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ピーベリーとフラットビーン フルレットさんの企画


こちらに立ち寄ってます


カフェとオレ  【1234字】

「おいフラビ、客が来る気しねぇな」
「おまえの室礼しつらえってやつに問題があんだろ」
 ピーべリーとフラットビーンはカフェを始めた。店内は和洋折衷といえば聞こえはいいが、聞き齧った和の装いを洋の中にないまぜにしただけという印象は拭えない。
 壁の掛け軸が天井で回るウエスタンの風に煽られ、定期的にカサカサと鳴る。カウンター席の高いスツールを上れば、そこには畳のカウンターが広がっている。
「こんなんでコーヒーが零れたらどうすんだよ」
「ちゃんと撥水加工してあっから」
「そんなの限度ってのがあんだよ」
「うちの店でマトモなのはコーヒーだけだな」
「いいさ、カフェなんだから」
 メニューには抹茶やフルーツパフェまでラインナップは豊富だが、実際に提供できるのはホットコーヒーだけだった。
「見切り発車もいいとこだな」
「気にすんな。コーヒー好きが集まる店にしたいって言ったのはおまえだろ?」
 ピーベは通りに面した大きなガラス窓の席に座って、行き交う人を眺めている。
「ひとりくらい、とち狂った人間ってのはいないもんかね」
「ここを歩いてんのはみんなちゃんとした人間さ」
「場所を間違えたな。こんなオフィスばっかのとこじゃ」
 フラビはカウンターの中に収まって、カップをしきりに拭いている。
「まぁ落ち着けよ。暇だったら俺にコーヒー淹れてくれ」
 フラピはいきなり戦闘モードに入ったようにしなやかに動き始めた。カンカンと音を立てたかと思うと、後は静かに手を動かしている。
 やがてシューと空気が抜けるような音がした。出来立てのネルドリップのコーヒーに出来立てのエスプレッソを混ぜる。
「オレのスペッシアルコーヒー、できたぜ」
 お茶のお点前よろしく、畳の上に置かれたカップをピーべは無造作に掴むと香りを嗅いだ。
「なぁ相棒。このコーヒーってやつは、どうしてあんなにいい香りがしてたのに、こうして出来上がるとあの香りがしないんだ?」
「ピーべ、おまえってやつは何にも知らねぇんだな。水ってやつには消臭効果ってのがあるのさ。生憎、水には人間にとっていい匂いなのか悪いのかなんてことはわからねぇ。だから根こそぎ取っちまうってわけさ」
「そんな科学が潜んでるとは知らなかったぜ。いい手を思いついた」
 ピーべは立ち上がると厨房の中に入って焙煎したての豆をミルの中にぶち込んだ。そしてスタスタと入口まで行くとドアを全開した。
「おまえ、何おっ始めるつもりなんだ?」
「まぁ見てな。客がわんさとやってくるから」
 ピーべはさんざん聞かされていた。この豆は世界一いい香りがするんだということを。
 フラビの自宅には毎月、アフリカから生の豆が届く。それを選別し、乾燥させ、焙煎していた。そんな背中を見ていたからこそ、このカフェの話に乗ったのだ。

 もじもじした最初の客は10分後に入ってきた。注文はもちろんコーヒー。そしてものの一時間もすると店内はコーヒー好きでいっぱいになった。
ー世の中ってのは意外と単純にできてるのかもしれないなー
 フラビは忙しく動き回るピーべの横顔を見ながらそう思った。
     了


なんのはなしです珈珈珈珈珈
みとこうもん珈!


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