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「誰?」って言うか……│きのころチャレンジ

きのころさんの書き出し部分の続きを書く企画に、参加中です

朝、目が覚めると、
隣で知らない女が電話をしていた。
私のスマホで。
私の声で。

叫んでも声は出なかった。
鏡の中の私は眠っている。

女が一瞬だけ私に顔を向けた。
そして、私の声で電話の相手に告げる。

「起きました」

「え?誰?」
私の口から思わずタイトルがまろびでる。

「誰って、おまえだろ」
私そっくりの女。ガラ悪!

「あっちのは、誰?」
鏡の私を指す
「だからぁ、おまえだろ!」
なんか怖いな。
「……怒ってる?」
「だって見りゃわかんじゃん。も、い?寝たいんだよね」
大あくびをして女が言う。

「寝るの?」今から?
「寝るよ!今から!」

……なにこれ。
「えっとぉ。私今すぐバイト行かないとなんですけど……」
怒られるのが苦手で「出ていってほしい」と、ストレートには言えない。

「知ってるし!早くいけ、さっさと行け!もう交代の時間過ぎてんだよ!」
交代の時間?
「誰と?」
「だぁかぁらぁ、おまえとだよ!」
「私?」
「バイト!あんた、シフト希望出し過ぎなんだよ!」
あー。って……まさか、
「行ってくれてたの?交代で?」

ぷいっとそっぽを向いた女の耳が、さっきよりほんのり赤い。
鏡の中のも、少し疲れた顔に見えた。
「なんか、ごめんね」

どおりで最近バイト先で
「ちょっと働き過ぎじゃない?」とか、
「体大丈夫?」とか、いたわり系の声をよくかけられると思った。

「ふつう気づくでしょ。バイト代とかでさ」
「あ⋯…時給あがったんかなって」
「なんじゃそりゃ」
吐き捨てるようにベッドに寝転がる。

「あっ!じゃあさ、今からディズニー行こうよ。みんなで!」
私はミッキーみたいな身振りで、夢の国へお誘いする。

それを見た女は、目を見開いて、




「……それ、キャストでだよね?


鏡の中の女も「キャスト」という単語に、バチぃっと目を開けた。


ちっ、バレたか。




きのころさん、本日で300日目でしょうか?
おめでとうございます。

#きのころチャレンジ


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