遠い花火の音丨風まかせ文芸部
遠い花火というのは、不思議なものです。
光がまず届いて、音は数秒遅れてやってくる。
つまりあの『音』は、もう消えてしまった光の残響なんですよ。
空を見上げたときには花はすでに散っていて、届いた音だけが『確かにあった』と証言している。
私たちが聴いているのは、現在ではなく、過去。
距離とは、時間のことなんです。
遠くの花火の音を聴くとき、人は誰でも、届くのに時間のかかった何か──言えなかった言葉や、遅れて気づいた気持ちの側に、立たされている気がします。

上記のツールを使用しました
上記企画に参加させていただきました
元画像

花は咲いているのに、音はまだ旅の途中です。
この静けさこそが『遠さ』の正体だと思い、無音のまま咲く花火と、それを黙って待つ人の背中を描かせていただきました。
音が届くのは、この絵を閉じた数秒後です。
