まだ降ってる|風まかせ文芸部|名前のない物語
隣で妻が何か言った。
雨の音で目が覚めた夜。
「……まだ降ってる」
そう聞こえた気がした。
私は、そっと耳を傾けた。
妻は静かに寝息を立てている。
雨の音以外聞こえるものはない。
妻の寝言だったのか、それとも私が夢を見ていたのか。
梅雨の夜は、境界があいまいになる。
眠りと目覚めの、夢と現実の、昨日と今日の。
窓を打つ雨が、少し強くなった。
「……まだ降ってる」
それは私の声だった。
iさんの風まかせ文芸部に参加します。
☺️「名前のない物語」は、当note独自のシリーズ名で、ちょっとファンタジー、でもひょっとしたら。というテイストの物語です。
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