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「住み継ぐ人がいない」が6割。築50年団地で今、本当に起きていること

今日は、全国のニュータウンや住宅団地で静かに進行している、大きな問題について書きたいと思います。
個人的にもいろんな思いがあるので、いつもより少し長くなりそうな気がしますができれば最後までお付き合いください。

広島市のあさひが丘団地で「住み継ぐ人がいない」世帯が6割近くに達したというニュースは、団地特有のそして全国のあらゆる団地で起こる問題です。
団地の高齢化問題は以前から注目してました。

「団地の空き家は放っておけばいい」という誤解

「ニュータウンや団地の空き家が増えるのはしょうがない、自然なことだ…」という声を聞きますね。

確かに、人口が減っている日本では空き家が増えるのは避けられない現実かもしれません。
でもぼくは、この考え方にはちょっと「待った」をかけたいんです。
なぜなら、団地の空き家には通常の空き家とは違う、独特の問題があるからです。

今回のあさひが丘団地では、家財をそのまま置いた空き家が100棟以上あるとみられています。
でも、ぼくが管理している空き家もこういった家財道具がそのままというケースが多いんです。

理由は、住んでいた人(両親)が施設などに入所したタイミングで空き家状態になったという事で、空き家というよりも、いずれ帰ってくるつもりの「留守宅」といった方がいい状態のものが多いです。

みなさん、入院や施設に入所するときには「そのうち元気になって帰ってくる…」という思いで家を空けます。
つまり、いつでも帰ってきてそのまま住める状態という事なんです。
両親が高齢のみなさんはこの気持ちわかると思います。

「同時期に建てられた」がもたらす特殊性

ところで、戸建て住宅が集まった団地と、バラバラに建っている住宅街、何が違うと思いますか?

答えは「一斉に老朽化する」という点です。

普通の住宅街なら、築10年の家もあれば、築30年の家もある。
新築もあれば、建て替えたばかりの家もある。

つまり、街全体に「時間の多様性」があるんです。
でも団地は違います。

同じ時期に一斉に建てられているから、劣化のタイミングも、住民の高齢化も、ほぼ同時に進んでいきます。

具体的に言うと、こんな感じです。

あさひが丘団地のように築50年を迎えると、どの家も屋根や外壁の修繕が必要になります。
水回りも限界に近づいています。
そして住民も、入居時に30代だった人が今80代になっている。
つまり、修繕にお金がかかる時期に、現役世代がほとんどいないという状況になるんです。

厳しいですよね。

しかも、一軒だけリフォームしても、周りが古いままだと街全体の印象は変わりません。
結果、「ここに投資する意味あるのかな…」という気持ちになってしまう。

「家財そのまま」が示す深刻さ

ここで注目したいのが、「家財を置いたまま」という部分です。

普通、家を売ったり貸したりするときは、家財を片付けますよね。
でもあさひが丘団地では、それすらされていない空き家が100棟以上あるかもしれないと言われています。

これ、何を意味しているか分かりますか?

おそらく、先ほどの続きはこういう状況なんです。

高齢の住民(両親)が入院後亡くなる。
相続人である子どもたちは遠方に住んでいて、団地に戻る予定はない。
かといって売るのも大変だし、家財の片付けには時間もお金もかかる。
結果、「とりあえず放置」という選択をしてしまう。

責めるつもりはありません。
ぼくも相続の現場をたくさん見てきましたが、遠方に住む相続人が高齢の親の家を片付けるのは、想像以上に大変な作業なんです。
体力的にも、精神的にも、経済的にも…。

とはいえ、この「とりあえず放置」が積み重なると、団地全体が沈んでいってしまいます。

「6割が住み継ぐ人いない」の意味

アンケートで明らかになった「住み継ぐ人がいない世帯が6割近く」という数字。

これ、すごく重い数字だと思うんです。

つまり、今住んでいる人の10人中6人が「この家を引き継ぐ人はいない」と答えているわけです。
いわゆる空き家予備軍が、もう目に見えている状態なんですね。
しかも、これは今の時点での話です。

今後10年、20年のスパンで考えたら、どうなるでしょうか。

想像したくない未来かもしれませんが、現実的に考えると、団地の大部分が空き家になる可能性すらあります。
そうなったら、もはや「住宅街」とは呼べない状態になってしまいますよね。

よく聞く「リノベーションで若者を」という提案の限界

「古い家をおしゃれにリノベーションして、若い世代を呼び込めばいい」

こういう提案、よく聞きませんか?
確かに、個別の成功例はあります。

そして個人的にはかなり空き家活用の可能性は大きいと思っています。
いろんな団地で古民家をリノベーションして、移住者が増えたという話も聞きます。

でもね、これがすべての団地に当てはまるかというと、正直難しいとぼくは思っています。

なぜかというと、一軒だけ頑張ってリノベーションしても、周りが古いままだと、街全体の魅力は上がらないからです。
若い人が「ここに住みたい」と思うのは、家そのものだけじゃなくて、街の雰囲気や将来性も含めてなんです。

それに、リノベーションには1戸あたり数百万円から1000万円以上かかることも珍しくありません。
それだけの投資をして、果たして買い手や借り手が来るのか?
特に地方の団地では、そもそも需要があるのか? という根本的な問題があります。

「みんなで一斉にリノベーションすれば?」という声もあるかもしれません。でも、現実問題として、高齢化した住民に、そんな余裕はないことが多いんです。

団地の空き家問題、本質は何か

ぼくが思う団地の空き家問題の本質は、「建物の老朽化」でも「立地の悪さ」でもありません。もっと根本的なところにあると考えています。

それは「住み継ぐ価値を感じられない」という点です。

考えてみてください。なぜ子どもたちは親の家を住み継がないのか? 単純に「古いから」「不便だから」だけでしょうか?
もちろんそれもあるでしょう。
でも、もっと大きいのは「そこに自分の未来が描けない」からじゃないでしょうか。

周りは高齢者ばかり。
空き家が増えていく一方。
街全体が静かに衰退している。

こんな環境で、自分の人生(仕事)を送りたいと思う人は少ないですよね。

つまり、問題は建物そのものじゃなくて、「そこで暮らすことの価値」なんです。

「一斉に」という特性を逆手に取る

ちょっと思いがあふれてしまいましたね。
とはいえ、です。

「一斉に建てられた」という団地の特性は、実は武器にもなり得るとぼくは思っています。

どういうことか説明します。

普通の住宅街だと、空き家対策をしようとしても、所有者がバラバラで、建物の状態もバラバラ。
だから対策も個別対応になって、活用だなんだといってもなかなか効率が上がりません。
でも団地は違います。
同じような時期に建てられて、同じような状態になっている。
所有者同士も顔見知りのことが多い。

つまり、「まとまって動きやすい」んです。

例えば、自治会が主体となって、空き家の一括管理を始めることができます。
100棟の空き家を個別に管理するのは大変ですが、まとめれば業者との交渉もしやすいし、コストも抑えられる可能性があります。
月1回の見回り、換気、郵便物のチェック。
こういった基本的な管理を、団地全体でシステム化するんです。
で、団地まるごとの活用や再生もあり得ると思うんです。

最初は完璧な解決策ではないかもしれません。
でも、何もしないよりは、ずっといいと思うんです。

行政との連携も視野に

もう一つ、現実的な選択肢として考えたいのが、行政との連携です。

多くの自治体が「空き家対策」に本腰を入れ始めています。
補助金を出してくれるところもありますし、相談窓口を設けているところもあります。
団地のような大規模な空き家問題については、自治会だけで抱え込まず、行政を巻き込んでいくことが重要だと思います。

あさひが丘団地の場合も、広島市がこの問題を認識しているはずです。
自治会から具体的な提案を持っていけば、何らかのサポートが得られる可能性は十分にあります。

例えば、空き家のデータベース化、管理費用の補助、解体費用の補助、活用プランの作成支援などなど。行政ができることは、思っているより多いんです。

ただ、行政は「動いてもらう」ものではなく「一緒に動く」ものだと考えた方がいいですね。
住民や自治会側から積極的にアプローチすることが大切です。

「団地の記憶」を次世代に

少し視点を変えて、考えてみたいことがあります。

高度経済成長期に建てられた団地は、当時の日本の希望の象徴でした。
ぼくもあこがれていた団地は、多くの家族が「マイホーム」の夢を叶えた場所です。

子どもたちが道路で遊び回り、お母さんたちが井戸端会議をして、お父さんたちが仕事から帰ってくる。そんな暮らしが、確かにそこにあったんです。

50年という時間が経って、建物は古くなりました。
住民も高齢化しました。
でも、そこに積み重ねられた時間と記憶は、とても大切なものです。

もちろん、全ての団地を残せるわけじゃありません。現実的に考えて、統廃合や再開発が必要なケースもあるでしょう。

でも、その前に「この団地をどう活かせるか」を考える時間を持ってほしいんです。少なくとも、放置して朽ちていくのを黙って見ているよりは、何か手を打てる可能性を探ってほしいんです。

というわけで

築50年の団地が迎える空き家問題について、長々と書いてきました。

答えは一つじゃありません。
あさひが丘団地には、あさひが丘団地なりの解決策があるはずです。
他の団地には、他の団地なりの道があるでしょう。

ただ、共通して言えるのは「放置は最悪の選択肢」ということです。

6割の世帯が「住み継ぐ人がいない」と答えた今、まさに分岐点に立っています。
ここから何もしなければ、団地は静かに朽ちていくでしょう。
でも、今から動き出せば、まだ未来を変えられる可能性があります。

この記事が、団地の空き家問題に向き合っている方々の、ちょっとしたヒントになれば嬉しいです。

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