昔ばなし 1-2 カッパレもち 茨城土地ことば
音声
土地ことばのあたたかい語り口をどうぞ
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カッパレもち 土地ことば
むがし、涸沼川にかがる飯沼橋のそばに、鹿島屋つう造り酒屋があったんだど。
こごいら⑴では、ついだぢに 餅づく 習わしがあったんだ。
⑴ こごいら:この辺り
ある年、日照りつづきで、畑のもんも 田んぼのもんも、ろくに とんにゃがった⑵んだど。 そんでも、旧暦の十二月一日になるっつうど、どうにが 鹿島屋で餅づぎ やっごど⑶がでぎたんだ。
⑵ とんにゃがった:とれなかった ⑶ やっごと:やること
土間で 男 てえら⑷が 餅づいでっと、いづのまにが やせっこけだ ちんちぇ⑸ 河童、臼んとこ ぐるぐるぐるぐる、まわってんだど。 そうすっと、餅づぐ 男 てえら、河童が じゃまで じゃまで、しょうがねぇんだど。
⑷ てえら:人たち ⑸ ちんちぇ:小さい
んで、番頭さん いじやげ⑹で
「ほーれ、河童。じゃまだ、じゃまだ。いしゃれ⑺」って、どなっても、河童いっこうに、いしゃんねえんだって。
⑹ いじやける:意地がやける 腹が立つ ⑺ いしゃる:どけ
そんじ⑻、鹿島屋のだんなさん、
「ほうだ、餅 やれば帰(け)えっぺ。おめえら 餅やれ」ってゆったど。 男 てえら つぎあがった餅 河童さ⑼ やっと、河童 にごにご 喜(よろご)んで帰(けえ)ってった。
⑻ そんじ:それで ⑼ 〇〇さ:○○に
いぐ日がたったある日、河童のおどっつぁま 鹿島屋さ やって来て 頭さげで、
「この寒さで みんな霜げで、食うもんがねえ時に、餅 めぐんでいだだいで、ありがだがった。 おれら河童の身で なんにもお礼 できねえげんど、この先 こごいらの てえら ごど、水難にあわねえよう お守りしでやっぺ」ってゆうど、帰(けえ)ってったど。
それがら こごいらでは、川さ つっぺぇって⑽ おぼれるごども ねぐなって、河童が ゆったとおり、水難にあうごとが ながったんだと。
⑽つっぺる:突っ込む ハマる
鹿島屋のだんなさん、
「この前の河童が この村 守ってくれてんだ。 あの河童ごど お祀りすっぺ」って、伏見のお稲荷さんがら 河童稲荷っつうお札むげえで、祀りこんだんだど。
それがら 十二月一日には 餅づいで 水難にあわねえように、餅 川さ かっぽって⑾お供えすんだど。
⑾ かっぽる:放る
そんじ、河童にあげる餅だから、カッパレ餅ってゆうんだっぺなあ。
【カッパレもち あれこれ】
カッパレもちは 十二月一日の朝 川さ かっぽって(放り投げて) お供えすんだどよ。その日に朝早ぐ 涸沼川さ行ってみろ、カッパレもち 見られっかもしんねぇ。その餅食うど 風邪ひかねぇで暮らせるって、おれげ(私の家)のばっぱやん(おばあさん) ゆってだ。チグ(うそ)だねえど。
出典
茨城町のあるお宅に言い伝えられているお話を聞いて話をしています。
紙芝居作成

