令和8年熊本地震備忘録③ガソリンがない。食べ物もない。
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7/29 5:34 暑さで目を覚ます
あまりの暑さに飛び起きました。
車のエンジンを切って2時間ちょっとでギブ。
車内はサウナ状態で熱中症不可避。
10年前の熊本地震と大きく違うのは、やはり気候でした。
「これ、もしかして相当数熱中症で死ぬのでは…??」と思ったのを覚えています。
空はすでに明るくなっていて、依然緊急車両のサイレンが辺りに響いていました。
道の駅に着いた時にはそこそこの量の車がいましたが、私たちが起きた頃には半分くらいに減っていました。
ずっとここにいるわけにもいかず、家に戻ることにしました。
5:50? 「これは、ひどいな」
一度自宅へ戻り、今後どうするかを考えることにしました。
食パンをかじり、麦茶で流し込みました。
食欲なんか感じませんでした。
無心でパンをかじり終えたあと、もう一度家に入ろうか、という流れになりました。
外れた引き戸。
割れてパラパラと粉が落ちてくる壁。
棚という棚が、引き出しという引き出しが全て開きっぱなし。
棚のストッパーが効かず雪崩れ落ちて割れた食器たち。
ひっくり返って室内に畑を生み出す観葉植物たち。
「これは、ひどいな」とお母さんがつぶやきました。
まだ早朝なのに10分もしないうちに汗が滴り落ちてきました。
停電していてエアコンはつけられませんでした。
とりあえずどこかへ避難しよう、ということになりました。
部屋に転がっていたでっかい段ボールにしばらく分の衣服と使い慣れた日用品、印鑑や通帳、お薬手帳などの貴重品、そしてMac miniをはじめとしたPC周辺機器をぶち込んでいきました。
火事場泥棒が怖かった。
人を疑わなければいけない、というのもしんどいものだなと思いました。
その間にお母さんは母方の祖父へ電話をかけているようでした。
しばらく話したあと、「電気も水もきてるから、来ていいってよ」と電話を切ったお母さんが言いました。
私たちの行き先が決まりました。
たまたま通りがかったお隣さんに、家が危険だからしばらく母方の祖父宅へ身を寄せることを伝え、自宅を離れました。
6:30? 「レギュラー売り切れ」
準備を整えて、いざ祖父宅へ出発!…と思いきや。
私の車にはあまりガソリンが入っていませんでした。
すっかり忘れていましたね。
そうして、ガソリン問題が再び浮上しました。
自宅の周辺のガソリンスタンドはまだまだ営業しておらず、熊本市の方へ上ってみようと決め、車を走らせました。
国道を上り、ガソスタの群生地へ。
1つ目、開いてない。
2つ目も、開いてない。
3つ目、開いてる!…けど、スタッフさんが何かを掲げていました。
「レギュラー売り切れ」と書かれた段ボールでした。
ガソリンって、売り切れるんだ…。
令和のオイルショックかよ…。
給油待ちの列から外れ、ガソスタの前を通り過ぎると軽自動車にハイオクを入れている人が複数。
背に腹はかえられぬとはいえど、そんなブルジョワなことはできない…。
その先にはあまりガソスタがないため、諦めて帰ることに。
節約気味に走らなきゃね、なんて話しながら運転していると渋滞にハマりました。
ノロノロと動きながら渋滞の先を見てみると、営業しているガソリンスタンド。
30分ほど待って給油することができました。
思い返してみると、発災後からしばらくは大手のガソスタより地域密着っぽい小さいガソスタのほうが開いていました、JAのガソスタとか。
ご参考までに。
8:00? 戦場と化したコンビニ
車にご飯を満タンあげたところで、人間のご飯をどうにかしようかという話になりました。
しかし、朝早いのも開いてる店もなく。
ノロノロと進みながら車を走らせていると、吸い込まれるようにどんどん車が入っていくコンビニがありました。
…もしかして、開いてる⁉︎
流れに乗るようにコンビニへ入りました。
中に入ると、狭い店内に人がごった返していました。
まるで、特売日のスーパー。
やはり、すぐ手軽に食べられるおにぎりやパン、カップ麺などは棚から消えていました。
前日からパンしか口にしておらず、汗を大量にかいたこともあり、しょっぱいものが欲しい。
選ばれたのは、コンソメ味のねじねじ形状のスナック菓子と某辛いラーメンでした。
「被災地に送らないで欲しいもの」に堂々と名を連ねる辛いラーメンをこの状況で金出して買ってますこいつ、たぶん頭おかしい。
辛いもの好きで胃腸も辛いもの耐性あってよかった、食べるものに困らない。
ちなみに避難所ではまじで辛いラーメンはいらないらしいので送らないでくださいね。
なんとここまでで2時間ちょっとかかってます。異常事態。
8:50? ようやく祖父宅へ
やっと祖父宅へ出発。
国道に入るとやっぱりものすごい渋滞。
国道以外安全と言える道がないのは事実なので仕方なく進みます。
ワンチャン自転車の方が速い。
先ほどコンビニで入手したお菓子を貪りながらノロノロと進みました。
車は道にみちみち。道は見たことないくらいボコボコ。
あるところは盛り上がり、またあるところは沈み、硬いアスファルトには大きな亀裂がたくさん入っていました。
ぺしゃんこになった家。
落ちて通行不可になったトンネル。
見える景色が気を滅入らせてきます。
じりじりとしか進めない大渋滞の中、何台もの救急車が横を通り抜けて行きました。
二日市。
唐津。
熊本だけでない、九州北部の地名が書かれた緊急車両たち。
本当に、本当に頭が下がる思いでした。
11:45? 爆睡
祖父宅に着いたのは正午前でした。
お昼に先ほどのコンビニで買った某辛いラーメンを食べました。
まじで辛いもの大好きでよかった。
その後、気づいたら暗くなっていました。
ものすごい、寝てました。
