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「アルファベットモンスター図鑑」制作記 ~親子で「学び」を「遊び」に変える冒険~

※この作品は「創作大賞2026」への応募作品です。

「学びを楽しくする」をテーマのひとつとして創作をしています、アルファベットモンスターと申します。はじめての方は、よかったらこちらもご覧ください。

私は、子どもたちがアルファベットを楽しく習得できるように、小文字から大文字にパワーアップする「アルファベットモンスター」というキャラクターを創作してきました。この記事は、これまでnoteで連載してきた「アルファベットモンスター」についての記事を、一つの物語として「統合・再構成」し、大幅な加筆修正を行ったものです。

連載を読んでくださっていた方も、初めての方も、ぜひ一気読みでお楽しみください。


始まりは、お風呂での「打ち明け話」

私は普段、鉄の材料を扱う会社で、CAD図面を引いたり溶断オブジェのデザインをしたりといった「ものづくり」の仕事をしています。そんな私のもう一つの顔は、二人の子供を持つ父親です。

当時、小学2年生だった息子と一緒にお風呂に入っているとき、
「学校の英語の時間が好きじゃない。難しいから」
と、ぽつりと打ち明けられました。

理由を聞いてみると、アルファベットの大文字はわかるけれど小文字に馴染みがなく、D → d や G → g のように形が大きく変わる文字は、何という文字なのか想像がつかず、覚えることができていない。なので、書いてある単語の読み方もさっぱり想像がつかないから授業がつまらないのだといいます。

そこで、私はこんな話をしてみました。

「ポケモ◯だと、進化の前と後で姿があまり変わらないのもいれば、ぜんぜん違う姿になるのもいるじゃん? アルファベットの小文字と大文字も、そんな感じだよね。
じゃあさ、アルファベットも全部、オリジナルのモンスターにしちゃおうか

そんなやり取りをきっかけに、このプロジェクトは始まりました。

ちなみに、子どもに楽しくアルファベットを習得させるのが当初の目的だったので、もし「これだ」と思うアルファベットのキャラクターが世の中にすでにあったら、先にそれを子どもに紹介してあげたらいいな、と最初は思っていました。

調べてみると、もちろんアルファベットに目や口を付けただけのキャラクターは山ほど見つかりました。また、体のどこかにシンボルとしてアルファベットの文字を貼り付けたようなデザインも、多く見かけました。

でも、「小文字と大文字に関連性を持たせたそれぞれのデザイン」があって、しかも一目で「そのアルファベットだとわかるシルエット」を持った、「子どもにとって魅力的なキャラクター」は、少なくとも自分が調べた限りでは存在しないようでした。

自分たちで作ってみよう

よし、それならば自分たちで作ろうということを決めて、2024年、子供にもアイデアを出してもらいながら、スキマ時間を使ってアルファベットの大文字と小文字、合計52種類のキャラクターを順番に考え、楽しく描いていきました。コピー用紙に描いたラフスケッチのままの、落書きのようなものです。

この時点ではまだアルファベットをまだ覚えるには至りませんでしたが、息子はこの遊びを通して、少なくともアルファベットに対しての苦手意識がなくなり、すっかり親しみを感じるようになっていました。

一緒に作っていた中で特に思い出深いのが、「w」と「W」のモンスターです。これは息子のアイデアから生まれました。大文字と小文字で差別化するために、彼は自由な発想を発揮して、片方を双頭の鳥としてデザインしていました。親バカと言われるかもしれませんが、この造形を見たときは「天才か!」と衝撃を受けました(笑)

そのアイデアを採用して、大文字の「W」と小文字の「w」はこういう姿になりました。

「お父さん、これカッコいいね!」と息子と楽しみながらデザインを練った時間は、私たち親子にとって「創作の力で学びと遊びの垣根を壊す」という、楽しい挑戦でした。

子どものクラスへの、小さな広がり

そして、52体のスケッチが完成した日、子どもがそのラフを友達にも見せてあげたくて、うれしそうに学校に持っていきました。
すると、連絡帳を読んだ 担任の先生がまず面白がってくださり、そのままコピーしてクラスのみんなに配ってくれたそうです。

学校に持っていったラフスケッチ1
学校に持っていったラフスケッチ2

聞くと、友達みんなが、思った以上におもしろがってくれたとのこと。家の中で楽しんでいたものが、クラス全体に広がった最初のきっかけでした。

この頃には、息子も、そして作業に興味を持って見ていた当時保育園に通っていた娘も、キャラクター名とともにアルファベットをすっかり覚えていました。

「アルファベットモンスターがなかったら、
たぶんぼく、いまだにアルファベット覚えてなかったと思う。」

照れくさそうに、そう言ってくれた息子の顔は忘れられません。

「こんなに喜んでくれて、役に立ちそうなものなら、もう少ししっかりした形にしたい」と思い、私のほうでデザインを全面的に見直し、カラーで清書して、「アルファベットモンスター」の「一覧表」を作ることにしました。

デザインに込めた「遊び」と「学び」の仕掛け

子どもに楽しく学んでもらいたくて、もともとはその手段としての創作でしたが、iPadに向かいキャラクターを描いていくうちに、私自身が夢中になっていきました。

デザインにあたっては、子供たちが「楽しいキャラクター」としてアルファベットに親しめるよう、以下の3つのルールを大切にしました。

  1. アルファベットをただ貼り付けない

    • 文字が体に貼ってある、もしくは体の一部がそのアルファベットになっているというデザインではなく、できるだけキャラクター全体のシルエットがそのアルファベットに見えることを目指しました。

  2. 小文字と大文字をしっかり関係づける

    • 形が大きく異なる大文字と小文字でも、同じモチーフを使ったり、成長やパワーアップを感じさせるデザインにしたりすることで、同一の文字であることを直感的に繋げられるようにしました。

  3. バリエーションは豊富に

    • 特定のジャンルに偏らず、動物、幻獣、ロボット、食べ物など、多種多様なモチーフを採用しました。

    • 「次はどんなキャラクターなんだろう?」と、子供たちがワクワクしてページをめくりたくなる工夫を凝らしています。

一覧表の完成と、学校への広がり

こうして52体をデザインし直し、それを使って「アルファベットモンスター一覧表」を制作しました。

これを息子の担任の先生に見せたところ、子どもたちが楽しく学ぶのに役立ちそうだからと、息子の学年の全クラスの掲示板に貼っていただけることになったのです。

自分の描いたキャラクターたちが、多くの子どもたちの目に触れ、学習の助けになっている。その事実は、制作者として大きな自信になりました。

また、クラスの人数分、カラーで印刷したものを用意してお渡ししたところ、これもまた配っていただけて、その後、「英会話の先生に見せたら おもしろがっていたよ」と声をかけてくれた子や、お気に入りのキャラクターの技を勝手に考えてくれた子もいました。また、父兄の方々からも「すごいですね!」、「プロみたい!」など、お褒めのお声をいただく機会がありました。
思っていた以上に、たくさんの方に見てもらうことができて、私も息子もうれしかったです。

aからZまでの制作の軌跡

aからZまでのキャラクターの制作軌跡として、詳しいデザインノートはこちらにまとめてあります。

いくつかのキャラクターを簡単に紹介します。

アルファベットの最初の文字 a と A 。赤い魚としてデザインしました。かわいい aのキャラクターと、強そうな Aのキャラクターです。

蝶の幼虫と成虫をモチーフにしました。体の一部が金属部品になっている設定です。

穴掘りコンビの d と D です。
小文字と大文字のキャラクターをペアで覚えておけるので、「b」と「d」がそれぞれ「B」と「D」どちらの小文字なのか迷わなくなるのが強みです。

オタマジャクシとカエルをモチーフにしたキャラクターです。Gの輪郭を無理なくキャラクターに落とし込むために、アゴに鍵盤楽器を付けました。

動物の「キリン」と幻獣の「麒麟」のペアです。キャラクターの体型の違いをはっきり出すために、向きを左右逆に使ってデザインしています。

和風の幻獣コンビです。エスゾウは因幡の白兎、エスノカミは哺乳類系のドラゴンのような幻獣がモチーフです。

下のWのペアのライバル機としてデザインしました。ブイトーラのネーミングは垂直離陸機という意味の V VTOL(ブイトール)が由来です。

息子の原案は、最終的にこのようなデザインのキャラクターになりました。親子でお気に入りのキャラクターです。

Yは雪や氷を操る精霊熊のペアです。武士の幼名や力士の四股名のようなイメージの和風の名前をつけました。

最後の Z は男の子にウケそうな、竜のようなキャラクターです。つい大きなツノなどの装飾をしたくなりますが、できるだけ Z のシルエットを崩さないようにシンプルなデザインにしました。


アルファベットモンスター図鑑を作ろう!

キャラクターを一体ずつ作っている最中から、子どもたちは、「強そう!」「かわいい!」と素直に反応してくれる、いちばん近くで喜んでくれるファンで、その姿を見ているうちに思いました。

まだ無邪気に大喜びしてくれる今の年代のうちに、
ちゃんと手に取れる本の形にして渡したい。
そして、「お父さん、すごい!」と言ってもらいたい。

そこで私は次に、フォトブックサービス「TOLOT」を活用し、Canvaでレイアウトを組んで、B6サイズ・64ページの本格的な図鑑「アルファベットモンスター図鑑」を制作することにしました。

子どもの好奇心を加速する仕掛け

図鑑を作るにあたり、子どもたちがワクワクするようなプロフィールとともに、さらに子どもたちの知的好奇心も刺激できるような仕掛けも加えたくなりました。

アルファベットの形から始まり、やがて英語や他の言語へと興味が広がっていく、そんな構造を、自然に楽しめる図鑑にできたらと思い至り、「オリジンワード」という設定を考えました。

そのキャラクターの頭文字から始まる単語の力がいくつか重なると、そのキャラクターが生まれる、という設定です。つまり、そのキャラクターの「オリジン(起源)」となる「ワード(単語)」です。

後付けの決定なので、そのキャラクターの特徴やイメージを表すような単語を選んでいきました。

たとえば、a のエイギョというキャラクターは、

Aqua (アクア) = 水 (英語)
Agile (アジャイル) = すばやい (英語)
Auge (アウゲ) = 目 (ドイツ語)
Aka (あか) = 赤 (日本語)

という4つの単語の力が重なり合うと生まれます。

さらにそこに別の4つの「オリジンワード」が重なると、
小文字キャラクターは大文字キャラクターにパワーアップします。

Active (アクティブ) = 活発な (英語)
Advance (アドバンス) = 前進する (英語)
Arrow (アロウ) = 矢 (英語)
Abzu (アブズ) = 原初の海 (シュメール語)

という4つの単語の力が重なり合うと、エイギョは大文字キャラクターのエイッシュにパワーアップする、という具合です。

英語だけでなく、フランス語やドイツ語、日本語や、シュメール語なんていうのも取り上げました。

「シュメール語というのは紀元前3000年紀のメソポタミア南部で栄えたシュメール人が使用した人類最古の記録を持つ言語だ」なんて、知らなくてもいいです。たとえ今はよくわからなくても、「この世界にはまだ自分の知らない知識の海が広がっている」という予感だけは手渡しておきたいと考えました。その予感が、これから彼らが新しい扉を開いていくきっかけになり得るからです。

「こんな言葉があるんだなー」
「なんとなくかっこいいな」
まずはそんな風に受け取ってくれれば、好奇心の刺激としては十分です。

図鑑は、キャラクターの一覧であると同時に言語の世界の扉。オリジンワードは、未知の言語への入口。
そんなイメージを頭に置きながら製作していきました。

完成した図鑑

そしてこちらの図鑑が完成しました。
詳しい制作記はこちらです。


表紙


目次


各キャラクターの紹介ページです。これは前述のエイギョです。アルファベットにもふりがなをふりました。

小学2年生の娘がプロフィール文を読んで笑ってくれました。読み物としても楽しい図鑑になりました。

ユキノサトのオリジンワードにはフィンランド語も入っています。あと、日本語の「横綱(Yokozuna)」も。

ジィレックスのオリジンワードは英語とドイツ語。格好いい単語が並んでいます。

思い出深いWのペア。Wのダブリュートはオリジンワードに「Wind=風(英語)」という単語を選定しましたが、ライバル機のVのブイトーラのほうは同じ意味の単語で「Vent=風(フランス語)」を選定したのもこだわりです。

2024年あたりから、「アルファベットには決まった書き順は無い」と学習要領にはっきり書かれるようになったそうです。なので、書き順はあくまでも書きやすい例、ということなので、それも明記しました。

学級文庫に置いてもらったこと

完成した図鑑を子どもから学校の先生へお渡ししたところ、後日ご連絡をいただきました。
ラフの段階から見ていただいていたこともあってか、

「本屋に並んでいるもののようで、完成度に驚きを隠せません」
「お父様の、『子どもたちに楽しみながら学習を深めて欲しい』という気持ちが詰まった一冊になっており私もうれしいです。本当に完成おめでとうございます。」

といった温かい言葉をいただきました。この流れを知ってくださっている方からの反応というのが、またうれしく感じました。個人の創作が「学び」として認められる喜びを実感しました。

そしてなんと、1年生から3年生までの各クラスの学級文庫と、4年生の共同の本棚に、アルファベットモンスター図鑑を1冊ずつ置いていただけることになりました。

自分たちの作ったものが、ちゃんと、子どもたちのいる場所に届いたことを実感できました。

ちなみに今回ご縁をいただいた千葉県内の私立小学校は、実は、私自身の母校でもあり、今の校長先生は、弟が小学校5・6年生のときの担任の先生でした。

自分たちが通っていた学校に、今は子どもたちが通い、大人になった自分が創作したものがそこに届く。それをたくさんの子どもたちが楽しく読んでくれて、学びの役に立ててもらえる。

クリエイターとして、そして父親として、時代を超えてバトンを渡したような、不思議な誇らしさを感じた出来事でした。

身近な人たちが楽しく学べるように

最近、ウチの子どもたちが仲のよいお友だち何人かに
アルファベットモンスター図鑑はプレゼントしたところ、
おかげさまで大変好評のようです。

2年生の子のお母さんたちからは、
「先生からアルファベットを覚えておいて下さいと言われて焦りもあり、とても有り難い図鑑をいただけて幸せです。オリジンワードも私がハマりそうです。」とか、
「ポケモ◯好きな6年生のお兄ちゃんも “進化じゃん!“ と興味津々です。」など、
妻のところにいくつもお礼のメッセージが届いていて、こちらこそありがたいです。作者冥利に尽きます。

遊びの中の学びが、一番強く心に残る

子どもは、「勉強しなさい」と言われるよりも、「これ、おもしろい!」と感じられれば、知識を一気に吸収していきます。

大人が本気で「遊び心」を持って味付けすれば、「遊びと学びの境界線」を超えて子どもに届くものが作れるかもしれない。アルファベットモンスターは、そんな想いから生まれた創作でした。この記録が、同じようにどこかで新しいワクワクが生まれるきっかけになれば幸いです。

現在、私はこのアルファベットモンスターの一覧表を、世の中の子供たちが楽しく学べるよう、無料で公開しています。

アルファベットモンスター図鑑はBASEでオンラインストアを用意して、購入できるようにしてみました。

もうひとつの私の創作、「地方守護の八妖」とともに、学びを物語に変える旅は、まだ始まったばかり。これからも、子供たちと一緒に楽しみながら新しい形を綴っていこうと思います。

長文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

「子どもたちにとっての学びをワクワクするものにしたい」という想いに共感していただけましたら、スキやフォローで応援していただけると大変嬉しいです。

#創作大賞2026
#オールカテゴリ部門
#アルファベットモンスター
#地方守護の八妖

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