岩手物語 第六話 鵺の袱紗
僕が思っていたよりも、いい滑り出しです。
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岩手物語 第六話 鵺の袱紗(ふくさ)
「こんにちは~」
玄関から声が聞こえてきた。
じいちゃん、居ないのかな?
古い板の間の床を軋ませて向かうと、
そこにミチザネが立っていた。
「あれ、ミチザネ、遊びに来てくれたの?」
ミチザネは目線をそらした。
「……いや、」
「ん?」
そこに畑仕事を終えたじいちゃんが帰ってきた。
「じいちゃん、畑仕事、まだダメでしょ。」
僕がじいちゃんに声をかけると、
「なぁに、少し、動かないとよ。」
そして、鍬を土間の壁に立てかけると、
「んでさ、コウ、お前、じいちゃんの焼きプリン食ったろ。」
「いや、じいちゃん。」
僕はそれ以上その話をここでしないように、両手を振った。
「なんだぁ、お客さんかい。」
ミチザネの紫色の袱紗(ふくさ)に目が行った瞬間。
じいちゃんはゆっくり腰を伸ばした。
「鵺(ぬえ)の者か。」
僕は何の事か分からない。
(ぬえ、ぬえってなんだ……?)
「……はい、お役目の事で参りました。」
