競争の習慣が共創を阻む ~シナジー実現の壁を越えるには~
この記事は「ナッジで身につく7つの習慣」シリーズ、第6の習慣「シナジーを創り出す」編のスピンオフです。
「AかBか」「勝つか負けるか」そういう発想しか出来ない実力者(競争の世界の勝者)がいると、せっかく生み出したシナジー案も実を結びません。
いろんな場面で出現しそうなこの壁、どうやって越えましょうか。
■部長の壁 「で、結局どっちの案にするんだ?」
A案とB案、真っ向から対立していた2つの提案を、
みんなで知恵を絞って、意見をぶつけ合って、ようやく創り出した“C案”。
それは、ただの妥協案ではない。
AとBの“いいとこ取り”でもない。
ましてや、多数決の産物でもない。
けれど、部長は今回も言ったのだ。
「で、結局どっちを採用するの?」
——デジャヴとは、きっとこういうことだ。
■ ホワイトボードの前に、我ら立つ
前回は、ここで挫けてしまった。でもさすがに今回は想定済み。
事前の作戦会議もばっちりだ。
ミカ「部長、これ、いわば“第3の案”なんです」
部長「ん?中間ってこと?」
ナオト「中間じゃなくて、“化学反応”です」
部長「……なんだ、爆発でもすんのか?」
ここで、ワタシはホワイトボードにこう書いた。
酢+重曹 = シュワシュワッ
ワタシ「たとえば、酢と重曹を混ぜると泡が出ますよね?」
部長「うん、理科の授業でやったな。火山の模型かなんかで」
ワタシ「そう、あれって酢でも重曹でもない“別のモノ”ができてるんです。
それと同じで、A案とB案がぶつかることで、C案という“まったく新しい解決策”が生まれました。
だから今回は、“どれを選ぶか”じゃなくて、“新しく生んだものを活かすかどうか”なんです」
■ 部長、泡立つ理解
部長「……つまり、この案はAでもBでもない、
“泡”ってことか?」
ミカ「……泡っていうと軽いですけど、まあ……そうです!」
ナオト「イメージは“爆発じゃない方の反応”です」
部長は、腕を組んで、うんうんとうなずいた。
「なるほどな。つまり、今回は“A銘柄とB銘柄のビールを比べてるんじゃなくて、それらをブレンドして、想像以上にうまいクラフトビールが生まれた”ってことか。
よし、じゃあこのC案、採用してみよう。ビールも会議も泡が立ってこそってことだな」
メンバー全員、心の中でガッツポーズ。
■ そして私は思った
人は誰でも、自身の経験や価値観に合った“フレーム”でしか物事を捉えられない。
でも、相手の世界に寄り添って、ちゃんと説明すれば、理解は泡のように——
いえ、しっかりと反応して生まれるのだ。
ちなみに次の会議、部長が開口一番こう言った。
「今日は泡、出るかな?」
……この人なりに、気に入ったらしい。
泡:今年の社内流行語大賞の、最有力候補が誕生した。
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