東洋医学で読み解く「痛み」の正体⑤
あなたの頭痛は、何が足りないのでしょう?
気虚・血虚・陰虚という考え方
前回は、「養われないことで起こる痛み(不栄則痛)」について書きました。
では、何が不足すると頭痛が起こるのでしょうか。
東洋医学では、「養う力」の不足をさらに細かく考えます。
代表的なのが、
気虚(ききょ)・血虚(けっきょ)・陰虚(いんきょ)
という3つの状態です。
少し難しい言葉ですが、「何が不足しているか」という視点で読むと、とても分かりやすくなります。
① 気虚(ききょ)──エネルギー不足の頭痛
「気」は、体を動かすエネルギーのような存在です。
この気が不足すると、
・疲れやすい
・体がだるい
・声に力が出ない
・少し動くだけでも疲れる
といった状態になりやすくなります。
頭痛も、
「夕方になると重くなる」「休むと少し楽になる」
という傾向がみられることがあります。
「最近、無理が続いているな。」
そんなときは、体のエネルギー不足が関係しているのかもしれません。
② 血虚(けっきょ)──栄養不足の頭痛
「血」は、全身を養う栄養の役割を担っています。
血が不足すると、頭にも十分な栄養が届きません。
そのため、
・立ちくらみがある
・顔色が白い
・目が疲れやすい
・髪や肌が乾燥しやすい
といった症状を伴うことがあります。
頭痛は、
「ぼんやり重い」「フワッとする」
そんな表現をされる方もいます。
血虚では、「しっかり養うこと」が大切になります。
③ 陰虚(いんきょ)──潤い不足の頭痛
「陰」は、体を潤し、熱を落ち着かせる働きがあります。
陰が不足すると、体の中の熱をうまく冷ませなくなります。
そのため、
・ほてりやすい
・寝汗をかく
・口や喉が乾く
・夕方から夜にかけて症状が出やすい
という特徴がみられることがあります。
頭痛も、
「熱っぽい」「のぼせる感じ」
を伴うことがあります。
暑い季節や、睡眠不足が続いたときに悪化しやすいタイプです。
同じ「疲れ」でも、中身は違う
「疲れているから頭痛がする。」
そう聞くと、すべて同じように思えます。
でも東洋医学では、
エネルギーが足りないのか。
栄養が足りないのか。
潤いが足りないのか。
その違いによって、体への負担も、養生の方法も変わると考えます。
だから東洋医学では、
「疲れていますね。」
では終わりません。
「何が不足しているのか?」
そこまで考えていくのです。
「足りないもの」を知ることが養生の第一歩
疲れたら休む。
それも、とても大切なことです。
でも、「何が足りなくなっているのか。」という視点を持つと、体との付き合い方はさらに変わってきます。
エネルギーを補うのか。
栄養を養うのか。
潤いを取り戻すのか。
東洋医学は、その人に合わせた「養い方」を大切にしています。
次回はいよいよ「頭痛の場所」を読み解く
ここまで、
「流れが悪い痛み(不通則痛)」
「養われない痛み(不栄則痛)」
という2つの視点から頭痛を見てきました。
最終回は、もう一つの東洋医学の見方をご紹介します。
前頭部、側頭部、後頭部…。
実は、頭痛の場所にも意味があります。
東洋医学では、頭痛の部位と経絡の関係から体の状態を読み解いていきます。
シリーズの最後は、「場所から見る頭痛」のお話です。
*厳密には、頭痛を気虚・血虚・陰虚だけで分類できるわけではありません。陽虚や精血不足など、さらに細かく分類することになります。
今回はよりメジャーな考え方として3つに大別させていただきました。
