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コズミック・キャデラック、吉祥寺、カレーライス

好きな音楽を聞きに、学生時代から馴染みのある吉祥寺へ久しぶりに遊びに行った話。

昔からある喫茶店でカレーを食べて、パルコの屋上で弾き語りライブを見て、豊かだなぁとしみじみした。



🔹吉祥寺

大学が吉祥寺の近辺だった。30年近く前。
今はなくなってしまった三鷹のキャンパスへ通う時は、吉祥寺駅から井の頭恩賜公園を突っ切って散歩するのが好きだった。

クラスメイトが男の子と公園のベンチにいて、気まずそうだったから素知らぬふりで通り過ぎたこと、公園通りの雑多な焼き鳥屋で合コンして、酔っ払った友達がワンピースの裾をはだけて寝転がったら店のおばちゃんにこっぴどく叱られて面白かったことなど、女子大生っぽいエピソードがある。

社会人になってからも、定期的に友達とご飯を食べたり、DJイベントやバンドのインストアなど音楽が目的で訪れることもあった。
今は、よほど目的がないと訪れる機会がない。

🔹カレーライス

・茶房武蔵野文庫

学生時代から知る喫茶店へ。今もなお変わらぬたたずまいなのが嬉しい。冬季は焼きリンゴが名物で、好きでよく食べていた。

カレーを注文。コロナの時期にテイクアウトして以来かも。

スパイスが効いていて汗が出る。ほくほくの新じゃがと、煮込まれたチキンでボリューム満点だ。

平日の昼下がり、遅めの昼食やコーヒーブレイクでお喋りをする人々で賑わう。涼しい日だったので、開け放たれたドアから風が入ってきて気持ち良かった。

会計時、素敵な店員さんに「『ストレンジャー・シングス』お好きなんですか?」と聞かれた。
私は最近米国ドラマ「ストレンジャー・シングス」のTシャツをよく着ている。大好き過ぎて。
店員さんにTシャツに気づいて声をかけられたのは初めてで、舞い上がった。


武蔵野文庫のエリアにあるカフェ・ベローチェも健在だ。すごいと思う。
30年前、大学の友人がバイトしていて、売れ残ったコーヒーゼリーをおすそ分けしてもらうのが楽しみだった。


🔹コズミック・キャデラック

・タワーレコード吉祥寺パルコ店

今回の目的は、多次元制御機構よだか(林直大のソロプロジェクト)のアルバム発売記念ライブだった。タワーレコード吉祥寺店が入っている、パルコの屋上で開催。

吉祥寺のタワーレコードは、その昔、東急百貨店近くの雑居ビルにあった。ディープな雰囲気だったので、なんとなく入りづらかった。
御茶ノ水にあったマニアックなレンタルCDショップ「ジャニス」と同じぐらい、ドキドキしながら入店していた。

その後はヨドバシに移転し閉店。2025年に吉祥寺パルコで再オープンした。

今回のインストアを知るまで、パルコで再オープンしたこと、屋上にステージがあることを知らなかった。どんどんCD屋が消えて行く昨今、グッドニュースである。


・屋上ライブ

タワレコのインストアと言えば、渋谷店の地下ステージに何十回参加したかわからないので、薄暗いライブハウスのイメージがある。
新宿店の屋上でのアコースティックライブは何度か。地下とはうってかわって、外は気持ち良かった。

だから、多次元制御機構よだかが屋上で弾語りライブをやると聞いてワクワクした。前回のインストアは渋谷店の店内だった。野外のよだかは初めて。

吉祥寺パルコに来るのも久しぶり。地下にミニシアター(UPLINK)が入ったのがいいなと思う。
学生時代、吉祥寺バウスシアターという名物シアターがあったが、時代の流れで閉館して残念に思った。

梅雨明け前、暑くもなく適度に涼しい風があり、雨も降らず、ベストコンディションだった。
ライブスタートの19時、空は青かった。ステージ横はBBQ会場で、人々が肉を焼いている風景も良かった。

アコースティックギターを片手に登場した林直大は、「サイダー・アンドロメダ」「或星」「夜間飛行」「コズミック・キャデラック」を弾き語りした。

タイトルからわかると思うが、全て空が関係している。期待を遥かに上回る次元で野外が似合っていて最高だった。「今日は星でも降るのかよ?」と思って、何度も空を見上げてしまった。

空に溶けゆく歌とギターが気持ちよくて、目を閉じて聞き入った。聴覚に集中したら音と一体化できて、さらに音楽を深く感じられるのではないか、という願望。

「コズミック・キャデラック」はアルバム最後の曲だ。「すれ違う風を撫でながら」という歌詞、まさにその瞬間を、風に撫でられながら体感できたと思った。

間奏ギターをはにかみながら楽しそうに弾く姿が良かった。
照明に混ざってぶら下がったアナログのミラーボールが、風に吹かれてキラキラしていて、案外良い仕事をしていた。
多次元制御機構よだかが巻き起こす風に、お客もミラーボールも良いバイブスで揺れているなぁと思った。

終わる頃には、とっぷりと暮れて空は深い藍色だった。

ライブ後は、CD購入者のためのサイン会。
ステージからマイクを通して聞こえるあの声が、目の前で聞こえる。あんなに大きなエネルギーを放っていた人が、目の前で穏やかにたたずんでいるギャップ。
ステージに立つ人は、みんなすごい。今日も林は可愛くて尊いエネルギー体だった。

屋上からのエレベーター待ちで、サインを手にした人々がほくほくと幸せそうな顔をしているのを目にして、みんな可愛いなぁと思った。

吉祥寺は俺の街だ、と林はMCで話していた。馴染みが深いらしい。パルコでライブができて感慨深そうだった。

私は、今は吉祥寺が自分の街だというほどの親近感はないが、思い出がたくさんある特別な街である。あの頃と変わったところと、変わらないところがある。年代が違うので、林が見ている吉祥寺と、私が見ている吉祥寺はきっと異なるだろう。それぞれの吉祥寺がある。

でも、またこうして音楽目的で吉祥寺に来ることができたことが嬉しくてありがたかった。

パルコからの帰り道、幸せだった。音楽があって豊かだなぁとしみじみした。暗いニュースは世界中に溢れているし、自分の心配事も考えればキリがない。

でも、音楽があって豊かなのも真実。
世界は自分で選べる。何にフォーカスするか。

多次元制御機構よだかを聞いていると、自分の世界の見方が広がるような感覚があって、そこも魅力のひとつだ。
宇宙や物理学、文学などから得た幅広い俯瞰の視点と、わかっていてもどうしようもない人間のエゴ。どっちの視点もあって心地よい。

コズミック・ピーチ、的な

駅ビルのアトレに寄り道。吉祥寺の駅ビルと言えば、昔はロンロンだった。
目に止まったカフェに入って、レアチーズアイスの上に桃が乗っかってるデザートを食べた。

桃って、小宇宙みたいだな。ライブを思い返してニヤつきながら、桃を飲み込んだ。

林はMCで、「夏フェスに出ます。遊びに来てくれる人もいるよね?」と話していた。

昨今の夏フェスは生命の危機を感じるので避けているが、一箇所ぐらい行ってみようかしら?という気になった。それぐらい野外で聞くよだかは良かったんだ。


・「LAPLACEL」

ブラックジャックに…的な?

多次元制御機構よだかのアルバムタイトルは林の造語。ラプラスに天使のelをつけてLAPLACEL(ラプラセル)。

ラプラスは「ラプラスの悪魔」から。
「宇宙のすべての原子の動きを正確に把握できれば、未来を完全に予測できる」という物理学の架空の概念。18世紀、フランスの数学者ピエール=シモン・ラプラスが提唱した。

林は、ライブ中に「音の正解が全部わかった!」といった全能感を感じることがあるらしい。ラプラセル=よだかの召喚獣のようなもの、とインスタライブで話していた。ジョジョのスタンドも例に上げていた。

おもろい。
「ラプラスの悪魔」を初めて知った。
最近読んだ量子力学の本で、素粒子は確率で決まる(予測不可)と知ったので、今は否定されている概念だとすぐ理解した。
だからこそ、それを音楽的な全能感に変換して表現するセンスがぶっ飛んでて、興味深いなぁと思う。

アルバムは全12曲。
アニメタイアップの「スターダスト・エウレカ」、前作EPのリード曲「オデッセイ」は、やっぱり楽曲としての力強さが際立つ。

再録が何曲かあって、中でも「飛鯨五十二号」がとびきり良くてハッとした。二度目に恋に落ちた感覚。続編みたいな「サイダー・アンドロメダ」も可愛い。屋上ライブの1曲目、初夏の夜に似合っていた。
「ヒーロー」は、使用ギターの違いを新旧で聞き比べると楽しい。旧も好きなんだよな。

何度かライブで聞いていた「あらすじ」は、プロのストリングスアレンジで別世界に移行したかのような変化を遂げていた。
12曲目「コズミック・キャデラック」の最後には、1曲目「オデッセイ」のフレーズが仕込んであった。アルバムならではの遊び、ループしたい気持ち良さ。
どの曲も良いが、「コズミック・キャデラック」は、この先もふと吉祥寺の空と風を思い出しそうだ。

この夏たくさん聞こうと思う。
秋のワンマンライブも楽しみ。

コズミックなキャデラック🚘️




タワーレコード渋谷店にて
リキッドルームのライブフォト


リキッドルームワンマンの感想。


よだか記録。


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