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治療に「上下関係はない」|凄腕先生の治療哲学と「謎の言葉」

理学療法士歴 30年という
aさんの リハビリを拝見しながら


わたしは 3人の恩師を
思い出しています


おひとり目は
前回の記事で
不覚にも涙をにじませながら
綴らせていただきました

猛烈に頭の良い とても人間臭い先生から
「理解する」
こと
「エビデンスをどう利用するか」
について
教えていただいた 方でした


~~~

今回は おふたり目

亀尾徹先生です

サンフレッチェ広島のホームページより
お写真を拝借したのですが…

う~~~ん…

前々から 思っていたのですが
写真写りの あまりよくない
先生です 笑

実際にお会いすると
とてもダンディで
同性から見ても 魅力的な先生です

わたしが在学していた
新潟医療福祉大学で
教鞭をとられていた時は

スタイリッシュなお身体を
全身 黒で 纏う服装

が 主でした

真っ黒のスカイラインから
降りたつ姿は

とても理学療法士には
見えませんでした

ちょっと
「近寄ってはいけない職業」
の人にも
見えました (失礼 笑


・・・

理学療法学科の 先生

といっても

治療経験 技術 実績 が
優れているわけでは ありません

そもそも
「学術的な面」で
リハビリに 貢献しようとしている方が
ほとんでですから…


「リハビリができるようになる」
と 思って 入学しても

理論や 考え方 は 教えられても

実際の
生の
本物の
治療

について 聴く機会は
ほとんどありません


ほとんどの リハビリスタッフは
就職してから
現場に出てから
やっと 技術的な面を 向上させ始めるのです
(↑ 意外とご存じない方が 多いですね)


ですが

亀尾先生は
まったくの 異色
特別な 存在でした


新潟県 ローカルの話題であれば

かつて 整形分野のリハビリで有名だった
こばり病院

その リハビリ部門の黎明期に
亀尾先生は とても大きな貢献をされました

さいきんの 整形分野のリハビリで
実力があるとされる病院はどこなんでしょう?

ひょっとしたら 猫山宮尾病院 かもしれませんが
そちらにも 亀尾先生の 足跡をみることができます

・・・


亀尾先生と Jリーグは 密接な関係があります

アルビレックス新潟は
2003年に 初めてJ1に昇格します

そのときの中心選手に
山口素弘選手が いました

1997年 日韓戦の
ループシュート
が とても有名ですよね

アルビレックス新潟在籍当初
膝の怪我で
山口選手は苦しんでいたそうです

当時
アルビレックス新潟専属のセラピストだった
亀尾先生が
山口選手の膝を治療したそうです

その詳細を 講義で聞きましたが

おもしろかったなぁ~ 笑


一流のアスリートほど
なかなか 簡単に
初めて会うセラピストの治療を受けることに
同意しないものなのだそうです



山口選手も そうだったそうです
そんな 山口選手を

「おまえ 東海大だろ?
 俺もだ
 つまり
 お前 後輩!
 おれ 先輩!」


なぞの 理屈を用いて

無理矢理 強引に
円満な了承を得て
治療したそうです 笑


当然 効果があり
山口選手は その実力を遺憾なく発揮し
アルビレックス新潟の
躍進に 貢献したのだそうです

先生は
最近までサンフレッチェ広島で
活躍されていました

~~~

エピソードが 多すぎて
きりがないので ここまでにしますね 笑

新潟医療福祉大学 在籍時のわたしは
年齢 30歳台

「おう おやじ!」

と よく亀尾先生に
よんでいただきました


当時先生は
新潟医療福祉大学に 就任したばかり

「…残念ながら 暇 です 笑」

と 甘く低いその声で
よく言っておられました 笑


「…自由 参加です
 …参加 自由です」

と 講義後の夕方
自由参加の 勉強会を ひらいてくださいました

いま 考えれば
とんでもなく 贅沢な時間 でした


ちなみに 先生は 発言する一瞬前に
不思議な 間
が あります

「…亀尾です」

という 感じです 笑


・・・


自由参加の勉強会
のはなしでした


とうぜん わたしは
すべて 参加しました


「…肩関節を 他動で動かしつつ
 評価するには…
 おやじ からだ貸して」


と わたしの からだを モデルに
左の肩を 先生に 大きく動かしてもらったことがあります

その 感覚

今でも 覚えています

実は 肩関節とは 微妙ですが
複雑 な動きをします

先生の 動かし方は

その 複雑な軌跡に のっとり
無駄がなく
自然で
最後の最終可動域で
適切に止めるまでの アプローチが

すべて 的確でした

気持ちいいのです 笑

なんども 動かされているうちに

なんと わたしは
眠ってしまいました 笑


「おい! おやじ!
 なんで寝てんだ!
 からだは かりたが
 意識までは かりとらん!笑」

はははは
おどろくやら はずかしいやら 

でも

「あ~ こういう 先生に
 治療をしてもらいたい」

と 思いましたね

「自分の 身体が 信頼する」

とは こういうことなのだと
思いました


~~~


その 勉強会に

先生は いちど
とても
不機嫌
な様子で
来られたことがあります

ご本人は 隠しているようでしたが
その感情は

ダダ洩れ

でした 笑


友人が それを 指摘しましたら

「…わかるか?

 …いやぁ まぁ なんとういうか…

 …昨日まで 埼玉で実技講習頼まれたんで
 行ってきたんだが…

 臨床5年目くらいなのに

 小円筋
 も さわ(触)れないやつ
 ばっかりでさ

 こんなやつらが
 学生の実習で
 指導しているんか!と

 こんなやつらが
 学生の実習で
 偉そうにしてるんか!と


 …そう 思ってしまった

 …と いうことです… ははは」

と 苦笑されたことがあります


わたしたち 学生には
とても とても
優しい先生でしたが

臨床の現場で働くものたちには
とくに
その謙虚でない態度を持つものに

たいへん厳しい
たいへん恐ろしい
先生

でも ありました


わたしは
そんな 先生の姿に
あこがれました

いまでもです 笑


~~~


Jリーガーの ある選手の方が

はるばる
先生をたずねてくることが
ありました

先生のリハビリを
受けにきたのだそうです


先生も そんな 選手を
あたたかく 迎え
リハビリをし

「これ 講義のネタにするからな」

と ちゃっかり
その様子を
講義してくださったことがあります


わたしたちに
その貴重な治療場面の 動画をみせながら

「彼の 問題点を
 それぞれのグループで考えて
 発表するように」

と かなり 実践的な課題を
出されたことがあります


その 選手の動作を
動画で見ながら
可能性があると思われる 問題点を
たくさん 出し合いました


先生は 満足そうでしたが


「じつは 彼の問題は
 君たちが出してくれた 身体の問題
 よりも

 もっと 重要なもの

 がある
 わかるかな?」


と 問われました


講義室は 一瞬 静かになりました

誰も 答えません


『ひょっとしたら…?』

と 思ったわたしは
思い切って 発言しました

「亀尾先生に

 依存的

 ではありませんか?」



先生は

にやり

と その特徴的な歯を見せながら
笑われ


「… おやじ やるな
 そうだ…」

と 答えられ
その理由を 解説していただきました


・・・


先生は

リハビリを提供する人
リハビリを受ける人

という 上下関係があると

「治療は決してうまくいかない」

と 言われました


まして

「このリハビリの先生がいなければ
 自分の体は 良くならない」

という 患者さんの依存的な心理を
患者さんにそう思わせた セラピストの態度を
バッサリ 否定されます



「治療とは
 お互いが 協力し合って
 最善の結果を 希求するものだ」


と 言われます


「セラピストとして やれることは必死にやる
 技術的にも
 知識においても
 プロなんだから

 君たちが プロじゃないって思っていても
 患者は 君たちをプロとしてみる 期待する

 だから 努力するのはあたりまえだ


 ただ それは 必ず
 限界
 がある

 限界 とは
 職域 という 意味でだ

 どんなにがんばっても
 理学療法士としてやれることには
 限界 がある

 だから ドクター ナース
 その他専門職
 彼らと お互いに 協力して
 よりよい 結果を 希求する


 専門職の
 誰が
 上 とか 下 とか
 ではない


 患者が中心
 には 違いないが

 だからといって

 患者が 上

 というわけでもない


 みな 同じ立場で
 協調しなければならない」


と 言われました

これだけの 治療技術をもつ

いわゆる 凄腕セラピスト
である先生ですが

決して 独善的 傲慢にならず

謙虚で 真摯な姿勢を 崩さない

その姿は

いまのわたしにとっても


憧れ であり

目標 でも あります 


~~~


さらに 先生は

「メタ認知」

の 重要性も 指導してくださいました


「『自分が 治療している』
 という 意識が
 過剰だと

 どうしても
 自分の得意な分野で
 治療しようとしてしまう

 筋・筋膜が 好きなら
 痛みの原因は それで考える
 治療方法も それになる

 骨が好きなら
 原因は 骨だろうと考える
 で 骨をいじるわけだ

 それが 運良く 当たっていれば
 良い結果にはなるだろうが
 それは ギャンブルでしかない

 そうならない リスクを
 想定できない


 このように…

 今の 自分の思考は どうか?

 俯瞰
 した目で
 治療をしている自分を
 見る

 治療中も その視点を
 持ち続けることが
 大切なんだ」


・・・


すこし 文章が 冗長になっていますが
大切なことなので もう少し
綴らせてください


先生は さらに

「Hands off」

という ことばも
 よく使われていました


「最善の 治療は
 セラピストが
 触れずに 治すことだ

 患者が 自分で
 自分の体を
 メンテナンス できる

 最初は われわれ 治療家は
 手で介入する
 必要であるからだ

 Hands on

 するんだ


 だが 徐々に
 最小限の介入
 となるようにしていく

 Hands off

 していくんだ


 最終的に 患者ひとりで
 自分を 治療ができる

 それを目指す」


そして さらに
問診の重要性にも 触れられました

「…ただ

 Hand off

 するためには

 その患者の
 その痛みを生じるに至った
 原因を
 経過を

 徹底的に 知り
 医学的専門知識で
 検証する必要がある

 だから
 問診が
 患者の語る言葉が
 とても 重要になるんだ」


こんな 感じです


すごい 内容ですよね


いまのわたしは
たぶん 概ね理解できている
と思います


もちろん
「実践できています!」

いえるレベルでは ありませんが


先生は それを

まだ臨床経験のない
わたしたち 学生たちに

語ってくださいました


先生は そのとき
どんな お気持ちだったのでしょう?


臨床家 治療家としての

実践的な言葉を

なんども なんども

聞かせてくださいました


なんども なんども

あつく 語ってくださいました


「いつか わかってほしい」

「いつも 大事にしてほしい」

そう 思っておられたのかも
しれません…


わたしたちの
理学療法士 としての
より良い成長を

心の底から 願っておられた


いま わたしは そう 感じています


ひょっとしたら

指導するご自分と
わたしたち学生との

関係でさえ

上 下

で とらえていなかった
のかもしれません…


やっぱり すごい
治療家 であり
指導者 でもあります

~~~


そろそろ お話を
終わりにしたいのですが

そういえば

まだ 先生の言葉で

未だ 理解できていないもの
があるんです


治療中の先生の考えを 聞いていた時です

まるで シャーロックホームズのように
問題点を 推理する その思考に

舌を巻いていました


そして 思わず 聞いてしまいました

「手を動かし
 眼で観察しながら
 頭で そこまで 考えるなんて
 とっても できそうにありません!」

と…

先生は

にやり

と わらい


こんなことを おっしゃいました

「…サイエンス
 って 考えるから そうなる

 …治療は

 アート

 なんだよ おやじ 笑」


・・・

これは いまでも

深く 心に残る
大切な

の お言葉です


治療の方法は
ずいぶん 先生とは異なる世界に
おりますが


完全に 異なるとも
思えません

いつか 理解できるよう

修行を続けたいと思います

いや ほんとうに
すごい 先生です
亀尾先生は

感謝いたします

・・・

ここまで
この長文にお付き合いいただき

ありがとうございました

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