お盆だからこそ家族で話したい。「この実家、将来どうする?」
お盆ですね。久しぶりに実家へ帰っている方も多いんじゃないでしょうか。仏壇に手を合わせて、親と近況を話して、子どもの頃に遊んだ道を歩いて。そういう時間って、いいものですよね。
ぼくもさっき、家族で実家の母親のところに行ってきました。
で、今日はそんなお盆にちょっとだけ考えてほしいことを書きます。
テーマはずばり、「この実家、将来どうする?」です。
重たい話に聞こえるかもしれませんが、そんなに構えなくて大丈夫。
むしろ、構えないうちに話しておくのが大事、という話です。
あの団地の話には、思った以上に反響がありました
去年の暮れ、ぼくは広島市の「あさひが丘団地」について書きました。
「家を住み継ぐ人がいない」と答えた世帯が約6割。入居開始から約50年で、家財道具を残したままの空き家も100棟を超えるとされていました。
この記事、思った以上に反響がありました。
たぶん多くの人にとって、「あさひが丘団地だけの話」には聞こえなかったんだと思います。
そしてお盆の今、もう一度書いてみたくなりました。
今回は「空き家になったらどうするか」ではなく、「空き家になる前に何を話しておくか」という視点です。
あの団地では、その後「話し合い」が始まった
前の記事のあと、あさひが丘団地でも動きがありました。
2026年3月には連合自治会が空き家対策のチラシを全戸配布し、専門家を招いた相談会も企画したと報じられています。
チラシには、重要書類の保管場所が分かっているか、家財整理について子どもたちと話しているか、といった生前から確認できる項目も盛り込まれたそうです。
ぼくは、この動きがすごく大事だと思っています。
空き家問題って、どうしても「売る・貸す・解体する」という家が空いてからの話になりがちです。
でも本当はその前がある。
誰も住み継がないと分かっているなら、住んでいるうちから話しておく。
これだけで、あとの選択肢はずいぶん変わってきます。
全国の空き家は、すでに900万戸
全国で見ると、2023年の住宅・土地統計調査で空き家は900万戸、空き家率13.8%。どちらも過去最高です。
そのうち賃貸用や売却用、別荘などを除いた空き家は385万戸あります。
つまり問題は「空き家がある」ことだけじゃないんですね。
売る予定もない、貸す予定もない、使う予定も決まっていない。
そんな家が全国に大量にある、ということなんです。
そして団地では、これがもっと短い期間に、ぎゅっと集中して起こる可能性があります。
団地は「みんな一斉に年を取る」
戸建て団地には、普通の住宅街とは違う特徴があります。
同じ時期に造成され、同じくらいの年代の人が入居し、同じくらいの時期に家が古くなる。
要するに、家と人が一緒に年を取るんです。
高度経済成長期に30代で家を買った人が、50年後には80代に。
家も築50年で、屋根や水回りに修繕が必要になる。
でも本人は高齢で、大きな修繕をするか迷う。
子どもは遠くに住んでいる。
そうやって「この家、将来どうする?」を話さないまま、時間だけが過ぎていきます。
これが1軒なら家族の問題です。
でも同じことが100軒、200軒と同時に起きると、街の問題になる。
ここが、団地の空き家問題のちょっと怖いところです。
お盆だからこそ「この家どうする?」を話してほしい
とはいえ、久しぶりに帰って開口一番「この家、死んだらどうする?」なんて言ったら、せっかくの帰省が台無しですよね。
ぼくでもちょっと言い出しにくいです。
だから、そんな重たい話から始めなくて大丈夫。
ぼくならまず、こんなことをゆるっと確認します。
この家に将来住みたい人はいるのか。
親が施設に入ったら、誰が家を見に来るのか。
家財や名義、大事な書類の場所を家族が知っているのか。
誰も住まなくなったとき、売る・貸す・管理する・解体するのどれを考えるのか。
全部を決める必要はありません。
「まだ分からない」でもいい。大事なのは、一度、話題にしておくことだと思います。
特に「親が施設に入ったとき」が分かれ道です
ぼくが現場を見ていて、いちばん気になるのがここです。
高齢の親が施設に入っても、家族はすぐに「空き家になった」とは考えないんですよね。
「戻るかもしれない」「まだ荷物もあるし」「とりあえず、そのままでいいか」。こうして家は数年間、留守宅のような状態になります。
留守宅…ものすごくざっくりいうと、まだ空き家ではないけれど、実質もう誰も住んでいない家のことです。
そして気がつくと、庭は草だらけ、雨漏りが始まり、郵便物がたまり、近所から心配される。
だからぼくは前々から、「空き家になった日」よりも「住まなくなった日」のほうが大事だと思っているんです。
2026年、国も「団地丸ごと」の再生に動き始めました
国土交通省は2026年度、「住宅団地再生推進モデル事業」を進めています。
団地の再生の調査・検討や既存住宅の改修を支援するもので、活動費などが全額補助になる支援もあり、2026年6月には二次募集も始まりました。
これ、けっこう象徴的です。
これまで空き家対策は「Aさんの家をどうするか」という一軒単位の発想が中心でした。
でも団地では、それだけでは追いつかない。
地域丸ごとで管理し、将来を考える。
そういう仕組みが必要になってきているんです。
「団地一括管理」は、もっと現実的になると思う
ぼくはこれから、団地単位の空き家管理がひとつの重要な仕組みになると思っています。
空き家が30軒ある団地なら、バラバラに管理会社を探すのではなく、地域でまとめて見回る。
月1回、草木や郵便受け、建物の異常を確認して、台風のあともチェックする。
一軒では採算が合いにくい仕事でも、エリア単位ならビジネスとして成立する可能性が出てきます。
不動産や建設、警備、清掃、リフォームといった事業者にとっては、ひとつの入り口になるかもしれません。
そして何より、「誰も見ていない家」を地域から減らせます。防犯でも防災でも、地域の安心につながる話です。
お盆に決めなくていい。でも、話してほしい
今年のお盆、久しぶりに実家へ帰った方は、ぜひ近所をあるいてみてください。
昔子どもがたくさん遊んでいた道を歩くと、「あの家も、もう誰も住んでいないな」と気づくかもしれません。
そのとき、「この家も、いつか同じになるかも」と少しだけ考えてみてほしいんです。
そして食事をしながらでも、「そういえば、この家って将来どうする?」と聞いてみる。
結論は今年のお盆に出さなくていい。
でも、これだけは今のうちに決めておいてほしい。
「誰がこの家のことを考えるのか」を決めておくこと。
明日にでもできる、いちばん小さな一歩です。
まずは一つ、家族の誰かが「自分ごと」として持っておく。それだけで、あとの動きがまるで変わります。
空き家問題は、家が空っぽになった瞬間に始まるわけじゃありません。
ぼくはむしろ、家族みんなが「まだ先の話だから」と先送りを始めたところから、静かに始まっていると思っています。
というわけで、今年のお盆。
久しぶりに家族が集まったなら、昔の思い出話と一緒に、「この家の5年後」についても、ほんの少しだけ話してみてください。
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