炎、自己免疫疾患、がんといった──加齢に伴いリスクが上昇する疾患──の発症を早めたという仮説だ。

もしこの仮説が正しければ、389万人の多くは「ワクチンで突然死んだ」のではなく、「本来の寿命より早く死んだ」ことになる。

ただし、これはあくまで仮説である。「加速老化」の生物学的機序は第7章で触れる複数の経路で説明可能だが、直接的に実証されたわけではない。

推計手法の限界

正規化係数25.8倍という外挿の粗さは著者自身が率直に認めている限界だ。57自治体のサンプルが全国を代表するかどうかは検証が必要であり、都市部への偏り等の可能性もある。

しかし、データの方向性──接種回数と死亡率の用量反応関係、地域横断的な波形パターン、季節に依存しない死亡の波──は、サンプル偏差では説明しきれない一貫性を示している。

389万人という数字の精度は今後精緻化される余地があるが、「接種後に異常な死亡パターンが存在する」という知見そのものは、推計手法の粗さとは独立に成立している。

6. 未接種者データの不在──厚労省が接種歴不明者を「未接種」と分類した問題

データがないことは、問題がないことを意味しない。データを作らせないことは、問題がないふりをすることだ。

疫学研究において最も基本的な比較対象──未接種群──が、この研究では構築できなかった。これは研究の最大の限界であると同時に、日本の行政データ管理が抱える構造的問題を暴露している。

論文は「接種記録なし群」を暫定的な未接種群として分析を試みた。だが結果は不自然なものだった。接種記録のない高齢者の人口が、2021年6〜8月(高齢者への接種キャンペーン時期)に10分の1に激減した(Fig. S5A)。

労働年齢層でも同年7〜11月に5分の1に減少している。さらに、接種記録なし群の死亡率が、各世代への大規模接種キャンペーン時期に上昇するという不自然なパターンが観察された(Fig. S5C)。

この不自然さの意味するところは明瞭だ。「接種記録なし」は「未接種」と等価ではない。接種を受けたにもかかわらず記録が紐づけられていない人々が、この集団に大量に含まれている可能性が高い。

OCR読み取りエラー、自治体での登録遅延、システム上の不具合──技術的要因は複数考えられるが、結果として「未接種群」の正確な構築が不可能になっている。

ここで想起すべきは、厚労省が接種歴不明者を統計上「未接種」に分類していたスキャンダル(参考文献14)である。

これは単なる事務処理上のミスではなく、接種の有効性・安全性評価の根幹を揺るがす問題だ。接種歴不明者が「未接種」に計上されれば、見かけ上、未接種群の死亡率が高く算出され、ワクチンの有効性が過大評価される。

「データの問題であって意図的な隠蔽ではない」という反論は、ある意味で問題の核心を見逃している。意図の有無にかかわらず、結果として接種と未接種の正確な比較が不可能になっている。

これは行政統計の信頼性崩壊であり、政策の正当性を検証する手段そのものの喪失を意味する。データを保有しながら分析しない、分析に必要なデータの品質を維持しない──それは被害の統計化ではなく、統計化の拒否による不可視化である。

7. スパイクタンパク質の持続発現と免疫異常──遅延死亡の生物学的根拠

機序が見えなければ因果は否定される。だが機序が見えたとき、否定されていた因果は遡及的に復元する。

接種後数ヶ月で死亡が集中するという観察事実は、生物学的に説明可能なのか。論文は複数の機序を提示している。

第一の経路は、スパイクタンパク質の持続的産生と血管毒性だ。

mRNAワクチンに使用されるメチルシュードウリジン修飾(通常のウリジンをメチルシュードウリジンに置換する化学修飾)は、mRNAを細胞内の分解機構から保護し、翻訳を長期化させる。

接種後数ヶ月から数年にわたってスパイクタンパク質が検出されたという報告がある(参考文献18-20)。スパイクタンパク質それ自体が血管毒性を持つことも示されている(参考文献21)。VITT(ワクチン誘発性免疫性血小板減少症)(参考文献22)や皮膚血管炎(参考文献23)が報告されている。

ワクチン接種後に心筋炎を発症した青年の血液からスパイクタンパク質が検出され(参考文献24)、脳と心臓からもワクチン由来のスパイクタンパク質が確認されている(参考文献25)。

第二の経路は免疫系の撹乱だ。

mRNAワクチンは細胞内でmRNAを翻訳させ、細胞表面に抗原を提示させる。その結果、抗原を提示した細胞自体が免疫攻撃の標的となり、抗体依存的自己攻撃やT細胞依存的自己攻撃が複数臓器にランダムな損傷を引き起こしうる(参考文献26)。臨床試験でも接種後の一過性リンパ球減少が報告されていた(参考文献17)。

過剰な免疫刺激はIgG4(免疫抑制的な抗体サブクラス)へのクラススイッチを誘導し(参考文献27)、コロナウイルス感染への感受性増大(参考文献27)やがん進行の促進(参考文献28, 29)と関連づけられている。転移性がん組織からワクチン由来スパイクタンパク質が検出された症例報告もある(参考文献30)。

「相関は因果ではない」──これは正しい命題だ。しかし、複数の独立した生物学的機序が、観察された遅延死亡パターンと整合的に説明可能であるとき、「因果ではない」と断言することもまた困難になる。

スパイクタンパク質の持続発現という機序は数ヶ月の遅延と整合し、免疫系の撹乱という機序は累積的害と整合する。用量反応関係の存在は、これらの機序が接種量に依存して増幅されることを示唆する。

なお、日本では2024年に世界で初めて自己増幅型mRNAワクチン(レプリコンワクチン)が一般接種に導入された。XBB.1.5およびJN.1対応ワクチンも十分な臨床試験を経ずに投与されている(参考文献2)。

長期的安全性プロファイルが確立されていない新技術を、累積的害の証拠が蓄積しつつある状況下で投入し続けるという判断の妥当性は、根本的に問い直される必要がある。

批判への応答

本稿を要約したツイートを公開後、いくつかの批判が寄せられた。主なものに応答しておく。

「389万人は多すぎる」という批判について。この数字は「ワクチンで死んだ人数」ではなく、最終接種後1年以内に死亡した人の推計総数だ。自然死を含む。超過死亡45万人との乖離は、「加速老化」仮説——死期の前倒し幅が小さければ超過死亡は観察期間内で相殺され検出されない——で説明可能であることは本文で論じた。推計の粗さは著者自身が認めており、本稿も隠していない。だが強調すべきは、389万人という数字の精度問題と、「接種後に異常な死亡パターンが存在する」という知見の問題は、まったく別の話だということだ。前者への批判で後者を否定しようとするなら、それは論点のすり替えである。

「生存バイアス・不死時間バイアスがある」という批判について。これは技術的に最も正当性のある批判であり、真剣に受け止める。ただし、この研究の核心は累積死亡率の絶対値ではなく、パターンの再現性にある。バイアスがあるとしても、地域も季節も異なる複数都市で、接種時期に同期した同一の波形が繰り返し観察される理由を、バイアスだけで説明できるか。批判者はそこに答える必要がある。

「ロット間差異の異常値は信憑性がない」という批判について。71.4%という数字が少数ロットの統計的不安定性によるものであることは本文で明示している。問題はそこではなく、死亡率上位10ロットが12%超、特定4ロットで死亡者3,000人超というより大きなサンプルでの知見だ。少数ロットの異常値を叩くことで、大規模ロットの知見を無効化することはできない。

批判の多くに共通する構造がある。「方法論が粗い」という指摘を繰り返しながら、誰も問いの核心に答えない。

では問う。行政はなぜデータを保有しながら分析を公表しなかったのか。この問いへの応答なしに本稿を退けることは、反証ではなく回避だ。

より詳細な批判的検討

本稿公開後、より体系的な批判を受けた。以下に論点ごとに整理する。

論点1:比較対照値の欠如

最も根本的な指摘は「年齢別ベースライン死亡率との比較が明示されていない」という点だ。批評者の計算では、70〜89歳の2020年週間死亡率は約0.07%であり、Fig. 5Cの高齢者グラフはむしろ「接種者の死亡率が過去の同年齢層より低い」ことを示しているという。

この指摘の方法論的正当性は認める。ただし、反論も存在する。2020年の人口統計上の死亡率の分母は「70〜89歳の全人口」──寝たきりや末期疾患の人を含む──であり、接種者は「接種会場まで移動できる程度には健康だった人々」だ。つまり接種者集団はベースライン時点ですでに一般人口より健康な集団に偏っている(健康接種者効果)。その集団の死亡率が一般人口の水準に近づくこと自体が、すでに異常の兆候である可能性がある。

さらに、論文が70歳以上を一括した粗い年齢区分を用いている点は、批評者の指摘を支持する方向にも反論する方向にも働く。批評者が用いた0.07%という基準値もまた粗い近似であり、それをもって「異常ではない」と断じることは早計だ。

論点2:「波」の正体──本当に問うべき問い

「接種直後の低い死亡率がベースラインに回帰する過程にすぎない」という解釈は、健康接種者効果で部分的に説明できる。しかし以下の三点がこの説明だけでは不十分であることを示唆する。

第一に、波の形状が接種回数ごとに系統的に変化する点だ。ピークが早まり、高さが増し、持続が長くなるという用量反応的変化は、「健康な人が時間とともにベースラインに回帰するだけ」であれば、接種回数によらず類似した波形が現れるはずだという反論が成立する。
第二に、2回目を受けずに1回で終了した人々の区間別死亡率が異常に高い点がある。第三に、相模原、鹿児島、豊橋といった人口構成も気候も異なる都市で類似した波形が観察されている点は、集団の選択バイアスだけでは説明しにくい部分を残す。

論点3:ロット差の読み方

接種回次ごとの時期的特性(観察期間の長さ、対象集団の年齢構成変化)でロット間のパターン差を部分的に説明できるという指摘は正当だ。しかしFig. 2Cが示す死亡率の桁違いの差異は、接種回次だけでは説明困難である。同時期に同年齢層に投与されたロット間でも数倍から数十倍の差が存在し、これは製品側の要因を示唆する。デンマーク研究(参考文献10)が独立に同様の知見を報告していることもこの解釈を補強する。

論点4:未接種群データの解釈

批評者は、Fig. S5の「接種記録なし群」の死亡率上昇を「健康弱者が接種を選べなかった」ことによる集団の偏りとして説明する。これは疫学的に既知の現象であり、説得力がある。また、記事中で厚労省の接種歴不明者分類問題(参考文献14)と本論文のデータを同一文脈で論じた点については、両者がそもそも異なるデータソース──自治体の接種券管理システムとHER-SYS(保健所経由の陽性者データ)──に由来するという批評者の指摘を受け止める必要がある。

ただし、Fig. S5Aで接種記録なし群の高齢者人口が2021年6〜8月に10分の1に急減している点は、「健康弱者の集中」だけでは説明が難しい。接種キャンペーンの進行という単純な説明も可能だが、残った少数の未接種群の死亡率がキャンペーン時期と同期して変動するパターン(Fig. S5C)は、健康接種者効果の裏返しだけでは完全に説明されない。

論点5:389万人の提示方法

389万人が3年間の累積値であることを強調せず提示した点については、提示方法の問題として批評者の指摘は正当だ。ただし、この数字の意義は絶対数そのものよりも、超過死亡45万人との乖離が示す「超過死亡という指標では捉えられない被害の存在可能性」という問題提起にある。提示方法の不備は、その問題提起の価値とは独立した問題だ。

批評者の二重拘束と、単一論文を超えた問い

批評者の困惑には構造がある。ワクチンの害に関する実感と蓄積された証拠がある一方で、それを示そうとするこの論文はベースライン比較を曖昧にすることで、データが実際に示しているものを「感覚に合致したストーリー」に収束させているかもしれない、という認識だ。

論文の向く方向には同意できるが、論証の誠実さに疑問がある──そう批判すれば「ワクチン擁護」に見え、無批判に受け入れれば知的誠実性を損なう。これは制度的腐敗を告発する論証が粗雑であるとき、批判的分析者がしばしば直面するジレンマだ。

しかし、ここで決定的に重要な視点の転換がある。批評者の指摘はすべて、この論文を閉じた系として評価した場合に有効な批判だ。科学的知見は単一の論文で完結しない。

ベイズ的に考えれば、データの解釈は事前確率──この論文を見る前にすでに蓄積されている証拠──に依存する。

スパイクタンパク質の血管毒性、メチルシュードウリジン修飾mRNAの持続的翻訳、IgG4クラススイッチによる免疫抑制、ワクチン由来スパイクタンパク質の臓器蓄積、VITT、心筋炎、デンマークのロット差研究、日本の予防接種健康被害救済制度での死亡認定1,000件超──これらはそれぞれ異なる研究グループが独立した方法論で報告した知見だ。

この文脈の中で荒川・村上論文のデータを見るとき、「健康接種者効果ですべて説明できる」という帰無仮説の事前確率は著しく低い。

「この論文だけで因果関係を証明できるか」という問いに対する答えは否だ。しかし「この論文を含む証拠の総体が何を示すかは別の問いである。批評者の方法論的批判は前者には有効だが、後者には射程が届かない。

論文が「証明」できていなくても、400万人規模という日本で存在しなかった観察データを提示したこと、地域横断的な波形の一貫性を示したこと、用量反応関係の存在を提示したこと──これらは、方法論的不備とは独立に、証拠の総体に追加される価値を持つ。

「茹でガエル」を可能にした制度設計──不可視化の技術と認識の自律性

健康を求める制度が健康を破壊する閾値を超えたとき、人々はまず「閾値を超えたこと自体」を認識できなくなる。

— イヴァン・イリイチ(Ivan Illich)、思想家

荒川・村上論文が突きつけるのは、単なるワクチンの安全性問題ではない。死亡の大部分が接種後数ヶ月に集中するという知見は、現代の医療産業複合体に組み込まれた「不可視化の技術」の構造を暴露している。

時間的遅延は、因果関係の認識を構造的に不可能にする。接種直後に死亡すれば因果関係は疑われやすい。

だが3ヶ月後、7ヶ月後の死亡は「自然死」「寿命」「基礎疾患」に容易に帰属される。接種の波が年に複数回重なれば、高い死亡率は定常化し、異常は「日常」に溶け込む。

著者が指摘した「茹でガエル効果」は、個人の認知の限界ではなく、構造的な不可視化の帰結として読むべきだ。行政はデータを保有しながら分析を公表せず、未接種群との比較を可能にするデータ品質も維持されなかった。

接種後の死亡を見えなくする諸条件——時間的遅延、データの汚染、分析の不作為——が精確に組み合わさって初めて「茹でガエル」状態は成立する。

これらが偶発的な失策の集積であるという解釈は、あまりに好都合にすぎる。意図の証明は困難だが、被害の隠蔽という結果だけは、証明を待たずに現実として存在している。

だがこの論文は同時に、不可視化のシステムに亀裂を入れる実践の記録でもある。市民が情報公開請求という法的手段でデータを掘り起こし、専門研究者と協働して分析し、公開データベースとして誰もが検証可能な形で還元した。これは制度が「見せない」と決めたものを、制度の外側から可視化する行為だ。

389万人という推計が正確かどうかは、今後の検証に委ねられる。プレプリントとしての限界、未接種群との比較不能、全国推計の粗さ──これらは著者自身が率直に認めている。

だが、この研究が提起した問い、

  • 日本政府はなぜデータを持ちながら分析しなかったのか

  • 「安全で効果的」という言説はどのような証拠に基づいていたのか

  • そして累積的害の証拠が蓄積しつつある中で8回接種を推進した判断は何によって正当化されたのか

これらの問いは、数字の精度に関わらず、答えを求め続けるべきものである。

「正しい答え」を誰かに教えてもらう必要はない。ただ、問いを自分の手に取り戻すことだ。この論文のデータベースは公開されている。自分の自治体のデータを、自分の目で確かめることができる。数字は難しくない。見ようとするかどうか、それだけだ。鍋の中で茹でられていることに気づいた者だけが、そこから手を伸ばすことができる。

参考文献

※ 論文より転載

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