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うたかたの声|きのころチャレンジ「誰?」のつづき

note沼にどっぷりと浸かっていらっしゃるきのころさん。
日々マルポテぶりを、存分に発揮していらっしゃいます。
そんなきのころさん。
先日開催された、お疲れカツカレーさんの企画でみごと1位と4位を受賞されました。おめでとうございます。

王者きのころ氏より、こんなお言葉をいただきました……

「続きを考えませんかコンテスト」とか、やってみたいですね。

きのころさん【書き出しで魅了する作品】ベスト書き出し賞🏆️&ラビリンスで賞🏆️受賞!より


王様の言うことは?

ぜったーい!

ということで、大好きな関谷ゆうこさんに大きく遅れをとりましたが、私もきのころさんのお話(書き出し)の続きを書いてみましょう。
ついでに、きのころさんから、朗読の練習をしなさいよーとアドバイスをいただいたので、朗読もしました。
……まだ、音読でした。勘弁して。

ではでは「きのころチャレンジ」
レッツトライ!



朝、目が覚めると、
隣で知らない女が電話をしていた。
私のスマホで。
私の声で。

叫んでも声は出なかった。
鏡の中の私は眠っている。

女が一瞬だけ私に顔を向けた。
そして、私の声で電話の相手に告げる。

「起きました」

きのころさん「誰?」より

女は通話を終え、私の顔をのぞきこんだ。

「気分はどう?」

私は魚のように口を動かし、
どうして、と形だけで訴える。

すると女は鈴を転がすように笑った。

「『どうして』?あら、声の仕事がしたいんでしょう。
 私はあなたの希望を、叶えただけよ」

深みのある透きとおった声、
それは私のものだったはずだ。

ドロボウ
私は、声にならない怒りを吐き出した。

「やだ、物騒ね……
 でも私あなたよりもずっと、この声を有効に使えると思うわ」

女は自信たっぷりにそう告げた。

「月がひときわ明るい夜にだけ、この声を売るの。
 『人魚の声』としてね。
 大丈夫。
 あなたは、ただ明け渡せばいいの」

耳からじんわりと染み込む響き。
その声に、喉元をやさしくなでられているようで、私は抗えない。

気づけば、私は小さくうなずいていた。
「交渉成立ね」
女は、まばゆい月のような吐息をはいた。


それからまもない月の夜、私の声はどこかへ連れていかれた。

「人魚の声」は波のように広がり、人々の心をさらった。
その様子に私の心はあわだち、みるみる潮が満ちていく。

私の髪までつややかに波うつようになったが、
それすらも夢の名残として愛おしんだ。

月の明るい夜が、待ち遠しくなった。

夜ごとに私の音色を海へ捧げる。声を含んできらめく波は、星屑みたいだ。海底からときおり、女の姿、過去の自分が小さな泡となって浮かびあがっては、ぱちんと弾けて、すぐに消えた。
指と指のあいだに、やわらかな膜が生まれていたが、私はそれを見ないようにした。

私の波が奏でるささやきだけを、感じていたかった。

もどれない月の夜。

私はもう、潮の香りと波の音だけを感じている。
私の足はとうにほどけ、銀色の鱗が夜明けの海のように広がっていた。

やわらかい月の光をふくんだ雫が、頬をつたい真珠になった。


私も、透明なひとつの泡になった。




きのころさんといえば「童心読書」

それから、関谷ゆうこさんが以前書いていた「特命人魚姫」

と、「匿名人魚姫」

これ読んでからずーっと人魚姫みたいなお話が書きたかった。
で、ハッピーエンドにはなりませんでしたが、私は大満足です!

あらためてきのころさん、おめでとう!
関谷さん、楽しかったー。ありがとう!

#きのころチャレンジ


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くいたろう 読んでくれてありがとう!うれしいです。