糖新生で体重が増えない人へ。胃の働きから見直す食べ方のヒント
「食べているのに体重が増えない」「ご飯を増やしたいのに、量が入らない」。そんな悩みがあると、ついカロリーや糖質だけに目が向きがちです。
今回の動画で吉野敏明先生は、200年以上前の胃の観察研究を手がかりに、胃の働き、感情、食べ物の選び方、そして痩せてしまった人の食べ方について語っています。医学的な診断ではなく、日々の食生活を見直すヒントとして読んでみてください。
胃に穴が開いた青年から始まった消化の発見
動画の冒頭で紹介されたのは、1822年にアメリカで起きた事故の話です。カナダ系フランス人の青年アレクシス・サンマルタンが銃の事故で腹部に大きな傷を負い、陸軍医ウィリアム・ボーモントが治療にあたりました。
当時は抗生物質も輸血もCTもない時代です。それでも青年は生存し、胃に通じる穴が残ったことで、医師は生きた胃の中を直接観察できるようになりました。吉野先生は、この観察から「胃液そのものが肉などのタンパク質を溶かす」という発見につながったと説明しています。
牛肉、羊肉、豚肉、鶏肉、魚、パン、野菜、じゃがいも、米など、さまざまな食べ物が胃の中でどう変化するのか。いまでは当たり前に聞こえる消化の知識も、当時はこうした観察から積み重ねられていったのです。
感情で胃は変わるという視点
ボーモントの観察で吉野先生が特に注目していたのは、食べ物だけではありません。怒り、悲しみ、悔しさといった感情によって、胃の色や動き、消化の速さが変わることも記録されたと語っています。
動画では、怒ったときに胃が縮み、胃酸が上がりやすくなるという説明がありました。「腹が立つ」「むかつく」「腹に据えかねる」という日本語の表現も、実際の胃の反応とつながっているのではないか、という見方です。
もちろん、感情だけで症状を決めつけることはできません。ただ、心と胃腸の状態が切り離せないものとして語られている点は、毎日の食べ方や過ごし方を見直すうえで大切な視点になります。

胃はタンパク質を溶かす場所だという基本
吉野先生は、胃の大きな役割を「肉や魚などのタンパク質を溶かす場所」として説明しています。食べ物は噛むことだけで細かくなるのではなく、胃液の働きによって分解されていきます。
この話の流れで先生が問題提起していたのが、植物油を多く含む食べ物や、ケーキ、ホイップクリーム、コーヒーフレッシュ、唐揚げ、とんかつなどを続けて食べる生活です。動画では、油まみれの食事が胃に負担をかけ、胃酸を多く出す状態につながるのではないかと語られています。
ここで大切なのは、「高カロリーなら太れるはず」と単純に考えないことです。カロリーが高い食べ物を摂っていても、胃の働きが落ちていれば、体づくりに必要な食べ方とはズレてしまう可能性があります。
体重が増えない人に起きているかもしれないこと
今回のテーマである「糖新生で体重が増えない人」について、吉野先生は胃の状態に注目していました。動画では、油物や甘いものを長く続けることで、胃が荒れたり硬くなったりし、結果として小さく縮んだような状態になることがあると説明しています。
そのような人は、4毒を抜いたあとに「ではご飯をしっかり食べればいい」と思っても、すぐには量が入りません。胃が動きにくく、さらに噛む習慣も弱くなっていると、炭水化物をうまく受け止める準備が整っていないからです。
先生は、炭水化物は唾液に含まれるアミラーゼの働きも関係すると説明しています。つまり、ご飯を増やす前に、よく噛むこと、少しずつ食べること、胃腸に無理をかけないことが重要になるという話です。

少しずつ、強く噛んで、回数を分ける
痩せてしまった人に向けて、吉野先生は「頻回食」と「よく噛むこと」を提案していました。朝昼晩だけで無理に量を増やすのではなく、朝と昼の間、昼と夜の間、夕食後などに少しだけご飯を足すという考え方です。
ただし、回数だけ増やしても、噛む力が弱いままだと十分ではないとも語っています。ラーメン、ケーキ、シリアルのように、あまり噛まずに食べられるものに慣れていると、噛む回数は多くても圧力が足りないことがあるからです。
体調や血糖値に不安がある場合は、自己判断で極端に食事を変えず、医療者や専門家へ相談してください。そのうえで、できる範囲から「ゆっくり、丁寧に、強く噛む」ことを意識するのは、今日から始めやすい見直しです。
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胃をいたわることは、自分を大切にすること
動画の後半では、吉野先生自身の子どもの頃の記憶や、「人や道具を敬う」という話にも広がっていきました。体を大切にすることは、単に栄養素を足し引きすることだけではなく、自分の過去や日々の暮らしを丁寧に扱うことにもつながっている、というメッセージとして受け取れます。
胃は、食べ物だけでなく感情や生活習慣の影響も受ける場所として語られていました。だからこそ、体重を増やしたい人も、胃腸の不調が気になる人も、まずは食べ方を急に変えすぎず、体の反応を見ながら一歩ずつ整えていくことが大切です。
今日の食事で、ひと口だけでもよく噛む。揚げ物や甘いものを続けすぎていないか振り返る。少しずつご飯を足してみる。小さな見直しを重ねることが、胃をいたわり、自分を大切にする第一歩になります。
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