AI時代にライターはどう生きる?取材ライターとして考えた「AIに書けない文章」
おはようございます。
最近は自分の考え方を整理するためにもnoteの更新頻度を上げています。
最近、XやYouTubeなどでもよく話題になっているのが、「AIにライターの仕事が奪われるのではないか」という話ですよね。
「もう奪われています」「ライターを廃業しました」という声もあり、AIは私たちの仕事を便利にしてくれる存在である一方で、こうした変化のなかで色々な問題や混乱も起きているのだなと感じることがあります。
ただ、ライターの仕事がすべてAIに置き換わるかというと、それは少し無理があるのではないかな、と思っているのが正直なところです。これは希望的観測というよりも、これまでの自分の経験から、そう感じる場面が多いからです。
そこで、いまの「ライター」という仕事について、少し考えてみたいと思います。
そもそもライターって何?
いきなりざっくりとしたタイトルですが、そもそも「ライター」とは何なのでしょうか。
私は、かなり昔に雑誌編集者としてこの世界に入りました。その頃は媒体のほとんどが紙で、いまのようにWEBメディアがここまで発達していたわけではありませんでした。
ブロガーさんのような存在はいらっしゃいましたが、「ライター」とは少し違う位置づけだったように思います。
私のなかで「ライターさん」といえば、取材に行き、一次情報を取ってくる人たちのことでした。(当時は「一次情報」という言葉も、そこまで一般的ではありませんでしたが)
そして、ライターの仕事は「書くこと」だけではありません。実際には、さまざまな工程を担う仕事でもありました。
ネタのリサーチ
アポイント取り
取材
執筆
先方校正
(これらは編集者が担当する場合もあります)
編集者が立てた企画に共感してくださり、その企画の趣旨に沿って文章を書いてくださる、頼もしいパートナー。私にとってライターとは、そんな存在でした。
以下は、昔書いた記事なのですが、ここで書いたことは今でもほとんど変わっていません。
私は会社員時代、ずっとディレクターとして仕事をしていました。ただ、もともと文章を書くことが好きすぎて、いまはライターの仕事をメインにしています。
人が考えた企画に沿って、人の予定を調整し、人に会って記事を書き、人に確認をしてもらう。
私のなかでは、これがライターの仕事でした。だからこそ「AIがライターの仕事を奪う」と聞いても、あまりピンと来なかったんですよね。
SEO記事について
フリーランスになったとき、いろいろなお仕事にチャレンジしてみようと思い、SEOの記事を書くお仕事をいただいたこともありました。ただ、これは本当に向き不向きがあると思うのですが、私にはまったく向いていなかったんです。
編集者の頃もリサーチはたくさんしていました。ただ、それはあくまで「企画を立ち上げるためのリサーチ」でした。仮説を立て、その仮説に合うかどうかのデータを探したり、電話をしてさまざまなところから情報を集めたり。そうやって企画を組み立てていく作業です。
一方で、SEOライティングのリサーチは、正確なファクトを積み重ねていくもの。私がそれまでやってきたリサーチとは、少し性質が違っていました。
もともと細かい作業が得意ではないこともあり、人の何倍も時間がかかってしまって。「SEOライターさんってすごいな」と、本気で感心していました。そのため、いまはSEOのお仕事は受けていません。
そして、このときに初めて「ライターといっても、いまは本当にいろいろな仕事があるんだな」と感じました。
AIの影響を受けにくいライティングとは?
さて、冒頭の話に戻りますが、最近よく目にするのが「AIに仕事を奪われた」という話題です。
ただ、今のところ私はAIの影響をあまり受けていないように感じています。だからこそ思うのですが、やはりAIが得意なライティングと、そうではないライティングがあるのではないでしょうか。
そこで今回は、私が「これはAIには書けないな」と感じたライターの仕事について、少しまとめてみたいと思います。
影響を受けにくい仕事①取材ライティング
正直、ライティングだけであればAIを使える部分もあると思います。音声をAIで書き起こしして、構成を作って、文章をまとめる。この方法でも記事を作ることはできます。
ただ、どうしても「どこかで見たことがある記事」になってしまう気がします。
取材ライティングでなにより大切なのは、「インタビューの部分」です。
取材前に質問リストは作っていきますが、実際の現場ではインタビューをしながら質問内容がどんどん変わっていきます。相手の話を聞きながら、「ああ、ここはもう少し聞いたほうが記事が面白くなりそうだな」とか、「この言葉をもう少し掘り下げたいな」と考えるからです。
そのため、取材のときは、聞きながら、書きながら、考えながら。頭の中に3人くらい自分がいるような感覚になります。
そしてもう一つ大切なのが、「記事の構成を頭の中に入れた状態で質問をしていく」ということです。
ただ、最初からすべての構成が決まっているわけではありません。インタビューをしながら、「この話は導入に使えそうだな」「ここは記事の山場になりそうだな」と考えながら、頭の中で少しずつ記事の構成を組み立てていきます。取材をしながら、同時に記事の形を作っていくような感覚です。
こういった工程は、AIにはなかなか難しいのではないかと思います。AIは文章をまとめることは得意ですが、「どんな質問をすれば面白い話が出てくるか」という問いを立てることは苦手だからです。
ですので、取材ライティングについては、「AIの影響を受けた」と感じたことは、私の経験の範囲では今のところありません。
影響を受けにくい仕事②ストーリーライティング
これはかなり限定的なお仕事になるかもしれませんが、物語を書く仕事もAIの影響を受けにくい分野ではないかと思っています。
私は最近、マーダーミステリーの作家として作品をリリースさせていただきました。詳しくは下記の記事に書いています。
私のシナリオは、論理的なトリックよりも「人の心」や「心理」を大事にしている部分があるので、結論からいうとAIは「アイデアの壁打ち」や「誤字脱字のチェック」「言い回しの相談」など、補助的な部分でしか使っていません。
キャラクターの設定、セリフ部分のシナリオ、全体構成などはすべて自分で考え、AIはチェックのような形で使っています。
AIがどこまでできるのか試してみたくて、「ゼロから書いてみて」と指示を出したこともあります。ただ、できあがったものは正直あまり気に入るものではありませんでした。
もちろん、どこまでこだわるかは人それぞれだと思います。ただ、私の場合は「自分が表現したい世界観」や「人の気持ち」「誰かに感動を届けたい」という部分に強くこだわりがあります。
そういった、心が関係する部分のアイデア出しや構成、執筆については、AIはまだあまり得意ではないのではないかな、と感じました。
ただ、マーダーミステリーや小説を書く人は、そこまで多くはないと思います。では、この考え方をどんな仕事に応用できるのかと考えたとき、いま需要が高いのは「YouTube台本」ではないでしょうか。
YouTubeにはノウハウ系の動画も多いですが、いわゆる「物語系」のシナリオもたくさんあります。こうしたシナリオは「人の気持ち」を書くものなので、AIがまだ苦手としている領域なのではないかと思います。
ポイントは「自分語り」ではなく、「人を書くこと」です。自分とは違う人格を生み出し、その人の気持ちや行動を描いていくこと。
そして実は、これは取材ライティングにも共通していることだと思っています。
これからのライターの生存戦略とは?
本当にここに書いたことは、私の経験による一例です。
世の中の全ての記事が人の感情に溢れていたら、読みにくいし、大変なことになるので、「情報を伝える文字」も絶対に必要なものだと思います。
それをPREPなどの型を使ってわかりやすく書くSEOライティングも、もちろん大切な仕事です。もしかすると、それがたまたまAIと相性がよかった、ということなのかもしれません。(すみません、私はSEOライティングの経験があまり多くないので、そこについては深く語れないのが正直なところです)
ただ、私が感じていることとしては、「人を書く」というライティングは、まだまだAIが苦手な分野なのではないかということです。そして、この領域には、これからも簡単にはAIが入り込めないのではないかとも思っています。
もちろん、SEOライティングや情報記事など、AIと相性の良い分野のライティングもこれからも必要な仕事だと思っています。
AIが文章を書く時代だからこそ、これからのライターには「人を理解する力」や「人の物語を引き出す力」が、より求められていくのかもしれません。
