この季節になると、彼女は窓を全開にする。
カーテンが大きく膨らんで、部屋中に草の匂いが入ってくる。
「気持ちいい」 目を閉じて、そう言う。
付き合って三年。 見慣れたその仕草とセリフ。
彼女の傍らを通り過ぎた風が僕へと届く。
「何見てるの」
気づいた彼女が言う。
「初夏だな、と思って」
「ロマンチストね」
私の目を見た彼女が、また窓の方を向いた。
カーテンが、また大きく揺れた。
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