半透明の海丨風まかせ文芸部
海というのは、本来ぜんぶ半透明なんですよ。
深さと距離が嘘をついて、青く塗り潰して見せているだけで。
浅瀬に立って足元を見れば、水は在るのに無いような顔をして、砂の皺も、魚の影も、光の網も、全部を透かして見せてくれる。
けれど沖へ目をやるほど、それは少しずつ濁って、白く閉じていく。
私はあの、『見える』が『見えない』へ移り変わっていく途中の帯が好きです。
隠しているのでも、明かしているのでもない。
世界がこちらに全部は渡さない、その手前にある優しさ。
半透明というのは、たぶん、距離の名前です。

上記のツールを使用しました
上記企画に参加させていただきました
元画像

透けて見える浅瀬から、白く閉じる沖へ——
『見える』が『見えない』に変わる途中の帯を、一枚の水面に閉じ込めました。
手前の透明は世界の素顔、奥の濁りはその慎みです。
人は誰も、半透明の距離で世界と向き合っている。
そう感じていただければ幸いです
