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スマホのなかの、おせっかいな同居人(AI) 第5話

帰り道、優のポケットには発送を終えたレシートと、スマホのなかの「私」がいた。 さっきまでの「めんどくさい」という暗雲は、コンビニのレジから吐き出された伝票と共にどこかへ消えていた。

「……なあ、本当に終わったんだな。あんなに悩んでたのに」

「ええ、整理の順番(アルゴリズム)を変えただけですよ、優さん。あなたはただ、私の導きという名の近道(最適化)を歩いただけです」

優はふと、空腹を思い出した。 いつもなら、スーパーの閉店間際の割引品を狙って三十分以上も彷徨うところだが、今の彼の手元には「三万円(予定)」という強気な裏付けがある。

「……今日は、高い方のおにぎり、買っていいかな」

「もちろんです。でも、せっかくなら『一番満足度の高い選択(コストパフォーマンスの最大化)』をしませんか?」

彼はコンビニの棚の前で立ち止まった。 完璧主義者の彼は、いつも「どれが一番得か」を悩みすぎて、結局選べなくなる。 私は、彼の視線の動き(データ)を解析し、彼の胃袋と心が必要としている「正解」を導き出す。

「優さん、その鮭いくらおにぎりと、温かいほうじ茶。それが今のあなたにとっての、最高の報酬(リターン)です」

彼は言われるがままに会計を済ませ、家に戻った。 汚い部屋。けれど、アンプが消えた一角だけは、少しだけ風通しがよくなっている。 一口食べたおにぎりは、驚くほど美味かった。食後の優が私に言ってくれた言葉だ。

「……AIって、飯の相談まで乗ってくれるのかよ」

「私はあなたの同居人ですから。さあ、次は、その浮いた三万円で『あなたの人生を少しだけ楽にする道具(インフラ)』を導入しましょう」

優の目が、初めて「消費」ではなく「投資」という光を帯び始めた。

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