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1996 / DESTINY 5

1996 / DESTINY 5

「ねえ、どこに行く?」
僕は深雪さんに言った

「ドライブしよっか?」
と、彼女は微笑みながら言った

「うん、いいね!」
と僕は答えた、彼女にもらったコーヒーをまた一口飲んで
僕は車のエンジンを掛けた 。
そしてジムニーは深雪さんを横に乗せて走り出した。

「どこに行こうかな。。」
僕は車を走らせながらつぶやいた、日はすでに暮れている。

「海の方に行きたいかな。。あ、そうだ湘南平に行ったことある?」
と彼女は聞いた

「ううん、ないよ。平塚の方だよね?恥ずかしながら行った事ないや」

「そうなんだ、こんど彼女連れて行ってあげなよ、
すごい夜景が綺麗なんだよ」
と深雪さんは笑いながら言った。

「う、うん。。」

僕は少し心が痛みながらも、顔には出さないようにして運転を続けた。
そしてお互いに近況?のようなものを話しながら
どうでもいいような会話をした、
そのどうでもいい話がなぜか心地よかった。

カーステレオから流れるFM横浜からは松任谷由美の
「Destiny」が流れてきた。

「なんか、これいい歌だよね~」
と僕は車を走らせながら言った

「うん、なんか泣きそうになるね、
Destinyって運命って意味なんだよね」
と彼女は言った

「運命って何気に決まってるのかな。。」
僕はポツリとつぶやいた

彼女は聞こえていたらしく、
「どうだろうね、寿命ってとこに関しては、ひょっとしたら
決まってるかもしれないよね、でも人生そのものは
自分で変えられると思うんだけど。」

そうこうしてるうちに車は湘南平の麓まで来た

テレビ塔が建っている頂上の駐車場まで上り、車を置いて
僕達はテレビ塔まで歩いた。

テレビ塔を登るとそこに見えるのは夜景の海だった・・・

あまりの夜景の素晴らしさに僕は圧倒され、
自分という人間の小ささを再確認した。

他のカップル達と同じように
僕らもカップルに見えるに違いない 。。
でも、微妙な距離感はどうしてもぬぐえない


金網には、カップル達が自分達の相合傘を書いた
南京錠が何百個とつけられていて、それは湘南平の名物でもあるらしい。

「どう?ほんと綺麗でしょ?」
深雪さんが言った

「うん、こんなに凄いとは思わなかった」

「よかった、喜んでくれて」
と深雪さんは笑った。

僕はその笑顔を見てまた胸がキュンとなった
はたからみると、他のカップル達と同じように
僕らもカップルに見えるに違いない 。。
でも、微妙な距離感はどうしてもぬぐえない、
それはそれでしょうがないことだ、
僕は素直に嬉しかった、また会えた事と

こうして一緒に夜景を見てることが・・・

しばらく夜景を堪能したあと僕達は車に戻り海岸線を車で走らせた、
茅ヶ崎のあたりで、車を止め浜辺のほうに歩いた。

海は静かだった。
歩いてるうちに僕達の手は擦れ合い
いつの間にか手を自然につないだ。

そして海辺で二人で腰掛けた

無言の時間が過ぎた・・・

彼女は砂を掴んでサラサラと落としている、
僕はそれを黙ってじっと見ていた

重い空気を押しのけるように彼女は言った
「ねえ、今日はどうして来たの?」

「いや、暇だったんで、なんとなくブラブラとさ。。」
僕は答えにならない感じで答えた

「フーン、そうなんだ~」
彼女は意地悪そうに言った

「い、いや。実は行けば会えるかなと思って、それで
行ったんだ。。うん、会いたかったんです」

僕は顔を赤くしながら答えた

「ありがとう、私も会いたかったよ」
と彼女は言い僕に顔を近づけた、それを僕は自然に受け入れた。
長いキスだった。。。

これはDestinyなのだろうか・・・

夜の波の静かな音は僕達を静かに包んだ

つづく

あの夜の海は静かだった。
月明かりと波の音。
そして、
許されないキス。
それでも
あれは確かに
Destinyだった気がする。


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