「地域の足を守る」ベテラン頼みだった“交番作成”をAIで支援 〜バス業界向け計画業務DXパッケージをなぜ開発したのか〜
ALGO ARTIS はこのほど、バス事業者向け交番作成支援パッケージの正式販売を開始しました。大阪で開催されている「バステクフォーラム2026」で初お披露目しました。
本パッケージは、バスの交番業務(運転手の勤務割)作成をAIで支援・自動化するものです。改善基準告示や労使協定、運転手ごとのスキル・休暇予定など複雑な条件を考慮しながら、効率的かつバランスの取れた交番作成を可能にします。
交番作成は、一見すると「勤務を割り当てる仕事」に見えるかもしれません。しかし実際には、多数の条件を同時に考慮しながら日々調整を行う、非常に難易度の高い業務です。
ALGO ARTIS では、これまで個社ごとのシステム開発を通じて、計画作成業務に関する知見やノウハウを蓄積してきました。一方で、バス業界では事業者や営業所ごとの運用ルールや独自の調整方法も多く、単純な共通化だけでは現場で使えるシステムにはなりません。
今回のパッケージは、さまざまなバス事業者との議論を重ねながら、複数の事業者で利用可能な汎用的システムとして開発したものです。従来の個別開発型と比較して、短期間・低コストでの導入が可能となりました。
今回は、なぜ ALGO ARTIS がこの領域に取り組んだのか、現場にどんな課題があり、どう解決するのかをご紹介していきます。
「勤務を割り当てるだけ」ではない交番作成業務
交番作成業務では、単純に勤務を割り当てれば良いわけではありません。
改善基準告示や労使協定への対応に加え、運転手ごとのスキルと仕業内容の整合、休暇予定や公休出勤可否、さらには働きやすさや個人の志向性まで、非常に多岐にわたる条件を同時に考慮しながら調整を行う必要があります。
しかも、それぞれの条件は時に競合します。
条件上は割り当て可能でも勤務時間の制約に抵触してしまう、ある変更を優先すると別の仕業・運転手の調整——そうした複雑な調整が日々発生しています。
さらに、こうした割当調整や変更対応には多大な時間を要します。現場では、乗務員経験のあるベテラン担当者に依存しやすく、引き継ぎや後継育成も難しくなりがちです。
人員不足がさらに業務を複雑化させる
近年は、運転手の高齢化や採用難に加え、法令遵守の厳格化も進んでいます。
多くのバス事業者で人員不足が慢性化しており、ローテーション勤務やわずかな公休出勤の調整だけではまかないきれず、既定の仕業を分割・結合することで、限られた人員数でなんとか運行を維持している現場もあります。
また、臨時便や貸切といった需要変動、休暇や病欠などによる供給変動を反映しながら、改善基準や労使協定への適合確認を行うには、多数の入力・確認作業が発生します。
手入力や目視確認による負荷も大きく、見落としや入力漏れなどのヒューマンエラーにつながる可能性もあります。
AIが支援するのは「現場で回る交番作成」
本パッケージでは、AIアルゴリズムが改善基準告示や労使協定、現場独自のルールに至るまで、複雑かつ多岐にわたる条件を同時に考慮しながら、バランスの取れた交番作成を支援します。
また、必要に応じてAIが仕業の分割・結合にも対応。限られた人員数の中でも、より現実的な運行計画を支援します。
さらに、営業所ごとの運用ルールや考慮条件についても、柔軟にカスタマイズ可能です。
「AIに任せきり」ではなく、人が調整できる設計
交番作成業務は、最終的には現場判断も重要になります。
そのため本パッケージでは、AIによる自動作成結果をそのまま出力するだけではなく、人手で調整しやすいUI設計も重視しました。
直感的で見やすい画面設計に加え、クリックやドラッグ&ドロップといった簡易な操作で調整可能。AIによる自動割当結果を確認しながら、必要に応じて人が柔軟に調整できます。
さらに、改善基準や労使協定への適合状況はシステムが随時チェック。アラート表示によって、見落としや確認漏れを防止します。

入力・確認作業の負荷を軽減
現場では、交番作成そのものだけでなく、入力や確認作業も大きな負荷となっています。
勤務管理システムなど既存システムとのデータ連携により、目視確認や手入力による作業負荷・入力ミスを抑制。また、勤務実績データを取り込むことで、より実態に即した法令チェックにも対応しました。
目指しているのは「現場に余白を作ること」
交番作成業務の大幅な時間短縮によって、省人化だけでなく、交番作成担当者が運転手とのコミュニケーションや運行管理業務に時間を割ける環境づくりを目指しています。
また、ベテラン担当者への依存軽減による属人化解消や、新規・若手担当者の育成負荷軽減、業務定着支援にもつなげていきます。
さらに、改善基準や労使協定への適合確認強化、コンプライアンス遵守状況の可視化など、持続可能な運行体制づくりへの貢献も目指しています。
交番作成業務は、地域の足を支えるバス運行を陰で支える重要な業務です。
一方で、その複雑さや負荷の高さから、長年ベテラン担当者の経験や努力に支えられてきた側面もあります。
ALGO ARTIS は、単に業務を“自動化”するだけではなく、現場で培われてきた知見を活かしながら、交番業務の高度化・効率化・属人化解消を支援していきたいと考えています。
今後も「計画」の領域から、持続可能な地域交通や社会インフラを支える現場に貢献していきます。

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