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ただ歩かせてるだけにしてない?高齢者の歩行練習で診ておきたいポイント【臨床のヒント #47】

高齢者のリハビリで、歩行練習は非常に頻度の高い介入です。

でもその一方で、

「とりあえず歩いてもらう」
「距離を伸ばすことが目的になっている」

そんな場面も少なくないのではないでしょうか。

もちろん歩行量は大切です。
ただ、ここで一度考えたいのは、

“歩かせること”が目的になっていないか?

という点です。

歩行練習で本当に重要なのは、
歩いている中で何が起きているかを診ることです。


歩行は「量」だけでなく「質」も大事

高齢者の歩行では、

・なんとか歩けている
・でも不安定
・代償が多い

といったケースがよくあります。

たとえば、

・上体を大きく揺らして歩く
・患側にほとんど乗れていない
・足だけ前に出ている

この状態でも、一見「歩けている」ように見えます。

でも実際には、

“代償の反復”をしているだけかもしれません。

だからこそ、
「どれだけ歩いたか」ではなく
“どう歩いていたか”を見る視点が必要です。


まずは「重心が動いているか」を見る

歩行は、脚を出す動きではなく、
重心を前に運ぶ運動です。

しかし高齢者では、

・転倒への恐怖
・筋力低下
・バランス低下

などにより、重心移動が小さくなりがちです。

その結果、

・歩幅が狭い
・一歩が小さい
・足だけ出している

といった歩行になります。

ここで大切なのは、

「脚が出ているか」ではなく
「重心が移れているか」を見ることです。


支持脚で“立てているか”

歩行で重要なのは、
足を出すことよりも支えることです。

よくあるのは、

・なんとか足は出る
・でも支持脚で支えきれない
・すぐ次の一歩でごまかす

という状態です。

これは、

“歩いている”というより“倒れないようにしている”状態です。

見るポイントとしては、

・膝折れがないか
・体幹が大きく逃げていないか
・片脚支持が極端に短くないか

などです。


足が出ない原因は“脚”だけではない

「足が出にくい」という訴えに対して、
脚の筋力ばかり見ていないでしょうか。

実際には、

・支持側に乗れていない
・体幹が前に進んでいない
・恐怖心で重心移動を止めている

といった要因も関係します。

つまり、

“足が出ない”は結果であって、原因は別にあることが多いです。


補助具を「使えているか」

杖や歩行器を使っている場合も、

・持っているだけ
・うまく荷重できていない
・逆に動きを崩している

といったケースがあります。

補助具は、

使っているかではなく、使いこなせているかが重要です。


疲れたときにどう崩れるか

もう一つ大事なのが、
疲労による変化です。

歩き始めは安定していても、

・歩幅が狭くなる
・姿勢が崩れる
・ふらつきが増える

といった変化が出ることがあります。

実際の転倒リスクは、
こうした後半の崩れに現れることが多いです。


歩行練習は「観察の時間」

歩行練習は、ただ歩かせる時間ではなく、

・どこに乗れていないか
・どこで崩れるか
・何を代償しているか

を読み取る時間でもあります。

ここに意識が向くだけで、
歩行練習の質は大きく変わります。


まとめ

高齢者の歩行練習では、

・重心が移れているか
・支持脚で立てているか
・本当の問題はどこか
・補助具を使えているか
・疲労でどう崩れるか

こうした視点を持つことが重要です。

歩行練習は、ただの反復ではなく
“評価と介入が同時にできる場面”です。

もし今、
「とりあえず歩かせているかも」と感じたら、

一度「どう歩いているか」に目を向けてみてください。

そこに、臨床のヒントが隠れています。

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【執筆者 プロフィール】
北爪 直也|理学療法士
▶︎株式会社ACTX(アクトス) 代表取締役
▶︎埼玉県熊谷市を拠点に、訪問リハビリ・整体事業・地域活動など多角的に活動中。
▶︎リットリンクにてSNS等まとめてます↓
https://lit.link/zume

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