岩手物語 第十七話 暗闇の男
前回までのおはなし。
ラーメン屋で親交を深めたミチザネとコウ。
家に戻ったコウは、じいちゃんからユミ先輩が行方不明と聞くことになる。
岩手物語 マガジンはコチラ ▼
第十七話 暗闇の男
「もう遅いし、警察の人ら探してっから、居ろ。」
探しに行こうとする僕をじいちゃんが止めた。
「いや、でも、じいちゃん……あの。」
その様子を見たじいちゃんが優しい声で、
ぽつりと言った。
「さみぃ(寒い)から上着、着てけ。」
「うん。」
僕は、じいちゃんの優しさに涙が出そうになった。
「なんか、巫女のカッコしたままいねぐなったらしい。」
ユミ先輩……。
そうだ、もう一着羽織るもの持ってった方がいいな。
「んだ、あと、暗いから、アレもってけ、あの……」
僕は自分の部屋に戻り、明かりをつけた。
「懐中電灯?~」
懐中電灯を出そうと、
押し入れを開けようとしたその時、
スマホに緊急地震情報が入った。
もう、聞くだけで緊張が走るあの音だ。
すると、遠くから地鳴りが迫ってきた。
やがて、だだだっ!と、大きな音とともに激しい揺れが襲って来た。
部屋の本棚が倒れ、天井から下がっている明かりが激しく揺れた。
(この揺れはやばい、やばいっ)
柱に必死に掴ると、あまりの揺れにしゃがみこんだ。
「うおっ!」
声と共に押入れのふすまが外れ、誰かが転がり落ちてきた。
え!?だ、誰?
パチンと音がして、明かりが消えた。
暗がりに転がり落ちてきたのは、男のようだった。
__こいつは誰だ。
