好きなミュージカル:その3
好きなミュージカルをジャンルごとに選んでいこうという試み、その3です。
私の好きな、‘’生きる希望の物語”
第1位 ノートルダムの鐘🔔
第2位 レ・ミゼラブル🇫🇷
第3位 ゴースト&レディ🕯️
※1位の理由を綴りますが、ネタバレがありますのでご注意ください。
【前置き】
舞台版のノートルダムの鐘は、救いがない。暗い。
だから観に行くときは注意したほうがいいよ、という話をよく目にするのです。
確かに、アニメ版のように、みんながカジモドを迎えてくれてハッピーエンドにはなりません。
物語の結末の暗さにフォーカスされがち。
でも私は、ノートルダムの鐘という作品の核は間違いなく、希望だと思っています。
舞台版とアニメ版の違いとしては、大きく2つあります。
①カジモドの出自
原作・アニメ版では、カジモドはフロローに拾われますが、舞台版はカジモドの出自がちょっと違います。
フロローの弟、ジェアン(原作でも弟は登場します)とジプシーの子ども、という設定。
フロローと血縁関係があるということになりますね。
②結末
原作に寄せた重みがあり、ディズニーアニメーションならではの大団円のハッピーエンド、とはなりません。
暗い、重い、救いがない、と言われるのはこの結末がゆえんでしょう。
確かに、ハッピーエンドしか受けつけられない人は、やめておいたほうがいいかもしれないけれど…。
それを言うと、何をもってハッピーエンドというのだろうか、と考え込んでしまいます。
【好きなところ】
1.ノートルダムの鐘
タイトルそのままですが、ノートルダム大聖堂の美しさがこの作品の象徴なのです。
この作品、緞帳がありません。
劇場に足を踏み入れると、舞台の奥の美しいノートルダム大聖堂のステンドグラスが迎えてくれます。
清らかな光に満たされる感覚。
私はキリスト教徒ではなく、そのほか特定の宗教を信仰はしていません。
葬式仏教に、旅行がてらの神社参拝という、よくいる日本人。
それでも、この神々しい美しさには敬意の気持ちが湧きます。
そして、カジモドが鳴らす大きな鐘たち。
彼らは鐘つき堂で暮らすカジモドの友人でもあり、この作品に欠かせない存在です。
2.カジモド
私はフランス文学に出てくる、醜くさから世間と隔絶されていて、心を閉ざして一部歪んでいる、だけど美しい感性も持ち合わせている、そんな男性が好きなんです。
例えば、オペラ座の怪人のファントム、シラノ・ド・ベルジュラック、美女と野獣のビーストとか。
って書くと、この人大丈夫…?と心配されそうなんですが。
恋愛的な意味で好きということではないので、大丈夫です、たぶん。笑
人間やっぱり美醜を気にしたり、内側の部分でも人と違うのかな、悩むことってあるじゃないですか。
私自身、ポジティブなタイプではなく、表に出さないまでも、内側でものすごく悩んでしまったり、一人反省会をしたりする、どちらかというとネガティブなタイプで。
孤独に内側にこもる感じに、すごく共感してしまうのです。
大人になるにつれて自分は自分、気にしない、というマインドは得られてきましたが、それでも根っこは結構似ているなと思っています。
すぐ閉じこもっちゃうんですよね、カタツムリなんです。
3.音楽
アニメーション映画を観たことがある方はご存知でしょう、あのオープニング曲「ノートルダムの鐘」の荘厳な鐘の音と歌声の響き。
舞台は、プリンシパル(役名がある、主要人物たち)、アンサンブル(複数の役を演じる、舞台に欠かせない人たち)で構成されるのですが、この作品では、“クワイヤ”と呼ばれる聖歌隊が登場します。
「オーリム」から「ノートルダムの鐘」まで、本当に歌声に圧倒されて。
あのアニメ版の歌唱よりも重厚に、爆音で生の歌で聞けるのですよ?
正直、ここまででもうチケット代はもとが取れる。
【おすすめポイント】
美しいものと醜いもの、崇高なものと歪なもの。
人間と怪物、どこに違いがあって、それはどうやって決まるのか、誰が、どんな基準で決めるのか?
そんな問いかけがあり、考えさせられる作品になっています。
自分の正しさを常に疑いながら、苦しみながらも正しい方へ進まなくてはならない、そんなふうに思い直させてくれます。
ノートルダムの鐘は、希望を失わないための物語。
光があれば闇があるし、善があれば悪があって、それらはともに存在するもので。
世間が、人が残酷に見えても、暗い状況で闇が広がっているように感じても、光を求めて生きるしかない。
生きている限り、人は希望を、奇跡を、明るい光を求めて生きなくてはならない。
その象徴が、ノートルダム大聖堂の美しい光と、鳴り響く鐘の音。
宗教を持たなくても、人は厳しい状況のなかで、希望を求めて祈るんですよね。
【泣きどころ】
これは「サムデイ」のシーン。
この曲、アニメだとエンドロールに流れる曲なのですが、それを劇中に持ってきています。
エスメラルダがフィーバスと共に捕えられ、翌日火あぶりにされる、その前夜。
死を前にして、震えるほどの恐怖で、苦しいはず。
それでも“いつか”と願い、祈りを込めてエスメラルダが歌うこの歌もまた、希望の光だと思います。
【好きな曲】
陽ざしの中へ、タンバリンのリズム、世界の頂上で
【好きな登場人物】
エスメラルダ。
肉屋さんだけではなく、あの、全員あなたに惚れます。
「タンバリンのリズム」のシーンを観ればわかる、普通に惚れる。
エスメラルダのもつ、他者への眼差し、外的要素に関わりなく向ける優しさ、見返りを求めない祈りの心、人を人として大切にする、そんな価値感が、彼女の美しさだと思うのです。
【まとめ】
「フィナーレ」の曲中で、カジモドに助けられてノートルダムに運ばれたエスメラルダは息を引き取る。
その直前にカジモドに歌いかけます。
“ここに戻れたのね なんて美しい朝なの あなたも美しいわ 世界の頂上で”
「世界の頂上で」のメロディーに乗せたエスメラルダからのこの言葉で、カジモドの魂は救われたと私は思っていて。
自分は醜いものとして生きてきた。
だからエスメラルダの愛も得られなかった。
孤独に生きようと思った。
でも最後にエスメラルダに、“あなたも美しい”、“あなたは本当に素敵な友達よ、カジモド”と言ってもらえて、カジモドは初めて自分を肯定してあげられたのだと思います。
結末としては、エスメラルダは死んで、地下室からカジモドと白骨で見つかる、というもの。
でも、私にはこれがバッドエンドだとは思えないのです。
エスメラルダは、いつか世界が変わると信じて、祈りの中で死んでいった。
カジモドは、自分のことを救ってくれたエスメラルダに静かに寄り添って死んでいった。
ふたつの魂は救われた、それは決して悲しいだけの、最悪の結末ではないはず。
フィナーレでは「サムデイ」のリプライズも歌われます。
人がみんな平等に暮らせるように、世界が変わるようにという、人間の目指すべき未来への希望と祈りが私たち一人一人に託されていて。
それは長い人間の営みの中で、普遍の祈りなのだと思い知らされます。
ラストは本当に滝のように涙が…。
これは私がここで言葉にしても絶対に伝わらない。
劇場で観て、ぜひこの物語から何かを感じ取って、胸に響かせてほしいです。
高らかに美しく鳴り響く鐘の音に、生きる希望をもらえる作品です。
【余談】
宗教や歴史的背景も関係する物語なのですが、原作を四苦八苦しながら読んだのははるか昔。
そしてフランスの歴史や文学に特段詳しいわけでもないので割愛します。
私、このノートルダムの初演が決まったことがきっかけで、劇団四季の会員“四季の会”に入会したのです。
そのくらい、大好きな作品です。
なんと、2026年7月から2027年2月まで、大阪四季劇場で再演が決まりました🔔
本当に嬉しい😭✨✨✨
みなさま、ぜひ大阪へ!
