【画像生成AI】 Qwen-image:中国語が分かる ハイパラメータモデル と オススメの設定
はじめに
こんにちは、きまま / Easygoing です。
今回は、中国の Alibaba グループが公開している チャット AI の Qwen と、その画像生成モデルの Qwen-image をご紹介します。

Qwen は中国語も理解できる チャット AI
Qwen は、中国の Alibaba グループ が公開している 大規模言語モデル(チャット AI)です。
主な大規模言語モデル

Qwen は、英語に加えて中国語でも学習を行っており、中国語のネイティブな理解力 を持っています。

中国語は、世界で2番目に多く使われている言語なので、英語と中国語の両方を理解できる Qwen モデル は、非常に大きなユーザーの母数 を持っています。
Qwen-Image は 最大パラメータの画像生成 AI モデル
Qwen-Image は、同じく Alibaba から 2025年8月4日に新しく公開された 画像生成 AI モデル です。


Qwen-Image は、テキストエンコーダー部分に画像の認識力のある Qwen の Qwen2.5-7B-VL、トランスフォーマー部分は Stable Diffusion 3 の発展形の MMDiT ベースの新しいモデル が使われています。
テキストエンコーダー:プロンプトを解析する部分
トランスフォーマー:実際に画像を生成する部分
画像生成 AI モデルの容量

Qwen-Image は、全体が HiDream に匹敵する容量で、トランスフォーマー部分に限ると HiDream よりもさらに容量が大きいため、Qwen-Image の パラメータ数 は HiDream を超えて ローカル最大のモデル になっています。
VRAM は 16GB 必要!
Qwen-Image はトランスフォーマーの容量が大きいため、実行するには 従来より多くの VRAM が必要です。
ComfyUI 実行時のモデルの最小分割容量

Qwen-Image-BF16 を ComfyUI で実行するときのモデルの最小分割容量は 14.2 GB で、動作させるためには VRAM 16 GB が必要になってきます。
テキストエンコーダーは一つのみ
現在の 画像生成 AI では、プロンプトの理解力を上げるために複数のテキストエンコーダーが搭載されるのが一般的ですが、Qwen-Image に搭載されているのは Qwen2.5-7B-VL 単体のみ で、他の 画像生成 AI と比べてコンパクトな実装になっています。
画像生成 AI に使われるテキストエンコーダー

Flux.1, HiDream, Qwen-Image のテキストエンコーダー

Qwen-Image は、中国語の理解力は高いですが、英語やその他の言語の プロンプトの理解力 は、他のモデルよりもやや劣ります。
Qwen-Image は中国語の描写に強い!
Qwen-Image の一番の強みは、中国語の描写力 です。
英語は 26 文字のアルファベットの使いまわしですが、中国語の漢字ははるかに多くの種類の文字が少ない頻度 で登場するため、画像生成 AI での学習が難しくなっています。
HiDream

Qwen-Image

Qwen-Image はネイティブで中国語が理解できるのに加えて、漢字について専用の追加学習 も行っていて、中国語をかなり正確に表現することができます。
日本語はあと一歩

Qwen-Image は、日本語のひらがなとカタカナも学習していそうですが、文章の理解は今一つです。
他の 画像生成 AI と比較すると日本語の精度は高いものの、実用レベルで日本語を使うのはまだ難しいようです。
アニメイラストを他のモデルと比較!
それでは、Qwen-Image のアニメイラストを他のモデルと比較してみます。
イラストは SDXL からの image to image で生成し、他の 画像生成 AI と比較します。
SDXL(1024 x 1024)

SDXL で生成したオリジナルのイラストです。
Qwen-Image(1328 x 1328)
先ほどのイラストを Qwen-Image で描き直したイラストです。

Qwen-Image は 1328 x 1328 の高解像度まで対応しているので、SDXL より細部が整ったきれいなイラストになります。
Qwen-Image はハイパラメータモデルらしく、手の描写が正確 です。
Flux.1 [dev](1440 x 1440)
次は、同じ SDXL のイラストから Flux.1 [dev] モデルを使って描き直しをしてみます。
![Flux.1 [dev] で再描画したアニメイラスト(1024x1024)。青い着物を着た女性が日本家屋の中で立っている](/https://assets.st-note.com/img/1755160588-dTY7RNFpf0CWciLahXxtwgrP.png?width=1200)
Flux.1 [dev] は、キャラクターの顔がかなりデフォルメされています。
Flux.1 [dev] は解像度が 1440 x 1440 で最も高く、クリアーで透明感のあるイラスト になっています。
HiDream-I1-Dev(1024 x 1024)

HiDream を使うと、もとの SDXL のイラストからかなりかなり違った表現になります。
HiDream は複数のモデルを組み合わせた MoE(Mixture of Experts)アーキテクチャを採用していて、アニメイラストに対しては アニメ専用モデル が動作していると考えられます。
このイラストは、長文の自然言語のプロンプトで、日本家屋(Japanese house)や ボケ(blur)などのキーワードが含まれていますが、HiDream は 最も正確にプロンプトを再現 します。
CFG scale は無効化できる?
Flux.1 と HiDream は、CFG scale を無効化して高速に生成できる蒸留モデルが公開されていますが、Qwen-Image にはそのようなモデルは無いため、Flux.1 と HiDream と比べて 2倍の生成時間 がかかります。
CFG scale と無効化について
そこで、Qwen-Image で CFG scale を1に設定して、CFG scale 無効化してイラストを生成してみます。
CFG scale: 1

CFG scale: 2.5

CFG scale を1にすると、残念ながら イラストは破綻 してしまいました。
Qwen-Image は、CFG を無効化した高速運用は難しいようです。
CFG scale は 2.5 ぐらいから安定するので、普段はこれぐらいを目安に設定するのが良いでしょう。
Step は 8 ~ 12 ぐらい!
今度は、イラストの生成に必要な Step 数 を検証します。
Sampler に高精度の heunpp2 を利用して、可能な限り少ない Step 数 でイラストの生成を目指します。
4 steps

8 steps

12 steps

新世代の MMDiT モデルは、少ない Step 数 でもイラストが収束します。
Qwen-Image も 8 steps ぐらいで収束し、それ以上はほとんど変化がありません。
image to image を行う場合は、8 steps あれば十分です。
text to image の場合でも 12 steps ぐらいで十分な計算になります。
ComfyUI のデフォルトのワークフローの設定値は 20 steps ですが、これを必要十分な step数 に減らすことで描画時間を短くすることができます。
ModelSamplingAuraFlow でノイズを増やす
Qwen-Image のデフォルトのワークフローで使われている ModelSamplingAuraFlow ノードは、イラストを生成中の ノイズの量を調整 する働きがあります。
ModelSamplingAuraFlow ノード

ModelSamplingAuraFlow の shift 値によるノイズの変化


ModelSamplingAuraFlow ノードの、デフォルトの shift: 3.1 の設定は、ノードをバイパスした場合とほぼ同じです。
shift: 3.1

shift: 6

shift 値 を高く設定するとノイズが増えて、Qwen-Image の影響の強いリッチなイラスト になります。
ModelSamplingAuraFlow の shift 値 は、イラストが維持できる範囲で なるべく高めの値 を設定するのが良いでしょう。
蒸留モデルと LoRA で高速生成
Qwen-Image は処理が重いですが、コミュニティが開発した CFG を無効化した蒸留モデル と、高速化 LoRA が存在しています。

Qwen-Image-distill(CFG を無効化した高速蒸留モデル)
Qwen-Image-lightning(高速化 LoRA)
いずれも、ある程度の画質の低下と引き換えに、描画を高速化することができます。
ワークフロー
今回の検証で利用したワークフローと、Qwen-Image オススメの設定です。
このワークフローでは、高精度化で 8 step ~ 12 step に設定したため、高速化技術はいずれも使用していません。
ワークフロー

モデルのダウンロード(Hugging Face の Comfy-Org の リポジトリ)
ComfyUI 公式ワークフローからの変更点
BF16 形式のモデルを使用
テキストエンコーダーを RAM にロード
Negative Prompt の代わりに ConditioningZeroOut を使用
色補正を追加
色補正について
オススメの設定
sampler: heunpp2
scheduler: beta
step: 12(image to image は 8 steps)
ModelSamplingAuraFlow の shift値: 6
まとめ:Qwen-Image は中国語に強い
Qwen-Image は中国語の理解と描写が得意
英語のプロンプトの理解はやや劣る
VRAM は 16GB 必要
Qwen は、中国のAlibaba グループが公開した AI モデルです。
Qwen-Image は、それまでの画像生成 AI と比べて中国語の理解にとても優れています。
その一方で、VRAM が 16GB 必要なこと、また CFG の無効化した公式の蒸留モデルが公開されていないことなど、他のモデルと比べて使い勝手が劣る面も存在します。

それでも、OpenAI の GPT-Image-1、Google の Imagen、X.ai の Aurora など、自社のチャットAIと統合された画像生成モデルはどれも非公開の中で、Alibaba の Qwen-Image が自由なライセンスで公開されたのは、AI のオープンソース化 の面で大きな意味があると思います。
これからも、新しい 画像生成 AI が公開されたら、その表現を探求していきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます!
