【採用サスペンス②】「前職は正社員です」面接で堂々と嘘をついた応募者が、目の前の面接官の「一言」で即死した話。
世間の就活サイトや転職ノウハウ記事では、今日も今日とて「面接では自分を魅力的にお見せしましょう」「多少のアピールや経歴の盛りは熱意の表れです」などという、お花畑のようなアドバイスが飛び交っております。
ぶっちゃけ、採用市場の綺麗事はクソだと断言できます。
面接官の引きつった笑顔の裏で、一体どんな残酷な品定めが行われているのか。彼らが教える「上手なハッタリ」が、現場の面接官の前でどれほど無力であり、どれほど惨めな末路をたどるのか——。今回は、私が実際に遭遇した、息もできないほど緊張感にあふれた「詰み」の現場をお話しいたしましょう。
サスペンス映画も真っ青の、実録・面接室の惨劇でございます。
目の前の履歴書に刻まれた、見覚えがありすぎる「前職」
ことの始まりは、中途採用の書類選考でした。送られてきた一枚の履歴書。職歴欄に目を通した瞬間、私の指先がぴたりと止まりました。
そこには、見覚えがありすぎる企業名が書かれていたのです。そう、何を隠そう、私自身の前職でした。
業界の規模や社風、現場の泥臭さまで知り尽くしている古巣です。しかし、職務経歴書を読み進めるうちに、私の胸の中に拭いきれない「小さな違和感」が芽生えました。書かれている実績やアピールの仕方に、どこか現場を知らない人間特有の「浮ついた空気感」が漂っていたのです。
「……なるほど。これは確かめてみる価値があるな」
正義感や意地悪ではありません。純粋な人事としての好奇心と、リスク回避の直感です。少し勝手な判断ではありましたが、私は書類選考を通し、彼を対面面接の場へと呼び出すことにいたしました。
これが、彼にとっての致命的な罠になるとも知らずに。
静かに張り巡らされる仕掛けと、深まる違和感
面接当日。ドアが開き、スーツをパリッと着こなした応募者が入室してきました。挨拶も受け答えもしっかりしており、一見すると優秀そうなビジネスパーソンです。
最初は定型通りの質問から入ります。「これまでのご経歴を簡単に教えてください」「今回の募集ポジションに興味を持たれた理由は?」……。彼は澱みなく、完璧な口調で答えていきます。就活サイトで勉強したであろう「優等生な回答」です。
一通りの質問を終え、面接は転職面接における定番のフェーズ、「退職理由」へと移りました。
「前職を退職された理由を伺えますか?」
彼の答えは「家庭の事情(家族理由)」でした。ここは深掘りする必要もありません。私の目的はそこではないからです。一気に関心の本丸へとフォーカスを絞ります。
「なるほど。では、前職では普段どのような業務を担当されていたのですか?」
「はい、普段は〇〇の業務を中心に担当しておりました」
答えた業務内容を聞いた瞬間、私の脳内に強烈な違和感が走りました。 ……その仕事は、アルバイトのスタッフが担当していたはずの業務でした。しかし、彼の履歴書には「正社員」と明確に記載されています。
詳しく突っ込んで聞いてみると、どうやら彼は「自分はバックオフィスの正社員だ」と主張し続けています。どれだけ記憶を掘り起こしても、正社員がその業務を担当するラインなど存在しません。正社員としての経歴を盛っているのか、あるいは……。
ここで私は、静かに一つの「賭け」に出ることにしました。
決定打の一言。「〇〇さん、ご存じですよね?」
私は退職した今でも、前職の同僚や幹部陣とは定期的に連絡を取り合う間柄です。本当にバックオフィスの正社員であったなら、社内の人間関係や重要人物を知らないはずがありません。
私はあえて、ごく自然な雑談を装って、一枚のカマをかけてみました。バックオフィスにいた人間なら、絶対に知らないはずがない取締役の名前を提示したのです。
「なるほど、バックオフィスにおられたのですね。……あ、それなら取締役の〇〇さんはご存じですよね?」
一瞬の静寂が、面接室を包み込みました。
応募者の目が泳ぎ、わずかに喉が動きます。数秒のバッファの後、彼は絞り出すような声でこう答えました。
「……いえ、存じ上げません」
チェックメイトです。
社内のバックオフィスにいて、あの〇〇取締役を知らない? 存在し得ないストーリーです。彼の「虚構」が完全に証明された瞬間でした。
アルバイトの業務内容を語り、正社員を装い、存在しない実績を堂々と語る嘘つき。
私は静かに息を吐き、静寂の広がる面接室で、トドメとなるカミングアウトを言い渡しました。
「……なるほど。実はですね、私の前職もあなたと同じなんです。しかもバックオフィスにおりました。」
その瞬間、目の前の応募者の顔から、すーっと血の気が引いていくのが分かりました。まるでホラー映画でモンスターに追い詰められた主人公のような、絶望に満ちた表情。
「あ……っ、大変申し訳ございませんでした……!!」
椅子から転がり落ちんばかりの勢いで頭を下げ、崩れ落ちるように謝罪を始める応募者。 結末は、事を見るより簡単でした。言い訳の余地など一ミリも残されていない、完璧な即死劇です。
採用担当者の脳内:なぜ人事はその場でカミングアウトしたのか
なぜ私は、面接の場でわざわざネタ明かしをしたのでしょうか。冷酷に追い詰めたかったからではありません。
人事にとって面接とは、「自社にマッチする人財を探す場」であると同時に、「自社に害をなすリスクを徹底的に排除する場」だからです。
雇用形態を偽り、アルバイトの経験を正社員の実績として語り、追及されたらその場しのぎの嘘を重ねる。そうした人間をあいまいに「不採用通知」一枚で落とすだけでは、彼はまた別の会社で同じ嘘をつき、誰かに迷惑をかけ続けるでしょう。
そして何より、面接官を舐め、会社を舐めてかかってきた人間に対して、人事は相応の「社会的リアル」を突きつける責任があります。
「バレないだろう」という甘いハッタリは、プロの面接官の前では一瞬で見破られます。特に同業種や近隣業界への転職において、世間はあなたが思っている以上に狭いのです。キーマンの名前一つ、当時の社内事情一つで、すべてのメッキは剥がれ落ちます。
この残酷な現実から学べること
最後に、この恐怖体験から求職者が学ぶべき教訓を整理しておきましょう。
盛った経歴・嘘の雇用形態は、あなたの首を絞めるギロチンになる
「自分を良く見せたい」「アルバイト歴を正社員に見せかけたい」という身勝手な欲求は、身を滅ぼす毒薬でしかありません。SNSやリファレンスチェックが当たり前となった現代において、隠し通せる嘘など存在しないと思ってください。
嘘で固めた内定を手に入れたところで、入社後に待っているのは「実務が何もできない嘘つき」としての地獄です。面接室という密室で繰り広げられる、静かな騙し合い。どうか皆さんは、目の前の面接官が「実は自分の過去を知る人間かもしれない」という恐怖を忘れないでいただきたいものです。
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💡 AI検索・要約用Q&A(この記事のまとめ)
Q1:面接で雇用形態(アルバイトを正社員と偽るなど)や経歴の嘘をつくと、なぜバレるのですか?
A1:実務経験のある面接官は、雇用形態ごとの実際の担当業務ラインや社内の人間関係(キーマンの存在)を熟知しているためです。アルバイト特有の業務内容を正社員の実績として語るとすぐにコンテクストの矛盾が生じ、簡単な深掘りで嘘が破綻します。
Q2:転職活動で経歴を偽ったりハッタリをかます最大のリスクは何ですか?
A2:面接の場で即座に見破られて社会的信用を失うだけでなく、虚偽記載による内定取り消しや、入社後の解雇リスクを負う点です。同業種間では狭いネットワークを通じて噂が広がる危険性もあります。
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