岩手取材の旅、底知れぬ岩手の魅力 その3
「赤いレクサスの怪異」の危機を逃れ、向かったのはカッパ渕。
前回のお話はこちら ▼
河童や、「オシラ堂」のある伝承園に車を駐車。
ここに来た目的は、「カッパ渕」と「オシラ堂」です。

遠野名産のホップ畑の道を歩きます。
この畑のホップでキリンの「一番搾り」が作られているそうです。
全国ののんべぇの喉を潤しているホップが空に向かって伸びています。
じりじりとした夏の日差しが厳しいですが、時折抜ける風がとても爽やか。
蓮峰山 常堅寺を抜けて目的地の……。

熊。
昨年この辺りでも目撃情報があったと聞いていた。
僕が住んでいる仙台でもそうだけど……注意と言ってもなぁ。

カッパ渕橋を渡った先に、

猿ヶ石川の支流、カッパ渕。
透き通る水の清らかな……まさに清流です。
清流というと、川底が砂利なイメージが強いのですが、こちらの川は川砂とも違う、田んぼの底のような小川です。

この川で馬にいたずらをして川に引きずり込もうとしたカッパを捕まえて、人々にいたずらをしないように諭して許したそうです。
まぁ、そういった話を先の博物館で知識として入っていれば感慨もあるのですが……。
以前ツーリングで一緒に来た会社の後輩たちは……。
「ただの川じゃん。」
そりゃ、そうだ。

伝承館に戻る途中の売店で一休み。
きゅうりの一本漬けで、水分、塩分補給と、カッパ気分を味わいます。
さて、日本全国至る所で語られる河童。
ただの川じゃんと言われたカッパ渕ですけど。
実は、ここ遠野では厳しい自然環境の為、冷害などで生活が厳しくなると赤子を口減らしと称して川に流していました。
その子たちの生まれ変わりを信じて生まれた怪異が、
河童なんです。
いたずら好きなキャラクターは、無邪気な子供の振る舞いから生まれたものかもしれませんね。

自分の踵が古い板張りの床を踏みしめる音が響きます。

今回の旅の目的のひとつであった「オシラ堂」。
オシラサマは、養蚕と目の神様と言われています。
子供の頃、僕の田舎、岩手沿岸は養蚕業が残っていたので、既に養蚕業が衰退していた遠野より、実は多くのオシラサマのお話はありました。
だから、小学校の遠足で訪れた遠野で、「オシラ堂」なるものを聞いた時、恐ろしくて近づきませんでした。
だって、馬の頭と娘の頭を信仰し、毎日の祈りを欠かすと祟られるって、恐怖の対象が、千体を超えて祀られた部屋なんですよ。
今回、初めてそのオシラ堂の中に入りましたが……。
観光用に、オシラサマの衣装に願いを書いてオセンダク(重ね着の儀式)をするようになってました。
オシラサマのオセンダクってそういうものじゃ無かったろうに。
任天堂DS欲しいとか、宝くじ当てたいとか……。
もう、オシラサマ関係なくなっていて、それこそ、こういう観光イベントに変えてしまったこと自体も欲望の塊って感じ。
この部屋全体が怪異に変化しそうな空間になっていました。
僕の子供の頃の恐れは、むしろ人の欲望に対する恐れというか、呆れに変わっていきました。
いろいろ考えさせられる「オシラ堂」でした。
さて、次回はお昼を食べてあの、
丹内山神社。
アラハバキの磐座に向かいます。
オリジナル小説、「岩手物語」快調に連載中です。
